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#普通
野々さくら
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ありあ
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それからしばらく。
部室には甘い菓子の香りが漂い、テーブルの上には開けられた菓子折りが並んでいた。
一同は思い思いに焼き菓子をつまみながら、和やかに談笑している。
信愛はクッキーを手にしたまま、朝陽へ穏やかな笑みを向けた。
「あ、ついに一緒に暮らし始めたんだ」
朝陽は力強く頷く。その表情には、事件の頃にはなかった安堵が浮かんでいた。
「はい!もう夢みたいです!」
その幸せそうな様子に、さくらは自然と微笑む。
「お母さんと一緒に暮らすってことはさ
あの叔母さんとは? 結局どうなったの?」
少し言葉を選ぶように間を置いてから尋ねた。
「絶縁とかしちゃった感じ?」
朝陽は表情を曇らせ、小さく息をついた。
「あの人がやった事は許される事じゃありません」
その声には迷いがなかったが、少しだけ目を伏せる。
「けど、この年になるまで育ててもらった恩はあるので」
信愛も静かに頷く。
「まぁ、確かにね」
朝陽は続けた。
「ですから今は実家に行ってもらってます」
「まぁ、それがいいよね」
さくらも納得したように頷く。
すると焔垂が疑問を口にした。
「けどお母さんと一緒に暮らす事に
なったんなら学校はどうなるんだ?」
朝陽はすぐに答える。
「あ、新しい家も市内なんで」
その言葉に茜が安心したように笑う。
「あ、ならこのままウチに通えるんだ」
「はい!」
朝陽は明るく返事をした。
しばらく沈黙が流れたあと、朝陽はぽつりと本音を漏らす。
「でも僕、生きてるお母さんに
会えて本当に安心したんですよ」
その言葉に信愛は目を丸くした。
「生きてるって・・死んでると思ってたの?」
朝陽は少し照れくさそうに苦笑した。
「は、はい・・・」
「なんで?」
さくらが尋ねると、朝陽はゆっくりと語り始める。
「僕・・女性の声がもしかしたらお母さんかも
って期待してる自分も居たりしたんです」
信愛はその話を思い出したように頷く。
「確か女性の声を聞くと 不思議と心が
休まる気がするって言ったもんね」
「なるほどね・・・」
さくらは静かに相槌を打つ。
朝陽は視線を落としながら続けた。
「でもその声の主が本当お母さんだとするなら」
少しだけ苦笑を浮かべる。
「それは霊って事になるって思って」
「ああ、なるほどね・・だからお母さんは
既に亡くなってるって思っちゃってたんだ」
朝陽は静かに頷く。
「はい・・だからもう会えないんだな
って諦めてたんです」
しかし、その表情はすぐに柔らかな笑みに変わった。
「でも偶然ここのチラシを見かけて」
「そういう事ね」
さくらが優しく微笑む。
朝陽は改めて部員全員を見渡し、深く頭を下げた。
「皆さんに相談して・・本当によかったです」
部室には穏やかな空気が流れ、誰もが朝陽の笑顔を自分のことのように嬉しく感じていた。
コメント
1件
×××さん、84話読みました〜! 朝陽くん、お母さんと暮らし始めたんだね…「生きてるお母さんに会えて安心した」って言葉、すごく胸に来た。ずっと声だけが頼りで、幽霊だと思ってたって気持ち、重かったろうな。でも部室でみんなに囲まれて笑えてる朝陽くん、本当に救われた感じがして、こっちまで温かくなったよ。相談してよかったね、って心から思える回でした🌙