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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「明日はバスケ部の大会なんだね」

いつもの帰り道。

「はい、だから苺華先輩がもし暇してるなら見に来て欲しいです。」

夕暮れの日が俺たちの影を映し出す。

「見に行きたい!友達も連れていくね」

「嬉しいです。ありがとうございます」

俺が誰よりもあなたが好きだと言えば俺に振り向いてくれるんですか。先輩。

ずっと思っていたことがある。

先輩にとって俺はただの後輩に過ぎないんじゃないかと。

先輩はたぶん、俺に対してそういう恋愛感情なんてひとつも無いんだと思う。

話してて分かる。

けれど、それでも俺は期待している。

自分に振り向いてくれるんじゃないかと。




「凛華、明日一緒に瑞稀の試合見に行かない?」

「え!見に行きたい!」

「律ナイス情報!」

君の笑った顔が見たくて、君と少しでも一緒にいたくて、乗り気では無いけれど瑞稀の試合に誘った。

「水野も一緒にどう?」

「え?あー私も行く、」

あの日以来、言われた通り水野とは何事も無かったかのように接している。

けれど、本当に前みたいかと言われればそうではない。

お互いに薄い壁を作ってしまった。

きっとこれは越えられない。

友人のままでは絶対に。

「じゃあ、決まりな。」

「また連絡する」


「律にさ言ったんだ。瑞稀が好きって」

帰り道。瑠那はなんだか、少し遠い目をしている。

何かを見ているような考えているようなそんな目。

「あーだから!」

「良かったね凛華!」

瑠那は多分、律のことが好き。

本当はずっと気づいていた。

けれど何らかの理由で律を諦めなければいけないのだと思う。

だから私は瑠那に律のことが好きなのかと聞けない。

聞いたらきっと瑠那は酷く傷つくと思う。

私は誰よりも瑠那が大切だからこそ、瑠那を傷つけたくはない。

なのに、私に何故言ってくれないのかと疑問と怒りと嫉妬で頭の中で交差している。

私と瑠那はなんでも言える友人ではなかったのかと、全てが嫌になる。

瑠那を親友だと思っているのは私だけなのだろうか。

ただ私が一方的に瑠那のことを大事にしているだけなのだろうか。

私は瑠那の何だろう。




「よ!瑞稀!」

「え、お前らなんでいんの 」

「律に誘われて応援に来た」

ユニフォーム姿の瑞稀がいた。

初めて見る格好が新鮮でなんだか胸が高鳴る。

「あんまり俺のこと応援しすぎて目立つなよ?」

「はー?なにそれ、別に瑞稀以外の選手も応援しますけど?」

他愛のない会話が好き。

こうやって話すだけで落ち着く。

ただそれだけなのに、好きという感情がチラついてもう一歩先を行ってしまいそうになる。

きっと言ってしまえばそこで関係は変わる。

今のままは嫌。

だけど、あなたと話せなくなるのはもっと嫌。

その背中を追うだけで満足してしまえばそれで終わりなのだろう。


「苺華ってさ平川くんのこと好きなの?」

「え?別に、今日来たのだって堤がいるから。」

「嘘!苺華って堤のこと好きなの?」

「まぁ中学からずっとね。」

少しだけ耳に入ってしまったその会話はきっと瑞稀を苦しめると思う。

そしてきっと、凛華も。

私は瑞稀が佐藤先輩のことが好きと知っている。

たまたま、帰り道にふたりが並んで歩くのを見てしまったことがある。

仲良さげに話していたから付き合っているのかと思っていたがそうではなく瑞稀の一方的な片思いらしい。

堤先輩は3年でいちばんモテるという程にはかっこよく、誰もが好きになるであろう性格をしている。

何よりも佐藤先輩と堤先輩は絵になるとも言われるほどお似合いだから瑞稀が入れる場所なんてないと知っていた。

「堤に告白したらいいのに!」

「やだよ、振られるかもじゃん」

「いや、ないない。堤も絶対おっけーしてくれるって」

「そーかなー?」

何よりも佐藤先輩は性格が悪いとよく知られている。

私が所属しているバレーボール部では当たり前とも言えるほど誰もが知っている。

だからそんな佐藤先輩のことが好きな瑞稀にもそんな瑞稀を好きな凛華にもどうやって応援するべきか分からなくなる。

本当のことを凛華に言い凛華が悲しい思いをするくらいなら黙っておいた方がいいと思う。

こんなの私の勝手な思いなのに。

ただ、凛華が瑞稀に告白でもしてしまえば私たちの関係は終わってしまう。

そんなことなど分かっていた。

分かっているのにこのままでいいのか、分からない。

瑞稀にとって凛華とはどういう存在なのかよく分からぬまま。

もし、瑞稀と凛華が付き合ってくれさえすれば酒井も凛華を諦めると思うのに。

そんな自分中心に考えてはいけないと分かってるいても私には凛華を恨んでしまう部分がある。

何もしていないのに好かれて羨ましい。

私だって努力したはずなのに、意味が無かった。好きな人には好きな人がいるから。

いつの日か私を見てくれるまで一方通行でも許して欲しい。

好きだともう一度言えた時私を受け入れて欲しい。

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