コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
⚠️特定の国、政治的な意図は決してございませんのでご了承ください。
⚠️この作品には史実を含んでいます。(アメリカ独立戦争、ボストン茶会事件、13植民地と大英帝国など)
⚠️私の妄想が入っています。
大英帝国と13植民地の話って、あんまり見ないな…と思いまして。
そんなに長くないですが、書いてみました。
《ATTENTION》
・史実ネタ
・BL…?
・アメイギ、イギアメ
・🔞無し
・なんでも許せる方向け
英→イギリス
13→13植民地(アメリカ)
米→アメリカ
では、どうぞ⬇
✂︎——————キリトリ線—————–✂︎
それは、親父に物置部屋の片付けを頼まれた日のことだった。
米「あ゛ー……だる……」
埃と湿気と、古い紙の匂いが充満する物置部屋。
アメリカは適当に段ボールを引っ張り出しては中身をひっくり返し、ゴミ袋にぶち込んでいく。
……と、一番奥の棚の陰に、小さな木箱があった。
鍵はかかってない。
蓋を開けると、埃の下から、ボロボロの革表紙の手帳と、小さなルビーのブローチが現れた。
米「……っ」
瞬間、胸の奥に嫌な疼きが走った。
見覚えがある。
絶対に見覚えがある。
これは、あの頃の………
指が勝手に伸びる。
いや、やめろ。
見るな。
開けたら、絶対に後悔するってわかってるのに。
米「……くそ」
好奇心が、恐怖を押し潰した。
震える手で表紙をめくる。
子供っぽい、ぎこちない字で書かれたタイトル 。
『僕の日記』
埃が舞い上がる。
戻れない。
もう、戻れない。
ページを開いた瞬間、”二度と思い出したくなかった記憶”が蘇った。
───────────────
───────────
──────
【1750年頃 晴れ】
今日、大英帝国さんに会った。
すごく大きかった。怖かった。
「これから私がお前を育てる」って言われた。
名前、まだない。
13植民地って呼ばれるだけ。
でも、胸にルビーのブローチをつけてもらった。
「大事にしろ」と言われた。
なんか、嬉しかった。
【1751年 雨】
英語の勉強、辛い。
綴り間違えたら定規で手を叩かれた。
痛い。泣いた。
でも泣いたら「植民地は泣かない」と怒られた。
大英帝国の声、すごく大きい。
でも夜、寝る前に「よく頑張ったな」と頭を撫でてくれた。
暖かかったなぁ…
【1752年 曇り】
紳士の作法、難しい。
ナイフとフォークの持ち方、紅茶の飲み方、全部教えられた。
小指立てちゃダメって怒られた。
「私と同じように振る舞え」と言われた。
必死に真似してる。
間違えても、大英帝国がため息ついて直してくれる。
優しいところ、ある。
【1753年夏 晴れ】
今日は海に連れてってくれた!
初めて見た。水平線が遠くて、船がいっぱい。
お父さんが「全部私の世界だ」と言った。
かっこよかった。
マント貸してくれた。
重かったけど、嬉しかった。
僕もいつか、ああいう風になりたいって思った。
お父さん、最高にかっこいい。
【1765年 曇り】
なんか変な法律できた。
みんな怒ってる。
僕も、なんか嫌だ。
お父さんが、遠く感じる。
【1773年12月16日 曇り】
紅茶、全部海に捨てちゃった。
342箱も。
お父さん、すっごく怒ってた。
「誰がこんなことを!」って。
すごく怒ってた。
僕は黙ってた。
ごめんなさいって思ったけど、胸の奥が熱かった。
なんでだろう
【1775年4月 曇り】
銃声がした。
もう戻れない。
お父さんの軍服が、敵に見えた。
怖い。震えてる。
でも、もう逃げられない。
【1776年7月4日 雨】
独立宣言した。
「もうお前の植民地じゃない」って言った。
お父さんの顔、覚えてる。
怒ってたけど、どこか寂しそうだった。
僕は泣きそうだった。
【1781年10月 曇り】
戦いに、勝った。
イギリスの軍楽隊が「The World Turned Upside Down」を演奏してた。
自由になった。
でも、なんか空っぽ。
勝ったのに、喜べなかった。
【1783年 パリ条約】
正式に認められた。
俺はもう、『アメリカ合衆国』
大英帝国は遠くにいる。
ルビーのブローチだけが、あの頃の証
残りのページは、もうほとんど真っ白だった。
インクが薄れて、文字は消えかけている。
でも、最後の二行だけは、鉛筆で何度も何度もなぞられた跡が残っていた。
まるで、消えちゃいそうだからって必死に押さえつけたみたいに。
ごめんなさい
お父さんと海に行きたかった
それだけ。
他には何も書かれていない。
ただ、その二行が、ぎゅっと小さく寄り添うように書いてあった。
鉛筆の芯が折れた跡と、指でこすった汚れと、乾いた涙のシミだけが、そっと重なって残っている。
アメリカは日記をそっと閉じた。
埃まみれの指で、ルビーのブローチを撫でる。
米「……バカみたいだな」
胸の奥が、熱くて、苦しくて、でもどこか軽い。
立ち上がって、埃を払いながらリビングへ向かう。
イギリスはいつもの肘掛け椅子に座り、新聞を広げていた。
紅茶のカップが、湯気を立てている。
アメリカは少し離れたところに立ったまま、ぽつりと口を開いた。
米「……親父、一緒に海行かないか?」
イギリスが新聞から顔を上げる。
英「はぁ…?急に何を言うんですか…」
完全に呆れた声。眉間にしわまで寄ってる。
アメリカは照れ臭そうに笑った。
米「別に、いいだろ?」
いつもの調子で、肩をすくめて。
でも、目は真剣だった。
イギリスは少しの間、黙ってアメリカを見つめていた。
……珍しい顔だな、と思った。
昔みたいに、少しだけ、あの頃の13植民地が透けて見える。
イギリスは小さく息を吐いて、新聞を畳んだ。
英「……少しだけ、ですよ」
立ち上がる。
コートを羽織りながら、ちらりと横目でアメリカを見る。
アメリカはにやりと笑った。
米「了解、少しだけな」
二人は並んで玄関に向かった。
午後の陽射しが、廊下を優しく照らしていた。
ドアを開けると、外はもう初夏の匂いがした。
昔、一緒に見た水平線が、どこかで待っているような気がした。
……終。
✂︎——————キリトリ線—————–✂︎
おかえりなさい〜
史実ネタで切ない系を書くのは二回目なんですけど…上手く書けてるか…
良ければ、感想聞かせてくれると嬉しいです🙌
《リクエストについて》
現在リクエストはお断りしています。今いただいてもお答えできませんのでご了承ください。
では、閲覧ありがとうございました!