王様ゲーム のだわな
ほんのちょっとのだわなです。
ギャグです。苦労人かぶとくんです。
全編ほぼかぶとくんによる語り。
R-18 ✕
それではSTART
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俺の名は小峠華太。
突如開始された悪魔のようなゲームから脱出する方法を模索するアラサーの極道だ。
シマ内にある小さな事務所の一室。
俺はいつもの様にアガりの計算やら事務作業やらを片付ける為にパソコンと向き合っていた。
その横では小林の兄貴がそのデカい体躯を縮める様にしてソファに座り眠っていた。
眠っていた、はずだった。
「なぁなぁ華太〜王様ゲームやろうぜ〜」
「え、はい?」
突然の事に思わず言葉短く返事してしまいマズイ!と思った俺はすぐさま言葉を続けた。
「王様ゲーム、ですか。2人で出来るものなのでしょうか?」
そう、今この室内には俺の小林の兄貴しかいないのだ。この状況ではどうあがいても小林の兄貴が王様だろう。無茶な要求をされる事は目に見えている。なんとしてもそれは避けたい。
そう考えた俺はなんとか断れないかとやんわりと止めようとした。
「やってみなきゃ分かんねぇだろー?」
無理だ。俺には出来ない。ゲームが始まっても始まらなくても俺は奴隷確定だ。
頭を抱えそうになるのをグッと堪え、それならばいっそさっさと終わらせてしまおう。
なら出来る事を限られるそんな無茶な命令は来ないだろう、きっと。
そんな心境に至り、分かりましたと返事をしようとした瞬間、無情にも部屋のドアが開いた。
「「小林の兄貴!小峠の兄貴!お疲れ様です!」」
元気よく響く二人分の声。
「……………おぅ、お疲れ」
北岡と速水だ。
くそ、なんてタイミングが悪いんだコイツら!!
いっそコイツらに全部押し付けてやろうか!?
「あれ、兄貴顔色悪いですよ…?」
心配そうな顔で気遣ってくる速水に殺意が湧きそうになるのを誤魔化し大丈夫だと告げる。
「小林の兄貴、お疲れ様です。小峠もお疲れ。」
そう爽やかな声と共に現れたのは香月の兄貴。
そう言えば3人で見回り行ってたんだな。香月の兄貴、ご愁傷さまです。思考を遠くに飛ばしていたが、挨拶だけはしっかり返す。
「香月の兄貴、お疲れ様です」
俺の妙な様子が気にかかったのか香月の兄貴が何かを言おうとした瞬間。
「人数増えたじゃん!これでいけるよな!?」
満面の笑みを浮かべた小林の兄貴の悪魔的なその一声により、強制的に王様ゲームは開始された。
ーー数刻後
まだか。まだ続くのか…?
小林の兄貴以外はみな顔面蒼白、張り付けたような笑顔を浮かべながらゲームを続けている。
既に3回王様が変わっている。が、小林の兄貴は未だ王様にはなっていない。きっと小林の兄貴が王様になるまで終わらない。皆そう思っているのだ。
北岡が2回、速水が1回王様を引いていたが、コイツらどんだけクジ運悪いんだと哀れみを向けつつ、自身が変わってやるという選択肢はない。
因みに1回目は香月の兄貴が3回まわってワンをやり、2回目が俺が早口言葉を言わされ、3回目は速水が小林の兄貴の好きな所を3つ言わされていた。
兄貴が王様でもキツいが自分が王様になるのもキツい。兄貴、頼むから早く王様を引いてくれ…!
そう願いながら4回目。
遂にその時が来た。
「「「「「王様だーれだ。」」」」」
「俺だ〜〜〜!!」
ニッコニコと無邪気に喜ぶ小林の兄貴を見て皆がホッとする。
しかし、その後訪れるであろう試練を想像し徐々に緊張した面持ちになっていく。
兄貴の事だ。きっととてつもなくエグいのが来るだろう。定番なら色時系だがこのメンツなら流石にないか?なら身体的なペナルティになる何かか。殴られるのも嫌だが額に文字だけは勘弁して欲しい。
皆が全神経を集中し小林の兄貴の一言待つ。そして遂に王様からの御触れが発せられた。
「じゃあ〜4番!!」
終わった。俺だ。死んだ。
一瞬で目と表情筋が死んだ俺を見て香月の兄貴達は俺が4番だと悟ったのだろう。安堵と哀れみを浮かべたような視線を向けられる。が、しかしまだ分からない。お題によるぞと3人にも緊張が戻る。
「4番のやつがメッセの上から7番目のやつが好きですって送る!!」
は??いや冗談だろ?まさかのここにいる人で完結しない命令じゃねぇか。というかそれ相手によっては社会的に死ぬやつじゃねぇか?地位的にだけではなく物理的に死ぬ可能性もあるぞ??
