テラーノベル
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口の中で舌先が私を弄ぶ。下腹部の疼きが激しさを増すので膝をくっつけて、小さく身動ぎしていれば、片手で腰を宥められるので、びく、と身体が跳ねた。
常葉くんは私の胸から口を離すと、そのまま身体を伝ってお臍にキスを落とし、導線を逸れて骨盤へと落ちる。
「ま、って」
自制心を叩き起して何とか声を出すと、唾液で艶やかに光る胸元から彼はひょこっと顔を出して私を見上げた。
「待たないけど、何」
「それは、その、お風呂入ってないし、しなくていいよ」
「……ふぅん」とだけ声を漏らした常葉くんはベッドに座り直し、私の足の付け根を支えてぐっと持ち上げるから、簡単に私の脚は広がって惜しげも無くそこを披露する。
「や、見ないで」手で隠せばすぐに「だから意味ないって」とすぐにそれを剥がした。
下着の上から沿うように上下させるとそれに伴いくちゅ、と、蜜の音がいやらしい音が響く。
入口を探していた指は布の隙間から簡単に侵入すると、何度かゆっくりと動き、前と同様にぐっと奥に向かって到達してぐりぐりと刺激する。
「あぁ、っ、あっ、」
与えられる快楽に顎は上を向いて、勝手に脚がピンと伸びる。
目を開けて光を受け入れると、色っぽく私を見下ろす彼がいる。
目が合うと常葉くんが、堪らなく愛しそうに微笑むから、何だか泣きたくなって、すぐに顔を逸らした。
すると手が伸びて頬を包まれてしまい、ずっと開いている口はやっと塞がれる。
「んん、ん、」口の中に吸い込まれる言葉も、全部常葉くんが食べてしまう。
「好きですよね、ここ」
「はぁ、やめ、やだ」
「言われて、やめるわけない」
つま先だけでベッドを蹴り、震える脚を支えに腰を浮かせて快楽に耐えようと必死な私に対して、余裕の表情の彼。
悔しくて、涙がもう零れそうなくらい溜まった瞳で見上げれば、指を追加されてさらに刺激が強くなる
「あっ……っんぁ、っああっ」
一度内腿が小刻みに震え、脳内が熱を帯びて頭の奥が蕩けてびくびくと奥が短く痙攣する。
それが落ち着きを見せるとゆっくりと腰を下ろして、荒れた呼吸のままぐったりと横たわった。
再び私に覆い被さった常葉くんはもう服を全部脱ぎ捨てていた。
あの時ぶりの身体は、直視するにはなかなかに勇気が必要で、視線は相変わらず逸らしてしまう。
「依愛、こっち向いて」
そんな私の耳元で、砂糖菓子みたいにとびきり甘い声で言われたら、嫌でもそっちを向いちゃう。
その体重を受け止めると簡単に唇が重なり、互いの舌先は飽きもせずに体温を受け渡す。
身体も隙間なくピッタリとくっつき、身体中の何処をくっつけても温もりが直に伝わる。
探る様に妖艶に蜜は絡め取られ、息は荒れ、その吐息は鼻先が触れる距離にいる彼のものと混ざりあう。
「ん、はぁ、待って、」
「嫌ですよ」
「は、ぁ、ん、っっあ、」
「いくら我慢させたと思ってんの」
くすぐるような声、私に柔く触れる指先
知りたかった、気にしない時は無かった。
だけど、こんな甘いの知ったら、もう
───戻れなくなってしまう。
確認するみたいに擦ると、そこが見付かり、割り込むように優しく侵入する。
優しいのは最初だけで、少しだけが繋がると、そのまま一気に奥まで貫かれて、圧迫感で呼吸が一瞬詰まり「っあっ」と喉の奥から悲鳴に似た声が出た。
繋がっただけで軽く意識が飛んでしまい、ぼんやりとした中「ごめんね」と、吐息混じりの言葉が聞こえるので、表情を歪ませたままうっすらと目を開けた。
冷たい色気のある目元は私だけを見下ろしているから、恥ずかしくて顔を背けると再び奥まで突かれては腰が勝手に浮いた。
