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雪華♬.*゚
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太陽が肌を照らす、暑い日に僕は目的地に向かって歩いていた。
ーーそう、君に会いに行くためだ。
白いポロシャツにブラウンのズボンを着ているが、この格好をしていてもすごく暑い。
ザブーン、ザブーン。
海沿いを歩いていると、波がこっちまで来る音がした。
救いなのは、波風が涼しいことだ。
やっとのことで、僕は君のいる白いお城に着いた。
ウィーン。自動ドアが僕の目の前で開いた。
受付に目をやると、全体的に白で埋め尽くされている。
変わってないみたいで安心した。
「こんにちは、お見舞いに来たんですが」
「部屋番号は?」
「1013号室です」
「確認しますので、こちらに記入を」
「一度来たことがあるので、履歴が残っていると思います」
「はぁ、名前は?」
「五十嵐玲音です」
受付の人はめんどくさそうにパソコンを叩いて確認していた。
「電話番号は?」
「020‐9928‐3886」
「部屋までの行き方は?」
「知ってます。昔と変わってなかったらですけど」
「変更はありません。こちらのカードキーは帰るときに返却をお願いします」
「わかりました、ありがとうございます」
僕は受付の方にそれだけ言うと、エレベーターの方に行った。
お見舞いに来る人などそうそういないので、エレベーターはすぐに1階まで来た。
僕はカードキーをかざしながら10階のボタンを押し、すぐにドアを閉めた。
『次は10階でございます』
10階は、特殊な病気を患っている人がいる病棟だ。
久しぶりに来たものだから、追い返されるかも知れないな。
そう思いながら、カードキーをかざし、部屋のドアをノックした。
「はーい、どーぞ」
久しぶりに聞く、君の声。
「久しぶり」
「え?? 玲音くん? 久しぶり!」
「また来てくれたんだ! 待ってたんだよ?」
「うん、ごめん。合わせる顔がなくて」
「あぁ、昔のこと? 気にしてないよ!」
「それより、お見舞いが来たの久しぶり!」
「もう私のことなんて、みんな忘れているのかもね」
君は悲しそうな顔をしながら、窓をじっと見つめていた。
「そーだ!! 良ければこっちに来て話そーよ!」
無理して元気な声を出している君に、すごく胸が苦しくなる。
「そうだね、失礼するよ」
「どーぞ、どーぞ!! そこに手洗いとかあるから勝手に使っていいよ!」
「うん、ありがとう。手、洗ってくるね」
「いってらっしゃーい!」
僕がぱぱっと手を洗い、君の元へと戻った。
「借りました」
「本当に久しぶりだね! こんなに身長も高くなって!」
「そうかな?」
「うんっ!! ザ・男って感じ!」
「なにそれ」
やっぱり君は面白い。
いつも予想外なことを言って困らせてきたところ、変わってないね。
「ねぇねぇ、玲音くん」
「なに?」
「私、あと3週間ぐらいなんだって……」
「せっかく玲音くんが来てくれたのに」
君からの急な告白に、僕は動揺を隠せなかった。
心臓がいつもより早く、ドクドクとうるさいほどの音を立てて波打っている。
「なにそれ……」
「ふふふっ、驚きだよね……。私自身もまだ実感してないもん。あと1ヶ月もしないうちに死ぬなって……」
どうしてこんな時まで、君は笑っていられるの?
僕の前なのだから、無理しないでいいのに。
「本当なの?」
「うん、一昨日言われたんだ……」
君のその顔を見て、本当なんだと改めて実感する。
「それでどうするの?」
「最期なのだから、思い出を作りたいな!」
最期、その響きが僕を震わせる。
「うん、僕でいいのなら付き合うよ」
「本当に?? 良かった!」
君がニコリと笑った。やっぱり君には笑顔が似合うよ。
「ねぇ、玲音くん」
そう、もう一度名前を呼ばれて僕は君の目を見る。
「なに?」
「私のわがままに付き合ってほしいのっ!」
君のわがままなら、僕はどこへだって行けるんだよ。
「もちろん」
「やっぱり、玲音くんは優しいな」
優しくなんてないよ、君限定だよ。
君の前だから、僕は優しくできるんだよ。
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