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人気急上昇中の4人組アイドルバンド、『SWEET SWEETS』。
そのまますぎるバンド名の通り、甘いお菓子やスイーツのように甘美であま〜い楽曲にくわえ、メンバーも皆、甘い砂糖菓子のように…とはそう簡単にいかず。
メンバーの名前にはそれぞれ、メンバーカラーと絡んだフルーツの名前が入っている。
そう優先的にメンバーをオーディションで選んで行った結果、到底『甘いスイーツのようなメンバーたち』とは言えないようになってしまったのだ。
その元凶こそが、センターのイチゴ色担当である『佐藤 一期(サトウ イチゴ)』、16歳 。キーボード&ボーカル担当だ。
佐藤「みんな〜!今日もオレたちのライブに来てくれてありがとう!ちゃんと2階の席まで見えてるよ〜!」
これこそがアイドル。我々がアイドルに求めることをすべてこなし、完璧にアイドルとしての理想を守り抜く令和の絶対的アイドル。それこそが彼、『SWEET SWEETS』のセンターである佐藤なのだ。(ちなみに視力が良いため、佐藤の『2階の席まで見えてるよ』はガチで見えてるとウワサ)
そんな佐藤がなぜ元凶になっているのかというと、原因はこれだ。
ライブ後、 スタッフらに挨拶をする佐藤。
その顔にはキラキラで、誰もがハッピーにならざるを得ないアイドルスマイルが1ミリのシワもなく張り付いている。
佐藤「お疲れ様です〜!」
汗を拭いながらも、楽屋へ戻ってきた佐藤。
楽屋の中には既に、他のメンバーが揃っていた。
生江「おっ、一期おつかれ〜」
甘ったるい声に、甘ったるい顔。
メンバーで唯一バンドの名前負けをしていない男こそがギター担当、生江 桃也(ナマエ トウヤ)。17歳だ。
まるで『近所のお兄さん』のような距離感で、彼にホンキで恋をするファンも少なくはないのだとか。
いわゆる、リアコ製造機というやつ。
武道「お疲れ。それとももや、お前口にクリームついてるぞ」
生江「うっそ!どこどこ?」
武道「右だ。って、違う。そこじゃない」
ベース担当の武道 雅吉(ブドウ マサキチ)、16歳。
名前から察せる通り、現代の男子高校生…いや、アイドルにしてはシブすぎる名前と中身をしている。
バンドの保護者のような立ち位置で、ツッコミ担当。
いつもメンバーたちを優しく見守っているようで、意外と放任主義である。
(ちなみに生江の名前である『桃也』は、初見だとつい『ももや』呼びしてしまうことからあだ名としてバンド内に留まらず、ファンたちの間でも『ももや』呼びで定着していたりする。)
紫咲「おい一期、随分遅かったな。何をしていた?」
ドラム担当、紫咲 ツツジ(シサキ ツツジ)。16歳。
佐藤が『ひだまりの王子様』なら、紫咲は『氷の王子様』と言えるだろう。
正論をズバズバと言っていくスタイルの紫咲。
炎上のリスクはありそうだが、本人はどことなく不器用な性格をしているよう。
実はアイドルオタクらしい。
佐藤とよく、日常的にくだらない言い合いをしていたりする。
佐藤「…」
楽屋に入ってくるなり、俯いて黙り込んでいる佐藤。
他のメンバーは状況を察し、途端に呆れたような空気になる。
佐藤「……ざけんな」
ぼそり、とつぶやく佐藤。
生江は苦笑いを浮かべつつ、ショートケーキを頬ばり、武道はついさっきまで読んでいた辞書にそっと目線を戻し、紫咲は露骨に呆れた表情を浮かべた。
佐藤「…ざっけんな!!クソが!!!」
佐藤の叫びが楽屋中に響いた。
佐藤「暴落しやがった!!この野郎!!」
舌打ちをすると、あからさまに不機嫌な足取りで楽屋のソファにどすっと腰を下ろした佐藤。
生江「一期、また株?」
佐藤「…クソッ。おいももや、この後メシ行くぞ」
生江「え〜。オレ今ケーキ食べちゃってるんだけど」
佐藤「メシ行けば食うだろお前は」
生江「どうだろ(笑)」
そう、佐藤は気持ち悪いくらいのギャンブラーなのだ。
お金への執着が凄まじく、その上趣味は『宝くじ、株、ソシャゲ』というあまりにもアイドルとかけ離れたもの。
生活力もまるでなく、休日はジョリヒゲのまま汚部屋の中で横になり、お尻を掻きながら競馬新聞を読んでいるのが似合うようなズボラで貪欲なオジサン(中身)なのだ。
これらを隠し、佐藤は『みんなのアイドル』で日々仕事をこなしている。
ほぼ大ウソの詐欺師ヤロウとやっていることは変わらない。
生江「というか一期、メシってまた串カツ?」
佐藤「ン?たりめーだろ。イライラしてる時は揚げ物に限る。あとは人の奢りで食うメシだな」
生江「いやいや、それってオレの奢りってことだよな?」
佐藤「相変わらず話が早くて助かるなー、ももやは」
生江「はー、ほんっとに一期は…。まあいいけどさ」
佐藤「おっ、ラッキー」
紫咲「おいももや、だからコイツを甘やかしすぎるな」
生江「だって今更だしさ〜。あっ、ツツジも来る?」
佐藤「は?勝手にコイツ呼ぶんじゃねぇよ。せっかくの奢りメシがマズくなんだろ」
紫咲「お前っ…!」
武道「お前ら、ライブ終わりくらい仲良く…いや、静かにできないのかよ」
彼らの日常は、まだまだ退屈しなさそう。