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りょん.
52,783
久しぶりの病院。
白い診察室。
医者の静かな声。
「……かなり進行しています」
その言葉を、涼ちゃんは黙って聞いていた。
驚きはなかった。
もう、自分でも分かっていたから。
診察室で聞く数字も、
医者の表情も、
もう嫌なくらい慣れてしまっていた。
「……そうですか」
小さく笑う。
その反応に、医者のほうが少し苦しそうな顔をした。
「藤澤さん」
「はい」
「本当に、誰にも言わないつもりですか」
少しだけ間が空く。
それから涼ちゃんは、
困ったように笑った。
「……だって、あの2人優しいから」
「絶対、無理するじゃないですか」
その声は穏やかだった。
でも、
どこか諦めたみたいでもあった。
「最近、ちゃんと薬飲めてますか」
「飲んでますよ」
「睡眠は?」
「まぁまぁ」
嘘だった。
眠れない夜の方が多い。
でももう、細かく説明する気力もなかった。
診察が終わり、家へ帰る。
静かな部屋。
涼ちゃんはゆっくり片付けを始めた。
服を畳んで、
床を掃除して、
写真を箱に入れて。
普段なら絶対こんなに綺麗にしないのに、
今日は不思議なくらい手が止まらなかった。
掃除なんて苦手だった。
若井にも元貴にも、いつも「部屋汚っ」って笑われてたくらい。
全部終わった頃には、
部屋は別人みたいに整っていた。
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