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くるっぷより再掲
「好きだよ。
はい、どう感じた?」
どうもこうも、ただ言葉を聞き取った、としか感じれない。
事の発端は俺の独り言だ。
「なんで人間って結婚とかすんねんやろ」
単なる疑問にこいつが反応したのが始まりである。
「…君ってリア充とか嫌いな感じ?」
目を丸くさせながらもいつもの声のトーンで問われる。明らかに動揺していることがわかる。
「リア充ってなんや。食いもんか」
な訳ないじゃん、とため息をつかれる。俺はこいつの言う事の意味がわからない。
人は結婚をする。所謂、契ちぎりだ。俺たちにはそういった習慣がない。疑問に思うのは当然だろう。
「君、好きとかわからない感じでしょ。結婚っていうのは、好きな人とするんだよ」
また何を言っているのかわからなくなる。好きとはなんだ。
「…好きっていうのは、そばにいてほしいとか、取られたくないっていう気持ちだよ。君もあるでしょ?」
「…魚とか」
俺の地では魚は滅多に取れない。そういうのが好きという行為なのだろうか。
「まぁそうだけど…好きって言われて嬉しいとかないの
なさそうだね、君なら」
アハハ、と乾いた笑いをされる。なんとなくムカついた。
じゃあ実践してみよう、と手を取られ目の前に座られる。
「なんや、」
ただ目を見つめられる。10秒は経った気がした。
「ヤマトくん、好きだよ
はい、どう?嬉しい?」
嬉々とした声で問われた。正直、ただ手を取られ言葉を重ねられても、何も感じない。それに
「お前のペラッペラな声聞いてもなんも感じへんけど」
「…そっか!」
今日イチの笑みを浮かべて手を離し、こいつは寝そべった。
恋や愛というのは、僕らが成長するにあたって必然的に学習するものだと思っていた。
けれど、この覇者にはそんなものなんてなかった。
君はやっぱり他とは違うんだね、大和くん。
君は人に寄り添おうとする努力もしない、ただ力を欲して今も生きている。
僕はそんな君が好きだ。勿論、愛や恋なんて存在しないよ。
僕が君に向けている感情も、ね
オマケ
「好きっていうんはな、それんこと思っとるとニヤニヤしてたまらんこと言うねんで!」
やましろは笑顔でそう答えた。
「…ごめん、兄ちゃんわからんわ」
大丈夫や!兄ちゃんやったら近いうちにわかるから!とフォローを入れるように言う。
俺は兄ちゃん大好きやで!とトコトコ歩いて抱きついてくる。すかさずだっこする。ニヤニヤはできないが、何か満足感はある。
これはなんだろう。なんと言う感情なのだろうか。明日、吉備に聞いてみよう。きっとあいつなら教えてくれる。
そう思って2人は眠りについた。