TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

君と夏

一覧ページ

「君と夏」のメインビジュアル

君と夏

21 - 第7章 1話 青空と黄金色

♥

506

2024年12月21日

シェアするシェアする
報告する

私達の出会いは焼けるような炎天下に相応しい鮮やかすぎる青空の下だった。

紅君とは真逆である空模様の出会いに、何かを感じたのはきっと相手も同じだと何故か私はぼんやりと思った。


今私は部活が終わって、葵ちゃんと共に学校の駐車場までの道のりを歩いているところである。

いつもなら青春四人組のメンバーと一緒に帰っているけれど、今日は私達二人だけ。

理由は簡単。紅君は家の用事があって早めに帰ってしまった。少し寂しい…

朔君はサッカー部がオフになっているから今日は学校自体来ていない状況になっている。

「4人じゃないと何か寂しく感じるね」

「そうね…朔君が居ないと賑やかなさが足りないわ」

「朔君にツッコミを入れる紅君が欲しいって思っちゃうなぁ…」

「気持ちは分かるわ」

そんな事を言いながら駐車場がある坂をどんどん登っていく。夏の坂道は少々…いや、かなりキツイのが本音。

そうして登っているとテニスコートが見えた。こんなに暑くて日差しが強いのによくできるなぁ、と心の中で思った。

「外で運動だなんて、正直考えられないなぁ…こんなに暑いと何も出来ないよ」

「体育館は体育館で蒸し鍋みたいに暑いけどね。外と比べて一切風が無いもの…まぁ、それでも強い日差しは得意じゃないから体育館の方がまだ良いわね」

「私も体育館の方が良いなぁ…」

慣れなのかも知れないけれど、私は屋外か屋内かと言われたら蒸されているような気分になるけれど屋内の方が好みである。

はぁ…、とため息を付いた瞬間こちらにテニスボールが飛んできた。

「わっ!びっくりした…」

「テニスボールね。テニス部の人に渡しに行きましょう」

そう葵ちゃんに促されて、テニスコートの方を見ると恐らくこちらにボールを飛ばしてしまった人が小走りで近づいてきている。

「そこの方々ー!すみませーん!テニスボール飛んできてませんかー!」

「飛んできてます!」

声を張りながら走ってくるその人のに私は驚いた。外見が日本人らしくないのである。

遠目なので少し分かりづらいけれど、綺麗なロングヘアーの色は日差しのような黄金色であった。

「改めてすみません…相方がミスしちゃって」

「いえいえ大事ですよ。はい、ボール」

「ありがとうございます…あっ!?」

急に目の前の子はまさに愕然と言う言葉がぴったりな表情を浮かべていた。

「えっと…大丈夫ですか?」

「ちょっと待って。もうすぐ…!もうすぐ終わるからここらへんで待ってて!」

「わっ、分かったよ」

そういうとその子は風のような速さで去っていってしまった。

「誰だろう…?それに見た目は外人ぽかったよね…日本語は流暢だったけれど…」

「あの子、聞いたことあるわ。…確か名前はマリー、とかだったと思う。フルネームまでは聞いたことないわね」

「外国人なの?」

「半分正解よ。ハーフらしいわ」

ハーフがいるだなんて聞いたこと無かったけれど、クラスが遠けれは案外そうなのだろうかト心の隅で思った。

「取り敢えず…日陰で待つ?」

「そうしましょう。流石にこの空じゃ日向にいるのは色々危険ね 」

そうして私達は近くの木陰に避難した。


あの子の外見を見たときは本当に驚いた。この辺で見ることのないような明るい色であったから。

青空に輝く黄金色はとても眩しく映る。

これから私はどうなるのだろうかと心の中で不安のような、好奇心のような感情がぐるぐると身体を巡り続けていた。

loading

この作品はいかがでしたか?

506

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