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──翌日、会社へ行くと、愛身と愛実が神妙な面持ちで話しかけてきた。
「ねぇ、美都? 驚かないで、聞いてほしいんだけど」
そうわざわざ前置きをするアミに、「えっ?なんのこと?」と、首を傾げて訊き返した。
「あのね、美都。チーフがね、」と、エミが声をひそめる。
「うん……」
ごくっと思わず唾を呑み込む私に、
「チーフが、カバンにキーホルダーを付けてるんだけど……」
と、アミが口を開いた。
「キ、キーホルダー!?」
まさか、あの昨日買ったのとかじゃないよね──?
「そう、それもミコ&リコの。それって、やっぱり彼女からのプレゼントとかだよね?」
エミの言葉に、(やっぱりそうなんだ)と、思うのと同時に、矢代チーフはそんな目立つところにどうしてキーホルダーを付けたりしたんだろうと、不思議にも感じた。
「矢代チーフ本人が、かわいいもの好きには思えないから、たぶん彼女絡みとかだよね。だってあれって、どう見てもペアのグッズだし……」
アミに言われて、盛大にげふんとむせてしまった。
「ごめん、美都も驚くよね? けど、あんなかわいいグッズをペアで付ける相手が、矢代チーフにはいただなんて……」
以前に気になっていると話したことがあるからだろう、アミが私を気遣うように言葉を続ける。
「あ、ああ、うん、そうだよね。でも、ほら、チーフならいてもおかしくないし」
一方の私は、込み上げる動揺をなんとか押しとどめようと、笑顔を取り繕ってアミに返した。
「……誰なんだろうねぇ? あのチーフとペアのキーホルダーを持ってるお相手って……」
たぶんアミと同じように、違う意味で私が狼狽をしていると感じているのだろうエミが、声のトーンを落として話す。
「そ、そうだね……」
けれど私の方も、思いも寄らないことにますます胸が騒ぐのを抑えられないでいた……。