「あー…ほんと、可愛いなぁ」
こんな甘い言葉をくれるだけで、脳みそが蕩けそうになる。
知ってる人なのに、知らない人みたい。
瞬きすると涙が零れて、律動は激しさを増した。
「やぁ、あっ、あンっ、」
「逃げちゃだめ、ですよ」
快楽に逃れようと身を攀じる私の腰を掴み、逃がすまいと腰を揺する彼。打ち付ける乾いた音と、私の声が部屋の中に響き、掴んだ腕は徐々に湿り気を帯びてくる。
「あっ、ひぅ、あぁ、」
涙を零しだらし無く喘ぐ私の身体に丁寧にキスをしてくれる。律動は緩めたりしないし、激しく打ち込むのに、唇だけは一定して優しいまま。
知らないのに、知っている。
きっと身体が覚えている。
首がくい、と傾いて、伏し目がちなその顔が近寄るので首の後ろに手を回してすぐにそれを受け入れる。
舌先を擦り合わると唾液までドロドロに混ざり合う。
隙間ひとつないようにピッタリとくっ付いて、首を傾け身体に触れては探り合い、もっと深い場所を求め合う。
唇が離れると吐息が絡む距離で、常葉くんはじっと私を見つめた。
「と、きわ、くん」
「ん?誰?」
……あれ?
名前を呼んだはずなのに、常葉くんは私を見て妖艶に笑う。
……聞こえなかった、のかな、
「と、常葉くんっ……」
吐息に紛れてしっかりと名を呼べば、彼はまた「だから、ごめん、誰?」と、惚けてみせる。
……そ、そういう、こと?
常葉くんは、さっきまで絶えずに腰を揺すっていたのに、それすらも意地悪に止めて、私の言葉をじっと待つ。
顔の筋肉を故意に動かし口を引っ張って、心の中で一度だけ練習をする。
「|樹《いつき》」
ぎこちなく言うと、彼はくくっと喉を鳴らして満足気に目を細め「なに?」と、柔らかく尋ねる。
「んっ、い、つき、大好き」
「はは、そうなんだ」
「樹が1番、だいすき」
「うん、知ってる、よ」
そう言って、彼は私の奥深くを穿つように、容赦なく打ち付ける。
息付く間もなく、喉の奥から「あぁっ」と声を吐き出し快楽だけを与えられ、二人ほぼ同時にそこへ達した。
本当はこの後、ぎゅって抱き締めて、すりすりって擦り寄るのが可愛いんだろうけど、そんなのしたことない私は薄いダウンケットに丸まってその隙間からベッドの縁に座る常葉くんの姿をじっと覗いていた。
それに気付いた常葉くんはあからさまに嫌な顔をして「気持ち悪」と一言零したけど、確かにはたから見たら気持ち悪いだろうから反論はしない。
だけど、「あの」と一言だけは小さく零した。
「まだなんかあるんですか」
ため息混じりに私を包む布を剥ぐと、その両手は私を包む。
「〜っ、う、浮気、やだよ、」
「するかよ」
「……大事に、してよ」
「すげー甘やかしますよ」
「他の子見ちゃ嫌だよ」
「依愛もね」
私が常葉くん以外見れるわけ、ないのに。
そもそも、告白自体私にしては、随分と大胆な賭けだった。
「でも、まぁ仕事ミスするくらい俺の事考えてたんだっけ」
だけど、騙されても、バカにされても、
常葉くんだったら良いやって、私は結局負けちゃうんだろうな。
「仕事に支障が来し始めたら少し離れるかもしれませんね」
「……っえ、そ、そんな……」
「頑張ってね」
ちゅ、と、額に軽く熱をくれただけで、
やっぱり心臓は甘く、疼く。
もう随分、深いとこまで落っこちてる。
でも、もっともっと知らないところまで
落っこちてしまいそうだ。
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#ワンナイトラブ
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