テラーノベル
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第4話 「好きって、多分こういうこと」
金曜の夜。
《Nocturne》はいつも以上に賑わっていた。
「tgちゃーん! 注文追加!」
「はーい!」
「こっち片付けお願い!」
「いま行く〜!」
店内を忙しなく走り回るtg。
その姿を見ながら、prはカウンターの奥で眉を寄せていた。
「……あいつ絶対休んでねぇ」
「心配?」
隣でグラスを磨いていたmzがぼそっと言う。
「は?」
「顔に出てる。p~のすけ分かりやす」
「うるせぇ」
「認めれば楽なのに」
「何をだよ」
mzはふっと笑った。
「好きなんだろ、tg」
prの手が止まる。
「…………」
「図星か」
「……知らねぇ」
否定しない。
それだけで十分だった。
mzは肩をすくめる。
「まあでも、あいつ無防備だからな」
「それな」
prが即答する。
「人の懐入るの上手すぎ」
「天然だろうけど」
「余計たち悪ぃ……」
その時だった。
「あっ」
店内の中央で、tgがバランスを崩した。
大量のグラスを抱えたまま、派手によろける。
「tg!!」
prが反射的に飛び出した。
ガシャン!!
――割れたのは一つだけ。
prが咄嗟にtgを抱き寄せたおかげだった。
「っ、いった……」
「prちゃん!?」
周囲がざわつく。
tgは完全にprの腕の中だった。
近い。 というか抱き締められてる。
「怪我は」
「え、あ、だ、大丈夫……」
「……ならいい」
prは眉を寄せたまま、tgの手首を見る。
小さく赤くなっていた。
「赤くなってんじゃねぇか」
「え、ほんと?」
「消毒」
「いやこれくらい平気だよ?」
「平気じゃねぇ」
prの声は思ったより低かった。
tgは目をぱちぱちさせる。
周りでは、akがニヤニヤしていた。
「うわ〜〜〜〜!! p~のすけイケメン〜!!」
「黙れak」
「tgちゃんお姫様抱っこされる勢いだったじゃん!」
「されてない!!」
「でも抱き寄せてたよね?」
「…………」
prが黙る。
その反応が答えだった。
tgの顔もじわじわ赤くなる。
「prちゃん……ありがと」
「……別に」
「助けてくれた」
「割れたら危ねぇだろ」
「でもすぐ来てくれたじゃん」
「近かったから」
「ふーん?」
tgがじっと見る。
prは耐えきれず視線を逸らした。
「見るな」
「照れてる〜」
「だから違ぇ!!」
店内に笑いが起きる。
―――
休憩中。
裏口の階段に座っていたprの隣へ、mzが缶コーヒーを投げた。
「ほら」
「……サンキュ」
プシュ、と缶を開ける音。
夜風が涼しい。
「で?」
mzが横目で見る。
「自覚した?」
「……うるせぇ」
prは苦い顔をした。
「好きとか、ガラじゃねぇ」
「恋愛にガラとかあんの?」
「お前今日はやけに絡むな」
「面白いから」
mzは少し笑う。
prは缶を見つめたまま、小さく息を吐いた。
「……あいつ見てると調子狂う」
「へぇ」
「誰にでも笑うし、近いし、触るし」
「うん」
「なのに、俺だけ特別とか思いそうになる」
mzは少し黙った。
それから静かに言う。
「もう好きじゃん」
「…………」
反論できなかった。
―――
その頃、厨房。
ktyはぼんやり野菜を洗っていた。
「ktyお」
「ひゃっ!?」
後ろから急に声をかけられ、びくっとする。
mzだった。
「驚きすぎ」
「だ、だって急に……」
「……さっきの」
「え?」
「tgとp~のすけ」
「あ〜、すごかったねぇ」
ktyはふわっと笑う。
「prちゃん、ほんとtg好きそう」
「だよな」
「優しいし」
「分かりやすい」
「mzちも分かりやすいよ?」
「は?」
ktyはにこっと笑った。
「僕 が転びそうになった時、絶対すぐ助けてくれるもん」
「……当たり前だろ」
「あと寒いと怒るし」
「風邪引くから」
「僕が他の人と話してると不機嫌だし」
「…………」
mzが黙る。
ktyは数秒見てから、くすっと笑った。
「mzちって、意外と嫉妬するタイプ?」
「……しねぇ」
「ほんとかなぁ」
ktyが少し顔を近づける。
その瞬間。
「っ、お前」
mzが思わず後ろへ引いた。
ktyはきょとん。
「近い」
「mzちも言うんだ、それ」
「……誰かさんと一緒にすんな」
でも耳が赤い。
ktyはそれを見て、なんだか嬉しくなった。
「ふふ」
「笑うな」
「だってかわいい」
「殺すぞ」
全然怖くない声だった。
―――
営業終了後。
帰り道。
tgは店の前で伸びをしていた。
「今日も疲れた〜!」
「送る」
prが自然に言う。
「え?」
「遅ぇし危ねぇから」
「でもprちゃん反対方向じゃない?」
「遠回りするだけ」
「……」
tgは少し黙ったあと、 へにゃっと笑った。
「prちゃんってほんと優しいね」
「だから違ぇって」
「でもうれし〜」
その笑顔に、 prはまた言葉を失う。
夜風が吹く。
ネオンが揺れる。
隣を歩く距離が、少しだけ近かった。
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コメント
1件
prの不器用な優しさがたまらなかったです。「調子が狂う」って言葉に全部詰まってて、もう好きじゃんって言われて反論できないprが愛おしかった。mzとktyのやりとりも微笑ましくて、店内のあたたかい空気が伝わってきました!次話も楽しみです🌷