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第2収縮を終えて最終ラウンドが開始された頃プリンの方でも少し動きがあった。
「第3収縮がラストのラウンドなんですね?」
「恐らく運営もこれは予想してなかったんじゃないか?」
「まぁ、確かにこの時点で残ってる人達は経ったの50人ですもんね?」
「この人数じゃ先延ばししても無駄と判断したから急遽変えて第3収縮で終わらせようと思ったんだろう。で、代わりにポイントの変動も馬鹿みたいにレートを上げたわけだ。」
「確かなんでしたっけ?トップ10討伐でポイント獲得後所持ポイント三倍にはね上げるとかでしたっけ?」
「インフレがすぎるなこれは…。とはいえ運営側の心情も理解できるがな。」
「と、いいますと?」
「さっきから流れてきたログとありえないレベルの地鳴りだよ。」
「あぁ…。ログ結構えぐいこと書いてましたもんね」
「ルーマ→○○を踏み潰しでキル、だとさ」
「このルーマって人がさっきまであった地鳴りの正体で露骨に数を減らした元凶って訳ですか……。」
「そんな化け物が混ざってたらそりゃ運営側も焦ってこのイベント早く絞めたいわな。」
「でもお陰で私はランキングから外れたから良かったかな。」
「入れ替わるようにルーマっていう人が入ったみたいだからこの人も狙われる運命にあるね。とはいえ俺もまだランキングにいるから行動を共にしてる君も狙われるかもね?」
「じゃあ行動ともにするのやめときます。」
「そしたら数でやられるんじゃないか?」
「すんませんか弱い私を守ってください。」
「拳でクマを倒す女の子は守る必要ないんじゃないかな?」
「こんなに可愛い女の子を守れるなんてゴザルさん滅多にないですよ?」
「自分で可愛いとかあんまり言うもんじゃないよ。てか、別にそんなゴマすりしなくても一緒に行動するから安心しな。」
「あらヤダイケメン。」
「単純に数がいた方がお互い楽でしょ?」
「あらヤダ合理的主義。」
「それでこれからどうする?一応トップ10に入らないとお金とか手に入らないからやりに行かないといけないんだけど?」
「そうしたらほかのランカーを倒すしかないよね。」
「ランキングボードを確認してみると…。」
一位 ヒカル 二位 ベルノ 三位 ルーマ
四位 ゴザル 五位 グレン 六位 カールマ
七位 マキト 八位 メグル 九位 ソーマ
十位 ガルル
「こんな感じになってるな。」
「まず一位から五位までを狙うのはなしだよね?」
「俺も入ってるしそうだな。」
「そうなると六位から下の人だけどまずカールマって人は収縮中にやられたはずだから復帰はできないでしょ?となると候補から外れてほか四人を狙う感じだね。」
「手軽なのは十位と九位を狙う事だな。この辺りなら君でもサクッと倒せると思う。」
「一応私初心者ね?攻撃かすったらおしまいの初心者さんだからね?」
「何言ってんだ?攻撃なんて当たんなきゃいいんだろ?」
「あんたが何を言ってんだ?」
「要は戦闘にならなければ問題ないわけだ。奇襲を仕掛けてそのまま仕留められればそれでいいわけだ。」
「そうは言うけどそんな都合よく見つけられるわけ……。」
「居たぞ。」
「都合よく居たわァ……。」
森林エリアにて二人は緑が多い木の上に隠れている為その下を通る人物達を一方的に認識できるのだ。
「今下にいるのは八位のメグルって人だね」
「職業は何っぽい?」
「軽装なのと腰に直剣を携えてる感じ多分剣士かな?」
「剣士かぁ……。ならそうだな奇襲じゃなくて堂々とやりたいかも。」
「ポイントが欲しいんじゃないのか?」
「ポイントも欲しいけどそれ以上に自分以外の剣士を見ておきたいんだよね。」
「…なるほど。ただやられそうになっても助けには行かないぞ?」
「それは大丈夫!元々このイベントはそういうものだからね。」
そういい隠れていた木を離れメグルの前にプリンが現れる。
「ども!八位のメグルさんで間違いないですかね?」
「ほぉ?その防具はまだ初心者だがここまで生き残ってるということはラウンド2時点ではランキングに載ってたプリンセスという人物か?」
「そーですね!私プリンセスといいます。言いにくいのであればプリンとでも呼んでくれて構わないですよ!」
「ではプリンよ。何故君はこうして私の前に堂々と現れた?奇襲でも仕掛ければポイントは貰えたぞ?」
