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私は個人で絵のモデルをやっている。ふだんは絵画教室とかでお仕事をして、個人の依頼は受けていない。でも、今回は、お金持ちの身元のしっかりした人、と紹介されて、モデルを引き受けることにした。
場所はその人の別荘だった。個人の物とは思えないくらい、おっきい。ペンションとか、そのままやれそう。私に依頼する人がどんな人か、という興味もちょっとあったりする。
「こんにちわ」
「ああ……君が」
その人は、どこかぎこちない様子で、私の全身を見つめた。ちょっと緊張しているみたいだ。背が高い。それに、顔もすごく整ってる。俳優さんかな? と思ったけど、違うみたい。でも、雰囲気が一般人じゃないかんじ。服装はラフなシャツ姿だけど、素材の良さのせいで、全然ダサく見えない。
「あ、あの、小鳥遊です。よろしくお願いします」
こっちもちょっと緊張しちゃう。
「どうぞよろしく」
と、その人の後から大きな犬が二匹、ひょっこりのぞいた。一匹はゴールデンレトリバー、という犬っぽかった。もう一匹もよく似ているけど、黒い。黒いのは「ゴールデン」レトリバーって言わないんだっけ?
「えっと……そちらの二匹は?」
「うちの子だよ」
「ワン!」
ゴールデンレトリバーのほうが、元気よく吠えた。
「わっ!……大きいですね」
「うん……」
飼い主さんの顔つきが少しだけ変わった気がした。なんだろ?
「そうだね、とても、大きいよ」
なんか……変なこと言っちゃったかな? うーん……。まぁいいか。
「まあ、大きい子だけど、おとなしいから気にしないで。ちょっとやんちゃだけどね」
「はい」(続く)