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二人が結婚して7年が経っていた



百合は思った、どうして自分には子供ができなのだろう・・・



定正は相変わらず自分に優しいが、最近では子供が生まれたら、あーしたい、こーしたいと言う夢を百合には語らない様になっていた




もしかしたら、18歳の時に隆二の子供を堕ろした事が原因なのだろうか・・・いても経っても居られなくて百合は奈良の総合病院の婦人科に駆け込んだ




その結果、片方の卵巣に異常がみられた、しかしもう片方の卵巣から少ないけど排卵はされているので妊娠の可能性はゼロではないと診断された、百合は卵巣の治療を進めながら妊活に精を出すことにした




ある晩、百合は決意をしていた



今夜だけは召し使い達に暇を出し、屋敷には百合一人だけ、和樹をたらしこんだ時を思い出して、自分で手料理をし、とっておきの食材で定正の好物を時間をかけて作った



そして彼が帰って来る時間を見計らって、風呂で体を磨いた、ビデを湯の温度と同じぐらい温めて、それで洗い、膣を限界まで温めた、少しでも百合の子宮の中で精子を長生きさせるためだ



そして彼が射精した後はそのまま朝まで寝るのだ、決して動いてはいけないと百合は心に誓った

焦りも限界だった、自分はもうすぐ30歳になる・・・この屋敷の使用人もみんな跡取りの誕生を今か今かと待ち受けている




ここでは子供を産めない女は役立たずだ




もし今月で妊娠しなければ、体外受精も考えていると定正に告げよう・・・

プライドの高い彼の事だ、病院の検査室で精子を出すためにマスターベーションをするのを嫌がるだろう




しかし二人の待望の子供のためだと説得すれば、彼はきっと応じてくれるはず、いずれもそれは最終手段だ、定正は子供が欲しくて結婚相手に若くて健康な自分を選んだのだ



今夜はムードを盛り上げてあらゆる愛の性技を使って一晩で最低二回は私の中で射精してもらわないと・・・




そうこうしているうちに玄関のセキュリティゲートが開いた合図が屋敷に響いた、彼が返って来たのだ




今夜は屋敷には誰もいない、自分が彼の召し使いなのだ




パタパタ・・・

「お帰りなさい、あなた・・・」





百合は玄関に小走りで向かった、結婚して定正を迎えたのを素直に嬉しいと思ったのは、はじめてだった



彼には愛情を抱いていないと思っていたがそれは間違いだったのかもしれない、隆二と体験した異次元の爆発の旅立ちの様な激しい愛もあれば、こんな風に生活を積み重ねていく上で、道端で素朴に咲く、野の花の愛の様なものもあるのだ・・・




今この瞬間、百合は定正への小さな愛を心に感じた、きっとここから始まるのだ




子供を一緒に育てればきっと同じように定正への少ない愛情も育つだろう



私はこの人と生きていく・・・



この雛菊の様な幸せよ・・・永遠に続け・・・





百合は定正に飛びついて熱いキスをした




上質な彼のスーツの生地を肌に感じ、彼のコロンの匂いを吸い込んだ、定正も百合の腰をしっかり抱きしめて、キスを返しながら、中折れ帽を脱いでコートスタンドにかけた



百合はシルクのキャミソール姿の胸を定正に押し付けた、ブラジャーはつけていなかった



「召使たちはどこにいるんだい?」


定正が言った


「あなたの目の前にいるわ・・・」





このまま今すぐベッドでもいい・・・



それから食事をして、お風呂にも着いて行こう・・・



長いキスの後、百合はうっとりと彼を見つめた





彼の眉の切り傷・・・昔ヤンチャした名残りが白く浮き上がっている・・・ああ・・・今夜はそこに沢山キスをしよう、自分がどんなに情の深い女か分かってもらわなければ・・・




そう思っていると定正が百合をじっと見つめて言った






「離婚してくれ百合、愛人に子供が出来た」











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