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#ロマンス
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11時。
お昼ご飯までいただいてしまってはあれだしそろそろ帰ろうかと考えていると、ポンと肩を叩かれた。
「帰ろーとか、思ってないですよね」
「え」
「夜まで、居るでしょ?」
リビング。ジンさんは席を外している。
昨日からだがなぜ龍さんは俺を帰らしてくれないのだろうか…。
「居ますよね」
「…ハァイ」
圧に負けた。
いや楽しいしジンさんと居れるしめちゃ良いことずくしなんだけど、こんなお邪魔してて良いのかな。
「ん、二人何してん?」
ジンさんが戻ってきた。
「いえ。シンさん夜まで居るみたいですよ」
「!そっかぁ、ゆっくりしてってね」
優しく笑いかけてくれる。
「ありがとうございます…」
嬉しいのに…。
ジンさんの横の人の眼圧が鋭い。
結局、お昼ご飯までいただいてしまった。
オムライス美味しかった。
夕方頃になると、段々と雨が降ってきた。
「雨降ってきたなぁ…」
「雷も降るらしいですよ」
「…へぇそうなんや…」
俺がそう伝えると、ジンさんの笑顔が一瞬固まったように見えた。
龍さんはなぜかニコニコとしている。
「ジンさん、雷、ですって」
「何嬉しそうにしてんねん」
「いやぁ?嬉しくないですよ?ふっ…うれしく…ふふっ…」
「嬉そうやなぁ」
堪えきれなくなったのか肩を揺らして笑っている。
ジンさんは呆れたように肩を落とした。
「あ、俺用事あるんで」
「は?」
「えっ」
「夜ご飯できたんで、二人でどうぞ。では、お邪魔しました」
そう言って本当にどこかへ行ってしまった。
二人で??え???
「…ごめんなぁシンくん…あん人自由なとこあるから…」
「いえ全然…ビックリはしますけどね」
会話が続かない。
龍さんが置いていってくれたご飯は二人分。
少なめなのが多分ジンさん。
特に話すこともないので、ご飯を食べた。
「ん、やっぱ美味しいですね」
「ね~。流石やわ」
この人も料理できるんだよな…。
ちょっと気になりつつ、口には出さない。
明日は午後からだが大学なので、お酒は無しにした。
「お腹いっぱいやぁ…シンくんお腹いっぱい?」
「はい、大満足です」
「そりゃ良かった。どうする?」
帰るか、まだ居るのか。
帰るのが普通だよなぁ。
「帰りま」
[ドカン]
近くに雷が落ちたらしい。
それは良いんだけれど、この状況は…??
「し、ジンさん??」
腕がジンさんに掴まれている。
「…いや、ごめん、忘れて」
「はい…」
スッと離れた。
[ゴロゴロ]
部屋に雷鳴が大きく響く。
肩が大きく揺れる。
もしかして…いやそんなわけ。
「ジンさん、雷苦手だったりします?」
「ッ”…んなわけなくない?」
笑顔を作ってはいるが、指先が震えている。
怒られること覚悟で、そっと手を握った。
「しっシンくん?」
「別に苦手でも良いじゃないですか。今は俺居ますよ」
真っ直ぐ見つめる。
ジンさんは口をパクパクとさせて固まっている。
「…すみません迷惑でしたよね」
「ぁぃゃ…その…シンくん…」
「はい」
気まづそうに目をそらされる。
が、握った手の力は少し強まった。
「明日…大学…朝から?」
「いえ、午後からです」
「…その…雷、ちょっとだけ、苦手でさ…」
果たしてちょっとなのだろうか。
「今日…迷惑ちゃうかったら、もうちょい…居てくれん…?」
座高の関係で上目遣い気味。
かわいい。
返事をする前に、また雷が一つ落ちた。
ジンさんは反射的に俺の胸の中。
何も言わず、そっと頭を撫でてみた。
うわやらか。ふわふわ…わーすご。
「ぇ、ゎ、ごめ…ぁ…?」
「ジンさんが要らないって言うまで、俺は居座りますよ」
「…ごめん」
「ごめんじゃないです」
「…んふ…ありがとう…」
ふっと肩の力が抜ける。
俺からは何も喋らず、手を動かし続けた。
朝のニュースでは朝まで雷らしいが、ジンさんに帰れと言われなければ平気だろう、きっと。
本人は俺の腕の中で小さくなっている。
いつもの、余裕たっぷりの大人オーラは0に。
引き取りたての子猫みたいになっている。
「…かわい」
「…やめい…」
耳が真っ赤。
「…いつもこんなんちゃうから」
「はい」
「…怖いわけちゃう」
「はい」
「ちょっと…苦手なだけ」
「はい」
「…一人でも、別に」
「そうですか?」
「…それは嘘」
「そうですか」
可愛い…。
ジンさんがこんなちっちゃくなってる所、初めてみた。
いやまず会ってからそんな経ってないのもあるけど。
手を頭からのけてみる。
「…」
何も言わず戻す。
えかわいー…。
「ジンさん」
「…なに」
「龍さんともこんなのしてるんですか?」
「ぃ、…毎日ちゃうし…雷だけ…別に…」
モゴモゴとしている。
顔はあげない。
「…俺じゃダメですか」
「…はっ?」
パッと顔をあげたジンさんは困惑した目でこちらを見つめた。
「俺じゃ…ダメ、ですか…」
目を大きく見開いて、俺の腕の中で固まったまま。
気まづい沈黙と、雨音だけが部屋に響いた。