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「そうだ!あの客人、かれこれ、お酒をお飲みになってますよ!」
「おお、童子や。めん類か!」
「はい!均様!それで、腹持ち良くなれば、帰ります!」
うんうんと、均と、童子は、頷きあっているが、わからないのは、孔明と月英で、料理どころか、酒席の準備もした事がない二人には、何がどう作用するかなど、考えも及ばない話だった。
「まあ、いいわ、帰ってくれるなら」
月英の一言で、またもや、孔明が、小さくなった。
「すみません。ご迷惑をおかけして」
気まずそうに、言う兄の姿に、均は、
「そうと決まれば、早速取り掛からなければ、麺作りは、時間がかかりますからね!」
と、その場を取り繕う。
「あらあら、均様まで。私は、何も、怒ってはおりませんよ?確かに、面倒だとは、思っておりますけどね。ただ、あの徐庶《じょしょ》という男、ただ者ではない思います。旦那様に、きっと朗報を持ち込む事でしょう。ですから、均様、長居、出来ないような、麺を作ってくださりませ」
「あー、黄夫人!そうなんです。徐庶は、あの通りですが、本当に気の良いやつで、それに、頭も切れる。討論するたび、私は、はっとさせられるのです」
孔明は、必死に徐庶を庇おうとした。
「旦那様、こちらは、今、麺の話で、手一杯。徐庶様の所へ、早くお戻りください。客人を、お一人にしておいて、よろしいのですか?」
ああ、そうだな。そうだ、それは、いけないと、口走りながら、孔明は、裏方から出て行った。
「義姉上《あねうえ》、少しばかり、わからないのですが……」
はい?と、月英は、首を傾げる。
その妖艶さに、均は、当てられそうになり、さっと、目を反らした。いつも、この姿には、参ってしまう。無意識なのか、取り込まれているのか、均には、わかりかねたが、とにもかくにも、月英が、美しいという証たる仕草なのだった。