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アイドルの審査とかって凄く厳しいイメージがある笑 だから、千紗ちゃんがこんなにも早く成長してオーディション受けて一次、二次審査受かるのほんと凄い!
時の流れは早く、1年が経った。まだまだ未熟だが入った当初よりスタミナは付いたし、それ以上に笑顔が増えた。
「おはよう千紗。今日も頑張りましょうね!」
「はい!」
いつもと同じ練習メニューで、いつもと同じメンバーで、アイドルへの道のりを歩いていく。
「今日の練習は終わり。みんなちゃんと休んでね!」
「「はーい」」
ふぅ、終わった……と思ったら後ろからちょっと、と呼び出された。
「あれ……美佐都さんどうしました?」
「ちょっと話したいことがあるの。この場でいいからよく聞いてくれる?」
なんだろうと思いながらも頷いて黙々と話す美佐都さんを見つめる。
「……それで、千紗はアイドルやってたからかも知れないんだけど、成長のスピードが尋常じゃないほど早くて」
まぁそんな人は多々いるだろうと聞き流すように相槌を取っていると
「それが目に入った芸能事務所の人が今すぐにでも迎え入れたいって言ってくださったの」
「…えっ?」
「私が育ててきた子達も早くて1年半とかで芸能事務所に入る子が多いから、こんな早い子初めてで……凄く驚いてるわ」
「あなたのタイミングでいいわ。でも、私からはもう教えることは無いかもね。」
「……」
芸能事務所、1年で……
自分の才能を見直す。そこまでの実力があると思わなかった。
「オーディションはあるから、その手助けはしていくわ。
ねぇ千紗、入ってみない…?」
私が……
しばらくの沈黙の後私はこう返事をした。
「やらせてください。」
「……千紗ならそう言うと思ったわ!ありがとう。じゃあこの紙、申込届だからちゃんと書いとくのよ。」
はい!と元気よく返事をした
家に帰り早速申込届に自分の詳細を書く。私に目をつけてくれた芸能事務所は結構有名なところで世界的に知られているところとのこと。美佐都さんに聞く限りその芸能事務所の名前は「アクトレスタジオ」。
私でも知っている。でも、有名だからこそ志願人数は多くとても大きな壁だ。
落ちる確率の方が大いにある。けど今までの努力を無駄になんかしない……やってみせる。
見事に1次審査の書類審査は合格した。
そして2次審査の日。色んな人がいる中で会場に向かう。
今回の合否基準は面接だ。
「次の人どうぞ。」
私の番だ……
「失礼します。」
「どうぞ座ってください。」
はい。と丁寧に座る。
「お名前は?」
「竿味千紗です。」
「さおみ、さんですね。」
「早速ですが自己PRをお願いします。」
「はい……」
自己PR。来るとは分かっていたけどいざきたとなったら言いたかった言葉を全て忘れてしまった。
でも、自然に見せるように今の自分のいい所をなるべく言う。
「私は、まだ無名のアイドル時代人一倍努力をしてきました。でもいつも下に立って、誰も私の努力を見ようとなんてしていませんでした。」
「養成所に入って、陰で泣いてる子や技術力があるのに認められない、努力してるところを見向きもされていない子がいました。」
「ライバルであるのに、その姿を見るのが耐えられなくて私はそう言う子達に声掛けをしてました。 」
『私がちゃんと見てるから』
「私はちゃんと周りが見えるという優しい一面があると自分で思います!それに、笑顔でいることが得意です!」
しばらく審査員は険しい顔をしていたが、すぐに笑顔に優しい笑顔を見せた。
「ありがとうございます。素敵なPRでした。」
「ありがとうございます!失礼しました。」
この二次審査も通ればいいのだが……
2次審査の結果。
「合格……」
合格したんだ、私……
涙が溢れそうになったが、まだダメだ。
次で最後の三次審査。この審査はハードルが高く色んな人が落ちることとなるだろう。
でも、笑顔で。ありのままの私で、
「行ってきます。」
三次審査へと向かう。