テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「───あちゃー。しにがみさん、全部話したっぽいっすよ」
そう言ったのは自分───トラゾーだ。
お宝をクロノアさんと順調に盗んでいたところ、スマホからの通知が鳴った。
通知を開いてみればしにがみさんからで、お宝を盗み終わった連絡かと思えば、どうやらあまりいい報告ではない連絡をよこした。
「まじかあ……。じゃあぺいんとからの説教ルート確定じゃん!」
一気に疲れ果てたように彼は項垂れ、泣きそうな顔をしながらもお宝を詰めていく。
どうやら、手だけは止められないようだ。 そんな自分も、手はお宝へ伸びては止まらないけれど。
「……仕方ないっすよ。俺もぺいんとの立場だったら、きっと怒りますでしょうし」
「それもそうだね」
正直、3人とも気乗りしない作戦だった。それでも実行したのは、ぺいんとのためであるのと───大体は自分たちの失態を恨んだためのものだった。
ただ、それはただ醜いだけだ。しっかりと怒られてこよう。
「───ねえ、トラゾー」
「ん?」
ふと、クロノアさんが声をかけてくる。
「────今回、防弾スーツ着てる人いる?」
「え?」
そんな質問に、自分は戸惑った。
なぜなら、今回の戦いはもう終わったからだ。
相手側のボスは捕まり、その代わりとして今お宝をいただいている最中。それに、調べたところでは警備員が驚くほど少なかったのだ。
防弾スーツを着る必要性が見当たらないと思うのだが。
「なんで、そんなこと聞くんですか?」
そう質問をすれば、相手の顔は青ざめていく。
「だってここ───強盗をしてたボスのところだよ? 銃の一つや二つ、おかしくないじゃん」
「───あ、」
背筋を走った悪寒が、当たらないことを願いたい。
───今回のお宅は、ダイヤモンドの挑戦状を送りつけた、実際はなんでもないただの強盗だった。 そんな結果にみんなで項垂れたが、お宝は盗むこととした俺たち。
───最初から強盗だと分かっていたら、きっとみんな防弾スーツを着ていたに違いない。
「──────また、」
また、なのだろうか。
「仲間が、撃たれたりしたら……」
また、を味わってしまうのだろうか。
「───ぺいんとだけじゃなくて、しにがみくんもだったら?」
ぺいんとだけでなく、誰しもが平等に撃たれる可能性のある人物だ。それくらい、PKST団としては有名になってしまった。有名にしたのだ。
「でも、警備員は少なかったんだし成敗したはずで───!」
「隠れてたら?」
焦る気持ちは、止まれなかった。
もし、撃たれたら?
───その時はきっと、死にたくなるほど自分を恨む。悪夢に出てくるほど思い出す。染み付くほど忘れられない。
「っ───クロノアさんは、逃げ道の確保をお願いします!!」
「分かった!」
一瞬の判断が大事だ。たとえ、自分が狙われたとしても甘んじて受け入れよう。
これはきっと、自分の情報収集不足と確認の甘さのせいなのだから。
「───ぺいんと!」
『トラゾー? どした?』
もうお前を後ろにしない。
「───今すぐ撤収!!」
だから後ろは、任せて。
紫秋_4aki.
5,555
#日常組
tagu2026226
376
✝∆∇ナツメイロハ∇∆✝
233
208