リビングのソファに腰を下ろし、ふわふわのクッションをぎゅっと胸に抱きしめた。
最近お気に入りの柔らかいやつ。
手触りもいいし、落ち着くはずなのに。
スマホをいじりながら無意識にそれを抱いている自分に、ふと違和感を覚えた。
(あれ……これ、昨日もやってたよな……)
ベッドの上、“バックで”抱かれながら、声を堪えるためにクッションを抱いて顔を押しつけていた。
思い出した瞬間、耳の先まで真っ赤になる。
「最悪……なんで今それ思い出すんだよ……」
自分で自分にツッコミながら、クッションをポカポカと殴った。
でも手触りがよくて、結局またぎゅうっと抱きしめ返してしまう。
そこに、ひょこっと顔を覗かせたのは、当の本人。
「……なにしてんの?」
照は片眉を上げ、ちょっとだけ笑いをこらえてる顔。
バッとクッションを放り投げて立ち上がった。
「な、なんでもないから!てか、いきなり来んなよ!」
「いや、俺に合鍵渡したのふっかじゃん……」
「ちがっ、そういう問題じゃなくて!」
「んで、なんでクッションに八つ当たりしてたの?」
照の問いに、ぐぅっと喉の奥が詰まる。
言えるわけない。
“昨日のこと思い出して恥ずかしくなったから”なんて。
「……うっさい……」
視線を逸らして、ポソッと呟く。
照がすっと近づいて、耳元で低く囁いた。
「昨日のこと、思い出してた?」
「なっ……!」
図星を突かれ、顔を両手で覆った。
「違うから!」
「え〜、じゃあ他にクッションに八つ当たりする理由ある?」
「照っ!!」
叫んで、もう一度クッションを思いっきり投げる。
けど照は、いとも簡単にクッションキャッチして、そのままソファに座り、俺の腕を引いて膝の上に乗せた。
「……また、昨日みたいにする?」
耳元に落ちたその囁きに、顔が真っ赤になったまま、何も言えなくなった。
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デジャブ(#´ᗜ`#)ニコニコ