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ある夜。朔夜は単独で情報収集に出ていた際に、上弦の鬼の気配を察知した。
(このまま見逃せば、多くの人が犠牲になる…。いやでも、私一人の力で勝てるのか……?違う。勝てるか勝てないかじゃない。私がやるんだ。)
迷いを断ち切り、朔夜は単身で上弦の鬼へ挑む。
――
深い森の奥から、上弦の鬼が悠々と現れた。「珍しいな、女の鬼狩りか。なかなか面白い。」
鬼の圧倒的な殺気に空気が凍りつく中、朔夜は震えながらも刀を握りしめた。
朔夜「闇の呼吸…壱の型、常世乃闇!」
漆黒の闇で鬼の感覚を遮ろうとするが、上弦の鬼はその闇の中でも自在に動き、斬撃を幾度も回避する。
「ちっぽけな闇だ。私には通じん。」
鬼の腕が朔夜を捉え、壁に叩きつける。
血が流れ、視界が滲む中、朔夜は諦めない。
(ここで終わってしまうのか…?けれど…伊黒さんに、胸を張って弟子だと言ってもらえる自分になりたい…!)
鬼が止めを刺そうとした、その瞬間――
“しゅるしゅる”――蛇のようなうねりと共に、空間を切り裂く一閃。
「お前に、俺の大事な弟子は殺させない。」
闇の中から伊黒小芭内が現れ、刀で鬼の攻撃を受け止める。伊黒の蛇の呼吸が、圧倒的な速さで上弦の鬼に繰り出される。
伊黒「立て、朔夜。お前の剣はこんな事では決して折れはしない。それに闇の中にさえ引き摺り込めることさえ出来たらそこからは俺達の形勢は一気に逆転するはずだ。」
朔夜「…はい、師範…!」
ふたりは背中合わせに構えた。師弟の呼吸が絶妙に絡み合う。
伊黒の蛇のような執念深い連撃、朔夜の闇の中での奇襲――
二人の連携で鬼の隙を作り、ついに伊黒の一撃が鬼の首を斬り落とした。
「まさか…まさか…女の鬼狩りと、こんな柱なんかに切られるとは……!屈辱だ…!」
鬼が負け惜しみを言い残しながら消え去ると、朔夜は漸く膝をついた。その肩に伊黒がそっと手を置く。
伊黒「…余り無理をしすぎるな。…だが、よく最期まで諦めなかった。お前は俺の、誇れる弟子だ。認めよう。」
朔夜の瞳に、涙が一筋光った
朔夜「ありがとうございます…伊黒さん…!」
夜明けの気配の中、朔夜は“闇を照らす師の光”を心の奥から感じていた。
上弦の鬼との壮絶な戦いの後、森に朝日が差し始める。
うずくまる朔夜のもとへ、仲間や柱が駆け寄ってくる。
蜜璃は誰よりも早く朔夜に駆け寄り、抱きしめるように手を取り、涙ぐむ。
蜜璃「朔夜ちゃん、大丈夫!?もう…もう、心配で…!本当に良かった、生きてて…!」
伊黒「…俺達は無事だからもう泣くな。甘露寺…」
蜜璃は朔夜の傷を優しく抱きしめ、「本当に頑張ったね」と何度も声をかける。
炭治郎「朔夜さん…すごい!あんな強い鬼を逃げずに――…それに伊黒さんとの呼吸の連携、本当に感動しました!」
善逸「もう…死んじゃうかと思ったじゃないか!でも……。いや、やっぱすごすぎるよ……朔夜は。」
伊之助「お前、超強え!またオレとも戦え!今度こそ俺様は負けねえからな!」
同期たちはそれぞれの言葉で朔夜に想いを伝え、その勇敢さを讃える。
冨岡義勇「立派だった。隊士の名に相応しい連携だ。」
胡蝶しのぶ「戦いによって身体がボロボロですから、傷の手当ては私たちにお任せを。…それにしても立派なお弟子さんですね、伊黒さん。」
煉獄杏寿郎「素晴らしい闘いであった!君の闇の呼吸、実に見事だったぞ!!これならば御館様にも一端の隊士として認めてもらえるだろう!」
宇髄天元「派手にやるじゃねえか、伊黒!朔夜!伊黒!お前の継子、なかなかイケてるぜ!正直見くびってたわ」
時透無一郎「…すごかったよ、君。あんな強い敵に。しかもまだ隊士になってそんなに経ってないのに。」
不死川実弥:「てめぇ……見た目以上に根性あるな……でも次はバカな真似はすんなよ。無理せず俺らを頼れ。死んだら元も子もないからな。」
柱たちはそれぞれの流儀で、朔夜の奮闘、そして伊黒の師としての姿勢を褒め称える。
蜜璃や炭治郎たち、柱の温かい言葉に、朔夜は初めて自分が“仲間に認められている”と実感した。そして伊黒は何も言わずに小さく頷き、いつもより少しだけ長く朔夜の肩に手を置いた。
朔夜(私はもう、闇に閉じ込められてはいないんだ――。みんなの光の中にいる。)
こうして朔夜は、仲間と師に囲まれながら、また新たな一歩を踏み出していく―
fin
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