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ミザリー

3 - 潦

♥

1,322

2023年02月13日

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必ずキャプションをお読みください


🌹こちらはstxxx様のnmmn小説です


🌹cpは桃赤。苦手地雷等は自衛おねがいします


🌹とある素敵な方々のお名前を借りていますが本人様達に一切関係ございません!


全部雰囲気で作ってるので意味わからないですごめんなさい;;


200人フォロワー様ありがとうございます🫶


👇本編















その日は小雨が降っていた。

元々気温が低いのに雨なんて降られたらそれはもう驚くくらい寒いわけで。

クローゼットに掛かったコートを見て、なんとなくりいぬを思い出した。


アイツ、ちゃんと暖かい格好してくるだろうか。


何年前かに放送でも言った上着嫌いは今も健在で、いつもアイツは寒そうにオフィスの暖房の近くをウロついていた。


それでも寒くて堪らない日は先に到着していたメンバーの背中に張り付いて、体温を分けてもらっているのを何度か見かけたことがある。


前記の様に今日は寒い。


今日は俺がその役割を引き受けてやろう。

そう思ったらかわいいアイツが見れるのが楽しみになってきて、いつもより早く支度を済ませて家を出た。




────




そっと、冷えたドアノブを捻って開扉する。

その瞬間暖かい空気が体中に当たり、外との温度差に身震いした。

腕時計を確認すると会議の十分前。少し早すぎたかもしれない。


取り敢えず荷物を置こうと思い、一歩、二歩と足を進める。


その時、チラリと目に焼き付いたミルクティー色の髪が見えた。

疑問に思いながら歩を進める。


その先に見えたものに、思わず情けない声が漏れた。



アイツが、りいぬが、辛そうにしゃがみ込んでいる。  



「…りいぬ?」


ほとんど無意識に、しゃがみ込んで壁にもたれる小さな背中に駆け寄ってそっと手を添える。


「りいぬ、どうしたの?」


優しく問い掛ければ重たそうな瞼をうっすら開いて、色のない顔をこちらに向けた。


自分の手も冷たかった筈なのに、彼の手はもっと冷たかった。



「しんどい?」


トントン、と背中を優しく掻き撫でる。

そうすれば莉犬は俺のコートの裾をギュッと握って引き寄せた。 


問いかけに対する肯定と受け取った俺は、フラフラな身体を支える。


「歩けるか?」


その言葉にまたぼんやりと目を開いた彼がゆっくり首を横に振る。

そう言われたら、俺のやる事は決まっている。


腰の辺りに腕を回して、今にも折れそうな細い足を持ち上げる。

いわゆるお姫様抱っこ。


「…ん、ぅ、」


くぐもった声が聞こえて、咄嗟に彼の顔を見ると安心して気が抜けたのか完全に脱力して俺に身体を任せている。


とりあえず一番近かったオフィスのソファーにクッションを枕代わりに寝かせてあげて、着てきたコートを脱いで細っこい身体に掛けてやった。



縋るように伸びてきた小さな手を握ってやると、キツそうな顔が和らいだ気がする。

こんな様子じゃもう今日は会議をする事は難しそうだ。


そんな事を、メンバーのグループチャットに送っておいた。












いたい。

足に感じた痛みに瞼を開くと、あの時の、夢。


「!!」


ぐんと伸びた薔薇の花は俺の真横に伸び、だらだらと紅血を流していた。

助かった、という解釈でいいのだろうか。


身体の震えが止まらなくて、しばらくそこから動けなかった。


やっと震えが収まってきた頃には薔薇の花から滴る赤色も乾いてきて、ついには茎も葉も真っ赤になって紅血は流れるのをやめた。


怖くなって、すぐにここを離れようと立ち上がる。その時、カランと小さな鄙びた鈴の様な音がし、ついつい目線を音の先に合わせた。


「……?」


転がるのはどこか見覚えのある、小さな淡いピンク色の小瓶。

手に取ると、突然ブクブクと中身の液体が沸騰したようにけたたましく小瓶が震えた。


「っ、や、」


思わず、投げるように放ってしまう。



「っ、」



真っ赤な薔薇に掛かったそれは、ゆっくりと薔薇の赤を融かしていって。

まるで俺の存在を咎めるようだったバラが、ゆっくりと、優しい白色に変わっていく。


「あ、……」


色のない草むらに倒れた小瓶を再び拾い上げる。

激しく揺らめいたその液体は赤く変色しているが、先程とは打って変わって神妙な様子になっている。



早く、はやくこの世界から出たい。



どうしたらいいの。




「たすけて、……」


助けて、の後に誰かの名前を呟いたはずが、それは声にならなかった。


はくはく口は動いていたのに、いざ言おうとすると、言えない。

喉に何か閊えたみたいで、言おう。そう、思っているのに。


助けて、って、あいつの名前、呼びたいのに。



「さ、…」


言葉が出ない。



「あ、れ」


この奇妙な世界に、全て記憶を吸われてしまったみたいで。



なんだっけ、なんだっけ。



あいつの名前が、思い出せない。






Continue──?


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コメント

16

ユーザー

えええほんと凄すぎます😭💞✨ このお話めっちゃ大好きです🥲❤️ 続き楽しみにしています🎶♡

ユーザー

まじで好きすぎるほんとにこれしか言ってない気がするwww まじで神なんだよなぁ

ユーザー

視点分かりづらくてごめんね😗 桃→赤の順です🙇🙇

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