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「お!炎土起きたんだ」


開いたままのドアからひょこっと顔を覗かせてそう言ったのは鈴華だ。


「そんな所で止まってないで早く入れ」


「ぃだ!」


そう言って鈴華の頭を軽く叩いたのは愛華だ。鈴華は少し痛そうな声を出していた。


「姉さん、何も頭をなぐらなくてもいいじゃんか!」


「そこで止まってるお前が悪い。それに此処には怪我人が居るんだ、少しぐらい静かにしろ」


「静かすぎるとうちじゃない!」


「黙れ」


何か、二人はコントみたいなことしてるのかな。


ドール伝に聞いたけど、二人は良くこんなふうにして喧嘩みたいな、遊びみたいな、そんなのをしているらしい。


「愛さん、鈴さん、さっきぶり。炎土くんやったらもう目ぇ覚ましたで」


ニコニコしながら恵海が愛華と鈴華に何か話している。


「そうか、良かった」


「恵海ちゃんも世話お疲れ様!」


愛華も鈴華も恵海に対しておかしな態度は取っていない。それどころか少し親しげだ。


二人が普通に接しているということは、恵海は悪いやつでは無いのだろう。なら、少し位警戒を解いてもいいか。


「Endo, nasılsın?」[訳:炎土、体調はどうだ?]


僕の前まで来て愛華はそう尋ねてきた。


「Sağ bacağı kırık gibi görünüyor, başka bir şeyi yok.」

[訳:右足が骨折してるみたいだが、それ以外は何も]


「Teşekkürler. Lütfen bunu bana yardım eden insanlara anlatın.」

[訳:ありがとう。って助けてくれた人達に伝えて欲しい]


久し振りにこんなに話したかも知れない。


「律儀だなぁ」


ボソッと愛華が何かを呟いた。疑問に思っていると、「何でもない」とはぐらかされてしまった。


「geri çevirmek.Bunu onlara kendiniz söylemelisiniz」 [訳:断る。自分で伝えろ]


きっぱりと断られた。これは想定外だ。


「勿論、日本語でな。恵海と苦戦しながら学べ」


愉快そうに笑いながら愛華は日本語でそう言った。愛華は時々意地悪だ。だが、それは僕達の成長を願ってのことだから、言い返すことができない。


日本語を学べと言っているのだろうか。まずは、愛華がさっき言った言葉がどういう意味なのかを知らないと何も分からん。矢張り、愛華は少し意地悪だ。


そうして、僕の治療と日本語の勉強生活は幕を開いた。

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