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俺───ぺいんとはしにがみと話さず1週間近くになってきた。…そろそろ仲直りはしなければならない。それはもう溜め撮りをしておきたいのもあるけど……何より日常組のみんなでゲームしたり撮影したりしたかった。ここ1週間ほどは特に誰とも話さずの生活で、酷く窮屈だ。 話したのはクロノアさんだけで、ただゲームを2時間ほどしただけ。
俺はとにかく、みんなと楽しく話したかった。
「………わかってるのになぁ。」
───本当はわかってる。しにがみがすごい努力家なことは。データパックも、ゲームも、自作ゲームも、撮影の時の挨拶も…全部、ぜーんぶ日常組のみんなやリスナーさんのために、考えて考えて考え抜いて楽しませようと努力していること。
全部わかっているはずだったのに。
しにがみの苦しみに気づけなかったのは、元リーダーである俺の責任だ。1番みんなを見れるはずなのに。
「バカだなぁ、俺……。」
机に伏せて、ポツリと呟く。でもそれは誰にも拾われることはない。ただ空気に消えて俺が少し息苦しくなるだけだ。
そんな時にふと体にまで伝わる振動。それは机に伝わったスマホからのメールの振動だった。開ける気力こそなかったが、あまりにもメールの振動が鳴り止まないため仕方が無しに見る。
「───・・・っは?」
メールに記された内容を見て、俺は背筋が凍った。いや、まぁ…そりゃそうだろ。
“しにがみが消えた”
・・・なんてメールを送られたら、そんな反応にもなる。ちなみに言ってしまえばメールの送り主はトラゾーで、家に行ったところインターホンをいくら押しても出て来ず試しにドアを開けようと思ったらまさかの開いてしまい…。家の中に入るも中はもぬけの殻であり、スマホやら財布やら家の鍵やらも全て机の上に置いて出て行ったらしい。
つまりしにがみの家には、靴と上着だけがないという事実を突きつけられた。
「・・・ったく!!!」
俺は心の声を強く言葉にしながら羽織ものを着てスマホを持ち、家を出る準備をした。
「何やってんだあいつ!!」
───あいつの悪いところは自分自身のいいところを探さないところだ。すぐ自分には何もできないとか、ぺいんとさんには才能があるとか、僕なんて無力だとか……。
マジでふざけんじゃねぇぞ!!!!
見つけたらあいつ説教だよ。日本で1番の説教をしにがみに突きつけてやる。
そんな時にふと鳴り響く通知音。俺はポケットからスマホを取り出してメールを見れば、トラゾーからメールは来ていて、車で一緒に探しに行こうという誘いだった。
『おっけー。ありがと』
そそくさとメールを打ち、すぐに既読がついたそれはメールが返ってくることはなかった。そのくらい、トラゾーもしにがみに説教をしたいから。
───お前はいいな。愛されてんだぞ、ほんとに。