もう一つの隣のクラスの男の奥村先生が言おうとしたら、体育館中に音量が壊れたみたいな大きな音でチャイムが突然鳴り響いた。
「誰が鳴らしているんだ!!」
白髪頭の校長先生が耳を塞いで叫んだ。
「私……見てきます!!」
耳を塞いでいた細い置田先生と羽良野先生が、血相変えて校舎の方へと走って行った。行き先は三階の放送室だ。
「あ、私も行きます!」
奥村先生ともう一人の男の先生が二人。後を追った。
僕は好奇心で先生の後を追おうとしたけれど、おじいちゃんの言葉を思い出した。その場でことの成り行きを神様に祈って見守るしかなかった。
僕はチャイムがなんで鳴ったかを気にしていない。
三階の放送室に生徒が残っていて、悪戯をしたのなら、その生徒が裏の畑に精工な人形を埋めたのかもしれない。けれど、僕は子供たちをバラバラにして埋めた人はやっぱり大人だと思う。
子供では無理だからではなくて、大人の方が都合がいい。
何故なら裏の畑には遊ぶ子供たちは、僕と藤堂君と篠原君だけなんだ。そして、その近辺の子供たちは学校帰りに遊ぶとしたら、裏の畑ではなくて家でゲームをしているかアニメを観ている普通の子供たちばかりだ。でも、大人なら毎日裏の畑で作物の手入れをしているし、食料の調達だとするとどんな時間帯でもいられる。
逆に子供だとすると、目立ちすぎてしまうからだ。
しばらくすると、大原先生たちが放送室から戻ってきた。
どうやら、誰もいなかったようだ。
でも、みんな真っ青な顔をして、顔を見合わせている。校長先生に話すときには、なんとか落ち着く努力を精一杯してるみたいだった。
「ちょっと、冗談にしてほしいですけど、誰もいなかったんです……。本当に……。それに、こんな物が置いてあったんですよ。校長先生」
瀧田先生が一つの人形の手のようなものを校長先生に渡していた。
僕の心にまたざわざわした靄が発生した。
「血のりもついているし、こんな不気味なことをする子供がいるなんて」
校長先生は人形のなにかを手でつまんで、しげしげと見つめながら訝しんだ。
よく見ると、それは人形の手のような一部だった。恐らく赤黒い血のりがついているのだろう。
僕は一部始終を確認して、胸の奥へとざわざわした靄を押し込めると、自分のクラスの5年2組へと戻った。
校長先生はステージの教壇へと急いで向かう。
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