「お疲れ様でした」
朝からフルで入っていた仕事を終え、足早に職場のコーヒーショップを後にする。
一日働き詰め、体は疲れているはずなのに、何故か通りを進む足取りは軽かった。仕事帰りの人の流れをすり抜け、目的地の路地に入る。
花木さんがオーナーを務める洋食屋『コスモス』電気のついていない看板に、定休日の札。側から見れば完全に休みだと分かる。
だけど、『コスモス』の定休日は、私にとって特別な日だ。ドアを押すと簡単にそれはベルを鳴らして開く。
「こんばんは」
「――――いらっしゃい、渚ちゃん」
挨拶をすると、奥のキッチンから間を空けて柔らかな声が返ってくる。花木さんはキッチンから顔を半分ほど出し、もうすぐ出来るから座ってて、と笑う。
ほぼ指定席のようになってしまったその席に座り、店内に香る、何かを煮込む食欲をそそる匂いを鼻いっぱいに吸い込む。
「いい匂い。今日はなんですか?」
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