脳内では忙しなく言葉が溢れるものの、現実の俺は固まったまま動けなかった。
「4番誰だ〜?」
「…俺です」
兄貴の催促に漸く言葉を振り絞って返事をする。
「華太かぁ。ほら、スマホ出せよ」
狂人スマイルを浮かべ圧をかけてくる小林の兄貴を前に、俺は震える手でスマホを取り出す。
どうか、どうか。舎弟どもの誰かであってくれ…。
上から7番目。
そこにあった名前は。
【和中の兄貴】
終わった。死んだ。そしてこの後また死ぬ。
「小峠、その、どうだ?誰だ?」
香月の兄貴が心配そうに声をかけてくれるが、俺はスマホの画面を見せるので精一杯だった。
そこにあった名前に、香月の兄貴は思っきり目を見開くと引き攣った笑みを浮かべ、北岡と速水は俺と同じ位顔面蒼白になっている。
「うわー!和中じゃん!」
唯一、小林の兄貴だけが爆笑している。
「華太〜。王様の命令は絶対、だよな?」
親と兄貴の命令が絶対、は知ってますが王様の命令は絶対、なんて知りません。なんて屁理屈を思い浮かべながら、皆の視線を一身に浴びる俺は尚も震える指で和中の兄貴にメッセージを送った。
あぁ、明日からの俺よ、さようなら
なんて返事来るかな〜と未だニコニコと楽しそうな小林の兄貴だが、和中の兄貴は決して返信は早い方ではない。既読がつく前になんとか言い訳を考えて送らなければ。
そう思い指を動かそうとしたその時、画面上に表れたのは既読の2文字。
その2文字を目にした瞬間俺は思わず天を仰いだ。
誰だ北岡と速水に運が悪いとか言ったやつ俺の方が悪いじゃねえか!ってあぁおれが言ったのか。
そんなどうでもいい自問自答と突っ込みをしていると和中の兄貴から着信が来た。
これはヤバい。本格的にヤバい。そう思いながら精一杯の誠実さと言い訳で切り抜けようと電話を取った。
「和中の兄貴!すみません!さっきのh…」
『か〜ぶとちゃん?どぉ〜いう事かなぁ〜?』
俺は確かに和中の兄貴からの電話に出た筈だ。しかし電話口から聞こえるのはどう考えても野田の兄貴の声だ。しかも怒っている。かなり怒っている。
「えっ、?あっ?の、野田の兄貴…?」
予想外の人物の出現に盛大に狼狽える俺を見て、小林の兄貴はゲラゲラと笑い、香月の兄貴は労る様に俺の肩を叩き、舎弟2人はただひたすらオロオロとしていた。
あぁ、もう精神が完売しそうだ…
(のだわな)
突然送られてきたメッセージ。
『好きです』
そう一言だけのメッセージ。
どういう意図で送られてきたのかが分からず、画面を見つめながら思わず停止してしまう。
この一言だけで続きがない事にも困惑し更に考え込んでしまう。
「ん?どした?」
スマホの画面を見つめたまま固まっている和中が気になったのか、隣にいた野田がヒョイとスマホの画面を覗き込んだ。
お互い見られて疚しいものがある訳ではないので今まで気にした事が無かったが今回ばかりはタイミングが悪かった。
あっ、と和中が思った時にはもう遅く、野田の周りの空気が急激に冷えていくのが分かった。
「和中ぁ、こりゃなんじゃあ?」
「いや、俺も分からない…」
「ほーん?あぁそう。 ちと電話貸せや」
和中は素直に答え、素直にスマホを渡す。
小峠からの連絡はまぁ割とある方だが大方が事務的な連絡だ。こんな内容を送ってくるのは何か理由でもあるのではないかと和中は察するも、今の野田を止める事は恐らく無理だろうと諦める。
華太、すまん…
心の中でそう一言謝ると電話口で小峠を詰める野田を見て困ったように一つ笑った。
(この後ちゃんと小林の兄貴が説明して小峠は事なきを得ました)
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昨日は実は電波が悪くて投稿出来なかったんです。
なのでのだわなの投稿は昨日の分。こっちの作品は今日の分です。
すいません💦
あと今思ったんですけど小林と和中がヤってる時に小峠から着信が来て電話プレイとか良いですよねԅ( ิټ ิԅ)グヘヘヘ
コメント
3件
電話プレイですか…めっちゃ良いですね( ノ ̫<。 )見てみたい…
電話プレイ...いいな(๑╹ω╹๑ )
嫉妬してる野田に和中がアワアワしてそう(笑) かわちぃ