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もう、どうにもならない。
リプライ欄での炎上から、数時間も経たないうちに、俺のアカウントがあらゆる場所に広がっていた。Twitterだけではない。YouTube、個人ブログ、ファンサイト、どこへ行っても、俺の名前が見つかる。どこかで誰かが目を覚まし、気づいた。犯人は俺だ、と。
そして、その波はどんどん大きくなり、まるで嵐のように押し寄せてきた。
俺は、どうしてこうなったんだろう?最初はただ、誤解を解こうとして一言送っただけだった。何も考えずに。でも、それが終わりの始まりだった。たった一つのツイートが、俺を壊した。
「#犯人はこいつ」
「このアカウント見て、間違いないだろ?」
「証拠はこれだ」
ファンの間で、俺のアカウントが完全に晒され、分析され始めた。
皇様のファンは、ただのファンではなかった。彼らは、目を離さない。神経を尖らせ、何でも見逃さない。どんな些細なことでも、疑念を抱き、追跡し、何かにつけて調べ上げる。今や、俺はその700万人に見られている。
YouTubeにアップされた動画のタイトルには、こう書かれていた。
「皇様殺害事件の真犯人はこの男!証拠動画とツイート分析」
映像が始まると、黒い画面に文字が浮かび上がった。
「犯人のアカウントはこれだ!」
その後、動画は俺の過去のツイートを次々と表示し、俺のアカウントがどれだけ「怪しい」かを説明し始める。過去にリツイートした皇様の投稿、それに付随するコメント、すべてが「不自然」に感じられたらしい。小さな言動すべてが伏線のように扱われ、ついには「犯人としか考えられない」という結論に達していた。
コメント欄は炎上状態だ。
「これは間違いない。どう見ても怪しい。」
「お前が犯人だろ?」
「証拠が揃ってきた。すべては偶然じゃない。」
動画の最後には、俺が送ったリプライも取り上げられていた。
「皇様、俺がやったんじゃない。」
それが決定的だったという。
その後、さらに「犯人考察サイト」なるものが立ち上がり、俺のアカウントはメインコンテンツとなった。サイトには、俺が投稿したツイートが時系列で並び、どの部分が怪しいのか、どの言動が犯人を示唆しているのか、詳細に分析されていた。
「犯人が自ら犯行を示唆している。これが証拠だ。」
そして、サイトの掲示板には、コメントが殺到していた。
「こいつが犯人だろうな」
「投稿された動画もツイートも証拠にすぎない。完璧に犯人を追い詰めてる。」
「ここまで証拠を揃えたら、もう言い逃れできない。」
ファンたちの声が、まるで本物の警察かのように俺を追い詰めていった。700万人もの目が、俺一人を囲んでいる。どこに行っても、俺のアカウントが取り上げられて、犯人であることを証明しようとしている。
そのとき、俺は確信した。俺はもう、逃げられない。
街を歩いていると、携帯の画面を見ながら歩く人たちが、みんな笑っているのを見た。その笑顔が恐ろしかった。まるで俺が捕まるのを待っているかのような、冷たい笑顔だった。
「今、ネットで追い詰められてるのに、笑ってるやつらもいる。」
これが俺の現実だ。700万人が、俺の行動を一つ一つチェックして、証拠を集め、俺を追い詰めている。
「どうして、こんなことになったんだ。」
もう、自分でもわからない。犯人の目線から見ると、すべてが壊れた。ただのファンだったはずの俺が、今やそのファンたちに追い詰められて、全世界に晒されている。
しかも、彼らはただのファンじゃない。彼らは、皇様を愛している。その愛が、俺を追い詰める力になっている。
「700万人」
その数字が、俺に重くのしかかっていた。どれだけ隠れても、どれだけ逃げても、追ってくるのはその目線だけだった。
今、俺はその視線に、完全に捕らえられている。