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朝陽と絹は信愛たちへ向き直ると、深く頭を下げた。
「先輩方・・ありがとうございました」
隣に立つ絹も同じように頭を下げる。
「本当に・・・本当にありがとう」
母子そろって深々と礼をする姿に、信愛は柔らかく微笑んだ。
「うう・・・いいですよ」
その優しい返事を聞いた瞬間だった。
「うわぁぁぁん!」
茜が堪え切れずに大声で泣き始める。
涙をぼろぼろと流しながら、鼻をすすって朝陽を見る。
「良かったね、朝陽ぐぅぅん・・・ぐすっ」
その横で焔垂は呆れたように肩をすくめた。
「何でお前が一番泣いてんだよ」
すると茜は涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま焔垂を睨みつける。
「感動するでしょ普通!アンタ人の心無いの?」
さらに勢いは止まらない。
「鬼!人でなし!人の皮被った悪魔!」
「ちょ、おまっ、それは言い過ぎだろーが!」
焔垂がすかさずツッコミを入れると、そのやり取りを見ていたさくらは腹を抱えて笑い出した。
「きゃははは」
張り詰めていた空気が一気に和らぎ、公園には笑い声が広がる。
信愛は朝陽へ視線を向け、穏やかな笑みを浮かべた。
「良かったね、浦添くん
これでお母さんと暮らしていけるね」
朝陽は力強く頷く。
「はい!僕、これからは
お母さんと手を取り合って
支え合って生きていきます!」
その決意を聞いた絹は、どこか不安そうに微笑んだ。
「でも本当に大丈夫?私なんかと一緒で・・・」
朝陽は即座に首を横へ振る。
「当たり前でしょ?お母さんはお母さんだから!」
その言葉に、絹の瞳は再び潤んでいく。
「朝陽・・・ぐすっ」
震える声で息子の名を呼ぶと、静かに涙が頬を伝った。
「ありがとう・・・」
その一言には、長年抱え続けた後悔も、苦しみも、そしてようやく手に入れた幸せも、すべてが込められていた。
◇ ◇ ◇
それから数日後。
怪異探求倶楽部の部室には、昼下がりの穏やかな空気が流れていた。
ガラリと扉が開き、朝陽が姿を見せる。
両手には、上品な包装紙と淡いピンク色のリボンで丁寧に包まれた菓子折りが抱えられていた。
「いろいろお世話になりました!」
そう言って頭を下げると、菓子折りをそっと机の上へ置く。
「これ、お母さんからです」
その一言に、部員たちの表情が自然と和らぐ。
今回の件が無事に解決し、朝陽と母・絹は新しい一歩を踏み出していた。
その感謝の気持ちを込めて、朝陽は母から預かった菓子折りを持参したのだった。
信愛は少し困ったように微笑む。
「そんなぁ、わざわざ良かったのに」
朝陽は首を横に振り、穏やかな笑みを浮かべた。
「今回の依頼料として受け取って下さいよ」
その言葉に、信愛は照れくさそうに視線を落とす。
「ごめんね・・・わざわざ」
「謝らないで下さいよ」
朝陽は柔らかく笑う。
「感謝の気持ちなんで」
そのやり取りを見ていた茜は、ぱんっと手を叩いた。
「そうそう!有り難くいただきましょ〜♬」
さらに悪戯っぽく笑いながら続ける。
「無下にするのは悪いしね〜♬」
そう言うや否や、茜は迷いなく包装紙へ手を伸ばし、ビリビリと豪快に包みを開け始めた。
「手ぇ出すの早いなオイ」
焔垂が呆れたようにツッコミを入れる。
しかし茜は気にも留めず、にっこり笑った。
「いいじゃん別に!」
そして朝陽へ勢いよく振り返る。
「さぁさぁ!朝陽くんも一緒に食べよう?ね?ね?」
突然誘われた朝陽は少し戸惑いながらも、小さく頷いた。
「あ、はい・・・」
朝陽は茜が引いた椅子にゆっくりと腰を下ろす。
「さてと・・・中身は──」
茜が箱を開けた瞬間、部室の空気がぱっと華やぐ。
中には色とりどりの焼き菓子やチョコレート、可愛らしい洋菓子が整然と並んでいた。
信愛は目を輝かせた。
「うわぁ♬美味しそう〜♬」
さくらも箱を覗き込み、思わず声を上げる。
「これ絶対に高いヤツじゃん」
茜は朝陽へ満面の笑みを向けた。
「ありがとうね、朝陽くん♬」
部室には、騒動の後とは思えないほど穏やかで温かな笑い声が広がっていた。
コメント
1件
「やっと家族が一つになれたんだなあ」って、茜ちゃんが泣くシーンで私ももらい泣きしそうでした。朝陽くんとお母さんの「ありがとう」に、長年の苦しみが全部溶けていった感じがして。最後の部室でお菓子を囲む穏やかな空気が、この章の締めくくりにぴったりで、じんわり温かくなりました。×××さん、素敵な物語をありがとうございます。
#ボカロ
ありあ
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ありあ
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