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「じゃあ、さっそく始めようか」
「はい」
「脱いでくれるかい?」
「はい」
私は服を脱いだ。
「おお……」
なぜか、感嘆の声を上げる彼。
「どうかしました?」
「いや、なんでもないんだ。続けてくれ」
彼はそう言って目をそらした。彼のほうを見ると、目が合う前に視線を外される。なんだろう……この感じ。ヌードモデルを呼ぶことになれてないのかな? 気になる。でも、今は仕事中だから集中しないと。
「じゃあ、うつ伏せになってもらえるかい?」
「はい」
言われたとおりにする。すると彼はさっそくスケッチをはじめた。鉛筆を走らせている音が聞こえてくる。
「もう少し上体を起こしてみてくれないか」
「こうですか?」
「ああ、そんな感じだ。そのままキープしてくれ」
それからしばらく沈黙の時間が続いた。…………。
「ふう。少し休憩にしようか。お茶を入れてくるからそのまま待ってて」
「はい」
しばらくして彼が戻ってきた。手にお盆を持っている。その上にティーカップが載っていた。
「砂糖のかわりに蜂蜜を使ったお茶があるんだけど、飲んでみない? おいしいよ」
「あ、はい! いただきます」
お茶を一口飲むと、甘さが口に広がった。
「おいし~♪」
「よかった」
ほっとしたような表情を浮かべる彼。
「えへへ、ありがとうございます」
「ワン!!」
「おっと、この子たちも蜂蜜が大好きなんだ」
「そうなんですね」
その人がわんちゃんにも蜂蜜をあげようとしたら、興奮したのか、わんちゃんが蜂蜜の入れ物に思いっきり噛みついちゃった! すごい勢いで押されたもんだから、蜂蜜は勢いよく私の裸の体に……。
「あっ!」
べっとりと胸の上に蜂蜜が垂れてしまった。しかも結構な量だ。
「ごめん、大丈夫かい!?」
あわてるその人。
「は、はい、なんとか」
「うーん、これはお風呂に入って洗い流した方がいいね。お風呂はあっちになるから使って。僕は部屋の方を片付けておくよ」
たしかに床も蜂蜜でべとべとだ。
「すみません、お願いします」
「気にしないで」
私はお風呂に向かった。わんちゃん二匹は、尻尾を振りながら私の方についてきた。(続く)