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ボソッ・・・
「きったな・・・」
あたしは思わず周りを見渡した、外観は素敵な家なのに廊下の端には何日も掃除機をかけていないであろう、誇りが溜まっている、階段にも洋服が散乱している、あんなところに洋服やトイレットペーパーを置いて昇り降りする時に危なくないのだろうか
それにどことなく腐敗臭がする・・・ゴミをちゃんと外に出してないのかな?・・・リビングには、災害が来た後の様にいろんなものが爆発したように散らかっていた・・・
「ちょっと散らかってるけど、ごめんね~朝慌ててたものでさ」
晴美ちゃんがえへへと笑って言う
シンクを覗いてみる・・・洗っていないお皿やマグカップ、子供用の練習箸がシンク一杯に山盛りだ、これだけ溜めると洗うのが大変だ・・・
こまめに洗っていればこんなにならないのに・・・あたしは驚いた、晴美ちゃんはルンバや自動食洗器を早く買うべきだ
「真希ちゃん!こっちよ!洗面所!」
呼ばれるままに晴美ちゃんのいる洗面所に行ってみると彼女が上半身裸でブラジャーだけになっている
戸棚から大きなタオルを二枚取り出して言う
「真希ちゃんも濡れたでしょ?あたしのマタニティトレーナ貸してあげる」
あたしたちは女学生のようにクスクス笑いながら髪を拭く
「子供達が来る前に洗っちゃうわ!いいわよね!女同士なんだから」
そう言って晴美ちゃんがマタニティブラを外して上半身裸になって汚れものを洗濯機に入れた
あたしは驚いた、大きな乳房に500円玉のような真っ黒の乳輪、おへその上から恥骨まで続く一本の黒線の筋・・・お腹には毛まで生えている・・・・これが妊婦なんだ・・・・
「あら・・・ごめんなさい・・・あたしったら、はしたないわね、ヨガでは他の人達と一緒によく着替えていたから・・・」
「ううん・・・全然気にしないで!あたしが恥ずかしがり屋なだけ!」
バスタオルを胸に巻いた晴美ちゃんが洗濯機のボタンを押す
「二階で何か着替えを探してくるから真希ちゃんは体を拭いててね」
「ありがとう」
晴美ちゃんがいなくなるのを待って、あたしは浴室と洗面所の扉を開けて彼女の使うシャンプーや歯磨き粉、化粧水やナイトクリームを次々にスマホのカメラに収めていく、彼女の夫の康夫の使うアフターシェービングローションのブランド名を記憶に刻みこむ、(CLINIQUE)の男性用基礎化粧品だ
晴美ちゃんと康夫はお揃いのブラウンの電動歯ブラシを使って、子供達はディズニーアニメの歯ブラシと歯磨き粉
次に引き出しを開けて、彼女の下着を眺める、キュート系と無地で実用系・・・セクシーなパンティは無し
大きく息を吸い込む・・・晴美ちゃん家の匂いがする、まだ出来て幾数年しか経っていない、壁紙の真新しい匂いがする
子供達用のアニメが描かれた小さなプラスチックのコップ・・・斗真君は機関車トーマス、正美ちゃんはアナと雪の女王・・・あたしの家には絶対ない小さな雑貨類・・・ベビーオイルに赤ちゃん用の綿棒、新品のベビーシャンプー・・・それらをうっとりと眺め、自分の赤ちゃんをあやしている所を想像してみる