コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
______翌朝
Prrrrrr_______お掛けになった電話番号は現在…_____
『もしもし有紗。昨日は心配かけてごめんね。今日私大切な用事があるから大学休むね。お昼一緒に食べることができなくてごめん。じゃあまた。』
私は有紗に1本の留守電を入れた後501号室にに向かった。
ピンポンと安っぽいドアベルを鳴らす。中からドタバタと暴れているような音が響いていた。もし毎日こんな感じだったら下の階に住んでいる人が可哀想だなと考えていたら、
『おはようお待たせ!!!!!』
バンッと勢いよくドアが開けられ中からひどい寝癖の林田が出てきた。
『うわ。寝癖ひどいですね。』
『まあそのうち元通りになるから大丈夫!じゃあ、出発!!!!』
朝からテンションが異様に高い人と一緒に書店を巡ると思うと憂鬱だった。
書店に着き、書店員さんに輝蔵村についての本があるかどうか尋ねるがどの書店員さんも首を横に振るだけ。
街のあらゆる書店や図書館を巡っても手がかりすら見つからない。
望みは薄かったが、次に古本屋を訪ねた。
中は典型的な昔ながらの古本屋という感じだった。レジ付近には腰の曲がったメガネをかけた表情の柔らかい老婆が新聞を読みながら腰深く座っていた。
『なあ綾瀬ちゃん、この本屋いかにもって感じするよな。ちょっと婆ちゃんに聞いてみようぜ?』
『そうですね。』
私たちは老婆に近づき輝蔵村について関連する本はないかどうか聞いた。
すると老婆は先ほどまでの柔らかい表情から険しい表情に一変してこちらをジイっと見つめてきた。
『あんたたち。なんでその村について聞きたいんだ?』
老婆の酒焼けの声がより一層怖さを増す。
『…私はただ、大切な人を助けようと思って………。何か輝蔵村についての情報が欲しいんです。お婆さん、何か知りませんか?』
『ふんっ。輝蔵村だあ?……そんなの出鱈目さ。そんな気味の悪い話やめとくれ。あんたら出禁にするぞ。』
直感ではあるが、この老婆は輝蔵村について何か知っているような気がした。
『頼むよ婆さん~』
横から愛嬌を振り撒く林田だったが、老婆の人睨みで怯んでしまった。
『婆ちゃん。ちゃんと話してあげたら?』
ギィ…と奥の戸から誰かが出てきた。
『あーんたはなんで余計なことを…………。』
老婆は、はあっと大きくため息をつき、読んでいた新聞紙を置いた。
『お客さん、ごめんね。』と奥から身長の高い女性が私たちに向けて言った後、老婆に向かって
『婆ちゃん。』と一言。
『もう…………仕方ないね………あんた達。こっちについてきな。杏樹。店閉めな。』
杏樹と呼ばれた女性は微笑んで、すぐさま店を閉め、老婆は私たちを奥の部屋に案内した。
『あんた達の茶淹れるからそこで待っときな。』
『すみません。ご丁寧にありがとうございまいす……。』
『私は杏樹。原村杏樹。よろしく。』
『よろしくです!俺、林田桃太!』
『綾瀬京子です。』
『桃太君に京子ちゃんね。さあ、君たちはどうして輝蔵村について知りたいのかな?』
『私は、大切な人を輝蔵村から救いたくて。なので村に関することを一個でも多く収集したいのです。』
『俺も。綾瀬ちゃんと同じ。』
『なるほど……………。君たちは優しいんだね。』
飲み物を持ってきた老婆は杏樹に向かい大きくため息をついた。
『あんたら、のめり込みすぎるなよ?アレはとても深く恐ろしいもんだ。隙をみせたら喰われちまう…。
さて………と。』
『______話をしようか。』老婆のこの重圧のある声に私たち2人は固唾を吞み、身震いをした。