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#鬱展開
Mist-404
1,165
mogyumogyuGemi
646
GENESIS・中央制御区画
00:09:41
00:09:40
00:09:39――
巨大モニターに表示された数字が、一秒ずつ減っていく。
その横には世界地図。
日本だけではない。
北米。
欧州。
アジア。
南米。
世界各地に赤い反応が浮かんでいた。
ソウヤが画面を睨む。
「……九分後に何が起きる?」
タジは床に座り込んだまま端末を操作する。
Invaderによる脳への負担はまだ抜けていない。
「分からない……。」
「ただ、GENESISから世界各地の施設へ同時に信号が送られている。」
千太が尋ねる。
「止められる?」
「中央制御装置まで行ければ……可能性はある。」
イレイダが刀を担ぐ。
「なら決まりだ。」
「行くぞ。」
結衣が睨む。
「イレイダ。」
「……分かってる。」
先ほどまで腹部を押さえていたイレイダは、小さく息を吐く。
「無茶はしねぇ。」
アリスが横からじっと見上げる。
「信用できないね。」
「お前まで言うのか。」
ネリクマがぼそっと続ける。
「私も。」
「増えんな。」
一瞬だけ緊張が緩む。
だが――
00:09:21
時間は待ってくれない。
中央制御室へ
一行はGENESIS深部へ走り出した。
ソウヤ。
イレイダ。
結衣。
タジ。
アリス。
ネリクマ。
そして千太たち。
通路を進んだ直後――
ガコン!
前後の隔壁が閉鎖。
天井が開く。
「来るぞ!」
数十機のAz無人兵器が降下した。
今までとは違う。
四脚型。
高速型。
大型重装甲型。
役割の異なる機体が組み合わされている。
タジが叫ぶ。
「こいつら、これまでの戦闘データを共有してる!」
「つまり?」
「俺たちへの対策済み!」
イレイダ
高速型三機が同時に動いた。
狙いはイレイダ。
「私からか!」
一機目。
正面から斬撃を受け止めるため、腕部装甲を展開。
イレイダは直前で刀を止めた。
「誰が斬るって言った?」
踏み込む。
Physical attacker。
腰から力を伝え――
拳。
ドゴォォン!!
装甲ごと機体が吹き飛ぶ。
だが二機目が死角へ回る。
機械腕がイレイダの脇腹へ。
ガッ!!
「ぐっ……!」
イレイダが吹き飛ばされる。
「イレイダ!」
アリスの右目が輝く。
「――止まりな!」
Space-time Operator。
一瞬。
二機目の動きが停止する。
「イレイダ!」
「分かってる!」
イレイダが空中で体勢を立て直す。
着地。
停止解除。
同時に踏み込む。
ズバァッ!!
機械兵の脚部を斬断。
そのまま回転して蹴り。
ドガァン!!
二機目も壁へ叩き込んだ。
しかしアリスは右目を押さえる。
「っ……。」
イレイダが気づく。
「アリス!」
「大丈夫!」
「連発すんな!」
「それ、イレイダが言う?」
「今は私の話をしてる場合じゃねぇ!」
ネリクマ
大型機が前へ出る。
全身を特殊装甲で覆い、ネリクマとの接触を避けるように遠距離砲撃を開始。
ドドドドドッ!!
ネリクマが横へ跳ぶ。
「……学習してる。」
砲撃。
さらに砲撃。
近づかせない。
ネリクマは床へ手を置いた。
「でも――」
strāgēs(破壊)。
床そのものを無差別に壊すのではない。
破壊の対象を絞る。
大型機の真下。
ピシッ。
床の支持部分だけが崩壊。
「接触しなくてもやれる。」
ガコン!!
大型機の足場が抜ける。
巨体が傾いた。
その瞬間――
ネリクマが走る。
跳躍。
機体へ掌を押し当てた。
「終わり。」
バキッ。
装甲表面に小さな亀裂。
次の瞬間。
バギギギギギッ!!
内部まで一気に崩壊。
ズガァァン!!
ネリクマが着地する。
イレイダが横目で見る。
「相変わらず無茶苦茶だな。」
「イレイダに言われたくない。」
「お前もそれ言うのかよ。」
ソウヤ
残る高速型がソウヤへ襲いかかる。
ソウヤは構える。
レイはもう前面にはいない。
今は――ソウヤ自身。
(レイ。)
「聞こえている。」
(力は借りない。)
「好きにしろ。」
(でも――見ててくれ。)
一機目が右から。
ソウヤは身体を沈める。
かわす。
二機目。
正面。
拳を受ける――のではなく、腕の外側へ身体を滑らせる。
「ここ!」
ドッ!
関節へ拳。
壊れない。
「硬っ……!」
「踏み込みが浅い。」
「分かってる!」
ソウヤがもう一歩入る。
腰。
肩。
拳。
レイが使っていた身体操作を思い出す。
ドゴッ!!
今度は関節が歪む。
機体の姿勢が崩れた。
そこへ――
イレイダが飛び込む。
「どけ!」
「うおっ!?」
ドガァァン!!
蹴り一発。
機体が壁へめり込む。
ソウヤがイレイダを見る。
「俺が倒そうとしてたんだけど!」
「遅い。」
「少しくらい待てよ!」
「戦場で敵が待ってくれるか?」
「正論なのが腹立つ!」
残り七分
00:07:03
機械兵を突破。
タジが壁へ寄りかかりながら進む。
結衣が支える。
「タジ、もう能力使っちゃ駄目だからね。」
「でも中央システムを止めるには――」
「駄目。」
「……はい。」
その時。
千太が突然立ち止まった。
「待って。」
ソウヤが振り返る。
「どうした?」
千太の視線が虚空へ向く。
未来。
断片的な映像。
GENESIS。
光。
崩壊。
そして――
二つに分かれる道。
千太が現実へ戻る。
「この先で分岐する。」
イレイダが眉をひそめる。
「道が?」
「違う。」
千太はソウヤを見る。
「俺たちがだ。」
東京湾
ドォォォォン!!
