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ピコンと早速通知が鳴り。スマホをみると林田からウェブ会議の招待だった。
帰宅してから何も出来ていない為、速攻で手洗いうがいを済ませ、冷蔵庫から昨晩の残り物を出し、電子レンジで温め夕食の準備をする。
自身のパソコンを開き、指定されてるIDとパスワードを打ち込み会議に入った。
『お!!!入ってくれた!』
『いや、早すぎませんか?』
『ごめんごめん‼︎あ、全然ご飯食べながらで大丈夫だから‼︎』
『…はい。』
私は昨日の残り物である棒棒鶏もどきをを頬張りながら林田の話を聞いていた。
『え、何食べてんの?おいしそー。』
『棒棒鶏もどきです。で、本題は…??』
『もどき………。あー、でさ、その行方不明事件なんだけど……今月に入って、20人も行方不明になっているんだ。だけど報道には出ていなくて、ネットの情報でしかないんだけどさ。…………実は俺の姉ちゃんもそのうちの1人なんじゃないかって。関連性は明確じゃないし、俺の勘だけど…』
私は箸を持っていた手を止めて、画面を見る。林田の先ほどまでのハイテンションはそこにはなく、無理やり笑顔を作っているような感じがした。
『お姉さん、行方不明なんですか…。』
『うん。随分と前に捜索届けを出したんだけど、いまだに見つかんなくってさ。……で、俺一所懸命行方不明に関する情報を集めてたらさ、いつの間にかオカルトサイトに飛んじまってよ。』
『オカルトサイト………』
『掲示板っていうのかな?そこに、輝蔵村?っていう村のことについて書かれていてさ。興味本位でつい見ちまったんだよ。………そしたら。』
輝蔵村の聞き覚えがある名前が出てきて背筋が凍る。
『………。』
『輝蔵村って、何かどうしようもなく強い悩みを持っている人が自然とその村に吸い寄せられるんだって。まあ実はこの村についての詳細はここまでしか書かれてないし、これ以上はわからないんだけどね‼︎』
『輝蔵村……。私…。』
『何?』
『多分……あ、いや。私も、私の大切な人も…その輝蔵村に…………。』
『本当か?!』
『…はい。夢であって欲しかったですけど。信じられないかもしれないですけど、実際自分も……。』
『え、綾瀬ちゃんも?じゃあなんで綾瀬ちゃんは行方不明になってないんだよ。』
『いやあ、そう言われても………。私自身はバス停に居ただけですし。気づいたら大学の講義室にいましたし。』
『…バス停?なんのことだ?』
『だから、バス停で輝蔵村に行きのバスを待ってて………』
『なんだそれ、輝蔵村ってバスに乗って行くのか………?』
『そうみたいです。あくまで都市伝説的な存在だったので、あまり信じていなかったのですが………』
『でも実際に起きてしまったってわけか………』
『本当に本当に信じ難いですが。_______…目の前で………私の推し…が…』
親族が行方不明になってしまった彼を目の前にして、本当に情けない。
どうしても推しがバスに乗る瞬間が頭から離れることができず、思い出してしまった私は泣き崩れてしまった。
『綾瀬ちゃん。』
『ごめんなさい。私の親族がいなくなったわけでもないのに………きっとあなたの方が辛いはずなのに…』
『んー。そこ比べてもさ…意味ないよ。大切な人には変わりないし?俺も、綾瀬ちゃんも。綾瀬ちゃんはさ、その推し?さん助けたくない??』
『そんなの当たり前じゃないですか…必ず助けたいです‼︎』
『だよな‼︎そうと決まれば助け出す方法考えなくちゃだよな‼︎』
それから私と林田はまず、輝蔵村についてインターネットで調べたのだがやはり情報が少ない。だが、調べて行くうちに輝蔵村についての書籍を見つけたのだ。そこで私たちは明日近くの書店や図書館を回る約束をした。
一刻も早く推しの安否が知りたい。
___私は不安を抱えながら眠りについた。