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3152年、3月
4人の研究者が、暗い部屋の中央、そこだけに照らされた1つの手術台を囲むように立っていた
現と名付けられた、少女を見つめて
男は、不敵な笑みを浮かべる
実験は部分的に成功、人体の半分をAIに改造することに成功
男「…こいつに爆弾を埋めてやれば…装置は完成」
ゴーストタウン、βの破壊計画、進行度_70%
研究者A「β地区はニセモノの都市だ、人を脅かしかねないほど膨大なエネルギー、s.j地区なんて呼ばれていたのも懐かしい話」
β地区は、s.j地区という都市がエイビオ内で起こった大きな内戦で壊滅し、ネットの空間となって作り直された
男「A、こいつをどこに幽閉する?」
A「ちょうどいい図書館がある、BもCもそこでいいよな?」
Aはブルースクリーンを展開し、右下の方を指差す
A「ここだ、行けるよな?」
男「あぁ、」
男「ならそれでいいか、任せてくれ」
A「ありがとう、男」
サザナミ「俺がこいつを担いで行くよ。」
C「…寿命や成長という懸念は取り除いた、けれど…」
B「…けれど?」
C「ああ、失敗したかなと思って」
C「こいつから感情を抜き取れなかったんだよ、まぁそうだよな、だって俺らは方法を知らない」
B「…感情の回路は複雑すぎた、心臓を取り除いて人口の心臓にすることで寿命を無くし、身体を丸ごと無機物の器に閉じ込めるような形で成長を強引に止めた」
B「それで十分だと思うが」
C「はは、そうだな。」
サザナミ 「…この図書館、妙な気配がする」
サザナミ「何とか仕掛けは解けたが…これは…」
サザナミ「気持ち悪いくらいの湿気に…カビも生えてる、どれだけ放置されてたんだよ、ここ…」
サザナミ「ああもう、こんなところ居たくもない」
サザナミは早歩きをして、都合よく置かれていた奥の椅子に現を座らせ、”三原色のコード”を脚に通す
サザナミ「よし、あとは中央の建物にあるエネルギーを使って現をこのβ地区にリンクすればいい」
Q.そもそも、なぜβ地区は破壊されようとしているのか?
一人は答える
A.簡単だ、これ以上、βに囚われた悲しきゾンビを生み出さないため
もう1人は別の答えを出す
A.兄がβ地区で行方不明となった、破壊すれば兄を取り戻せるのではないかと考えた
後の2人はどちらかに賛同し、破壊計画を遂行し始める
無機物では何度やっても失敗した
破壊のためのエネルギーが足りないのだ。
βに遺されたエネルギーはあまりにも膨大だ、だから相応の存在を顕現させなくてはならなかった
研究を重ねていくうち、4人はある考察にたどり着く。
人間であれば、知能と比例して”生命力”という変え難いエネルギーが強く発生するのではないかと
多感な時期の人間ならば、誰でもよかった。
起爆の時、サイクルで手当り次第にかけていた
だがご時世的に、怪しい電話を取る人は少なかった
唯一取ってくれた人間、それこそが”りさ”なのだ
そして、研究員は強く感じ、確信する
そこまでの気迫が存在している
“ヒトの生命力とは違う、第4のエネルギーがある”
“りさ”は、大当たりの存在なのだ。
研究員_Bは興奮する
B「………」
サザナミ「どうだった、B」
B「大当たりさ、こいつも巻き込めば、おそらくとんでもないエネルギーになる」
サザナミ「…はぁ?」
β破壊計画_進行度_95%
心臓を刺されたりさは気絶したまま、”驚異的な再生能力”でその傷を治癒する
エネルギーは、現の手中に収まろうとしていた
ブラックホールとも形容できるその黒色の球は、都市の形を成す細胞を丸ごと破壊する電波である。
りさ「…」
“りさ”は、空にある赤色の光を目に入れる
りさ「…ここは…」
少女は消え、りさそのものがはっきりと赤い空を捉える
りさ「…なんで空はこんな…赤いんだろう」
身体が上手く動かない
りさ「…そ、そうだ、多分現ちゃんが」
まるで磁石に吸い込まれるかのようだ、身体が重い、立ち上がれない
上半身を1分かけて起こすと、そこにはただならぬ化け物がいた
りさ「…私じゃ、動けない」
りさ「…多分もうすぐ…ネットに…あいつらみたいになる…」
りさ「…そ、そうだ、流石に、電話しないと」
りさ「…手遅れなのか…なぁ」
りさ「…でも…」
スマートフォンを取り出す、そしてうろ覚えながら”渡された電話番号”に電話をかける
店員「…もしもし?」
りさ「…あってる、かしら」
店員「…!?その声、あの時の青髪の方ですか!?」
りさ「…え、ぇ」
店員「ど、どうしましたか!?」
りさは苦しそうに店員と話す
今にも衰弱してしまいそうなほど、弱い声だ。
店員「エージェントを派遣してもらいます!!場所を!」
りさ「…β、地区、カフェ…の…隣の」
店員「β地区…」
りさ「え、ぇ」
りさ「1番大きな建物…の、正m……」
スマートフォンが落ちる音、そして、風の吹き方がまるで竜巻のように激しい
店員「…こ、このままじゃお二方が…!!」
りさは仰向けに倒れる
何かが吸い取られるかのような弱り方をしている
りさ (…もう動けない)
りさ (口が動かせない)
ドクン
ドクン
脈の音が、まるで耳鳴りのようにはっきりと聞こえる
人間では無い、脈の音
タヒを望めない、そんな脈の音が。