グランの拳が間宮トオルの障壁を粉砕する。
間宮が後退。
グランは止まらない。
間宮の解析は確実に進んでいる。
しかし――グランは戦闘中に攻撃の組み立てそのものを変えていた。
間宮が右拳を予測。
グランは拳を引く。
蹴りと予測。
それも使わない。
身体ごと間宮へぶつかる。
ドゴォン!!
「……っ!」
間宮が吹き飛ぶ。
グランが追う。
「お前の能力には欠点がある。」
「……。」
「理解したところで――」
赤い片目が間宮を射抜く。
「対応できなければ意味がない。」
その後方。
Azの増援をマランとペインが食い止めている。
ハルシオン
フランが世界地図を見つめる。
「各国の反応は?」
ベルトが答える。
「増加しています。」
「GENESISのカウントダウンと完全に同期。」
フランの表情が険しくなる。
「こちらから止められるか?」
「東京湾施設への直接攻撃なら可能です。」
「駄目だ。」
即答。
「内部にはソウヤたちだけじゃない。捕虜もいる。」
ベルトが頷く。
「では――」
「待つ。」
フランはGENESISを見据える。
「中にいる連中を信じる。」
名取家
一方。
名取惣一。
千藤院刹那。
夜鳴鵺夢幻。
三人は地下最深部へ到達していた。
巨大な祭壇。
その中央には――名取家の紋章。
刹那が呟く。
「なぜこの場所に……。」
夢幻は祭壇を見つめる。
「惣一さん。」
「ああ。」
惣一の表情は険しい。
「Azとは別件だ。」
GENESISと同時に発生した異変。
しかし――原因は同じとは限らない。
惣一は祭壇へ近づく。
そこに古い文字が刻まれている。
読み取った瞬間。
惣一の足が止まった。
「……。」
刹那が尋ねる。
「惣一様?」
「これは――」
その時。
ドクン。
祭壇が脈打った。
夢幻が叫ぶ。
「離れろ!」
黒い何かが噴き出す。
三人が散開。
名取家もまた――
能研とは完全に異なる戦いへ突入する。
GENESIS・分岐点
00:05:12
ソウヤたちは巨大な分岐区画へ到着した。
タジが地図を見る。
「右が中央制御室。」
「左は?」
「……収容区画の中枢。」
結衣が反応する。
「捕まってる人たち?」
「うん。」
さらにタジの表情が曇る。
「生命維持システムが低下している。」
「このままだと……。」
ソウヤが中央制御室を見る。
残り五分。
世界規模のGENESIS起動を止める必要がある。
しかし左には――
今まさに命を失おうとしている能力者たち。
「二手に分かれる。」
イレイダが即断した。
ソウヤを見る。
「お前は中央へ行け。」
「でも――」
「世界を止めるのがお前の仕事だ。」
イレイダは刀を肩へ乗せる。
「こっちは私たちがやる。」
アリスが当然のようにイレイダの横へ立つ。
「私も行くわ。」
「お前は――」
「行くの!」
「……分かったよ。」
ネリクマも左へ歩き出す。
「私もそっち。」
イレイダが見る。
「いいのか?」
「壊さないと開かない場所、ありそうだから。」
「頼りにしてる。」
ネリクマが少しだけ笑う。
「珍しい。」
「うるせぇ。」
結衣も残る。
「救出した人たちの治療が必要になる。」
ソウヤは四人を見る。
イレイダ。
アリス。
ネリクマ。
結衣。
「……任せた。」
イレイダが拳を軽くソウヤの胸へ当てる。
「そっちこそ失敗すんなよ。」
「ああ。」
二つの道
中央制御室へ――
ソウヤ、タジ、千太たちNWO。
収容中枢へ――
イレイダ、結衣、アリス、ネリクマ。
二つの部隊が別方向へ走り出す。
00:04:39
00:04:38
00:04:37――
エピローグ
中央制御室へ向かう途中。
突然、レイが呟いた。
「ソウヤ。」
(なんだ?)
「この先にいる。」
ソウヤの足が僅かに止まる。
(誰が?)
レイは答えない。
だが――
ソウヤには分かった。
恐れているのではない。
怒っている。
これまでにないほど、レイの感情が激しく揺れている。
「今度こそ――」
レイの低い声。
「逃がさない。」
ソウヤが目を見開く。
(レイ……?)
中央制御室。
その巨大な扉の向こう。
一人の人物が椅子に座っていた。
モニターには、
00:04:21
男は静かに目を開く。
「来るか。」
そして――
ソウヤの名前ではなく、
別の名を口にした。
しかし、その声は警報にかき消される。
まだ誰にも聞こえない。
まだ誰も知らない。
レイの本当の正体を。
第81話 完
コメント
1件
いやあ、もう息つく暇もない展開ですね…!残り九分のカウントダウン、しかも世界規模で同時進行してるってのがホラーじみてて背筋が冷えました。中央制御室と収容中枢の二手に分かれる選択、ここでイレイダたちが迷わず「左を行く」と言い切ったのがかっこよかった。あと、アリスが「信用できないね」ってイレイダに言うシーン、ちょっと笑っちゃいました。最後のレイの「逃がさない」…これはもう、ただの並行存在じゃない何かですよね。設定が深層で繋がってそうで、次が待ち遠しいです!