「ポイントも欲しいんですけどそれ以上に私自分以外の剣士さん見てないのでこの目で見て剣を交えてみたいなぁ、なんて。」
「そうか…。ではその礼儀に免じて私もしっかりと応えよう。プリンよ剣を抜け。」
「よーし!グレンさんには守られたけど他の人にはどう通用するのか確かめさせてもらいます!」
「……ん?今グレンと言ったか?」
「?はいそう言いましたけど…。」
「アンタ、グレンさんとこのイベントで会って戦ったのか?」
「戦いましたけど決着はつかなかったんですよね。」
「グレンさんと対等にやり合う上に生きて別れてるのか……。」
「あのー?メグルさん?手が少し震えてますよ?」
「あ、あぁ済まない。まさかそんな期待の新人とやれると思うと嬉しくてね。」
「それじゃあ行きますよぉ?まずはこっちの剣から!」
試作型焔の剣を鞘から抜き利き手に持ち手首を軽く二、三回回したあと一気に距離を詰めて横に剣を振るがやはりトップ10に入ってるだけの実力はあり割と余裕がありそうな防ぎ方をされてしまった。
「なるほどやっぱり強いですねぇ?」
「さ、さすがにな?というかこんな森林で炎の剣を振り回す神経は分からんがな?」
「あぁそれもそうですね。直前までグレンさんがこの近くで炎の渦を作り出して暴れてたのでそういうもんだと思ってました。」
「……そ、そうか。」
「それじゃあ次は別の剣でやりましょうか!」
すぐに距離を置いて試作型焔の剣をインベントリに終い今度は爆発細剣を取りだし刺突の構えをとる。
「先に注意しておきますね。これからやる突き攻撃なんですけど初見のグレンさんが本能的に咄嗟に守るくらいには強いみたいでその人から『殺人的な加速』ていうお墨付き貰ったので受け止める気なら覚悟してくださいね!」
敵に塩を送るような真似をしてるがそれをするのも無理はない。グレンに使う前に一度輩に使ってるがその時は肉眼では捉えられぬ速さで腹部を貫かれ反対の景色がキレイに見えるほどのデカさの『穴』が出来たほどの高火力。この時点で既に恐ろしいのに更にそこに恐ろしさが乗ってくるのはこの威力が 全力ではないということ。プリンが扱えるレベルに出力を抑えてこの威力というのがこの武器の恐ろしい点なのだ。それを理解してるからこそ彼女は相手に注意喚起をしたのだ。
(グレンさんと対等にやり合うほどの実力を持ちそのグレンさんが本能で守る判断をするほどの恐ろしい攻撃を今私に撃とうというのか?守るなら中途半端ではなく本気で守らないといけない。もちろん絶対守り切れるわけもないから避けることを視野に入れないといけないが果たして『殺人的な加速』をもつその武器を回避出来るほどの隙があるのか…。)
「……注意喚起しかと心得た。ではそれを信じ私も全力で守らせてもらおう!【アースガード】【プロテス】【ファイアウォール】【ウォーターウォール】」
(なるほどまずは土の壁を作り少しでも威力を落とそうという作戦か、土の壁も結構厚めだな。そしてそれに物理防御を底上げする魔法をかけて耐久値を上げてるわけか。もちろん術者本人にもプロテスは掛けてるみたいだな。そしてさらにその壁に火耐性を上げる方のファイアーウォールと水の壁を作る方のウォーターウォールを作り更に加速で飛んでくるレイピアの対策をしてくるわけか。比較的賢いみたいだがそれで防げるかはまた別問題だもんな?彼女の剣士としての実力を少し見せてもらおう。)
木の上で眺めるゴザルは特等席の観客なため勝手ながらにこの戦闘を楽しんでいた。
「それで守ってるつもりならそれでいいけどやられてから文句はなしだからね?」
「…問題ない。」
言っても彼女はまだ初心者だ武器によるバフがあろうとこの壁を超えることはほぼ不可能のはず。シンプルに硬くしてるのと序盤で手に入る属性武器な水と火の2種が多いためそれを封じるこの構えなら……。
「それじゃあグレンさんみたいに守ってね?爆発細剣起動!」
瞬間土の壁が破壊されその後ろにいたメグルの上半身は宙を舞い地面に転がりプリンは彼の後方に立っていた。
「……うっわぁ。グッロい武器とえぐい火力だなぁ。」
「やっぱりこの武器強いよね?これ初見で守ったグレンさんがイカれてるだけか。」
彼女にやられたメグルは理解するまもなく光の粒となり消えてキルログに名前が表示される。
一部始終を見ていたゴザルが降りてきてただ一言『中々にえぐいね』とだけ呟いてニコッと笑いかける。
「グレンレベルじゃなければ私もランキング入れそうだね!」