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#狂愛
柏木さくら
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臣桜
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「私、陸斗の実家のお店を手伝いたい。そこで 陸斗のお父さんや徹君と一緒に、お店をやっていきたいの」
さっきまでの涙が嘘のように、瀬里香は満面の笑みでそう言った。
徹の瞳が輝いた。
「素敵!」
緑は潤んだ瞳で瀬里香を見つめていた。
「そ、そんな…お義父さんやお義母さんのことも考えずに、勝手なことを…」
陸斗は焦った。(俺の立場はどうなるんだよ!)
「そうか …うん、それも いいかもしれないな」
勇次郎の口から出たのは、意外な言葉だった。
「でしょ? だって私、うちのクリニックの仕事しかやってこなかったんだもん。他の仕事もやってみたいって どこかでずっとそう思ってたんだ」
「きっと、更に良い社会勉強になるわねぇ」
美愛子も瀬里香の意見に賛成した。
「えっ、…ええっ!?」
陸斗は何が何やら解らなくなり、増々頭の中が混乱した。
「それに、あのお店は温かくて好き。勿論お好み焼きもだけど あのお店には、家庭的な匂いで 来る人をホッと和ませる雰囲気がある。陸斗の家には、うちとはまた違った温かさがあるよ」
今まで社会でトップの座を勝ち取るためだけに、ただがむしゃらに生きてきた陸斗には 瀬里香の言葉の意味を理解するのは難しかった。
瀬里香が陸斗に言った。
「常にトップを走ってきた陸斗は、かっこいいとは思うよ。でも 私が望んでいたのは、そんな陸斗じゃない。もし自分のしたことを心から反省しているのなら、これからは 親としての自覚を私に見せて。父親として、人に恥じない生き方を示して。そしたら今回のことは、1度だけ 水に流してあげてもいいよ。但ただし、1度だけだよ」
陸斗は複雑な心境になった。
緑が言った。
「香坂先生も、一緒に実家に戻られたら如何ですか? 過去のことは忘れ、もう1度 ちゃんとした人生をやり直すつもりで‥ 兄を想い、ハイスペックな人生を諦めた徹君の気持ちも、少しは汲んであげてほしいです」
陸斗は徹を見た。
徹は、小さい頃と同じ目をして 陸斗を見ていた。
(小さい時から徹はいつも、俺の後ろをついて来た。突き放してもイジっても 俺について来た)
「もう、仲良くしなよ。2人しかない兄弟なんだから。1人っ子の私からすれば、羨ましいよ」
瀬里香の言葉に、陸斗はなぜか 泣きそうになった。
しかし、こんな時にもプライドが邪魔をして素直になれず、反省して弟に歩み寄ることも出来ない自分が情けなくもあり なんだか可笑おかしくもあった。
それよりも 甘く見ていた瀬里香が、自分が思っていた以上に聡明でしっかりした女性だったことに 今更ながら気付いたことの方が、陸斗には衝撃だった。
コメント
1件
うわー、めっちゃ良いシーンだった…!瀬里香が自分の道をしっかり選んで、陸斗に「父親としての自覚」を求めたところ、グッときたわ。徹くんの目線とか、兄弟の関係性描写が丁寧で、陸斗のプライドと葛藤がリアルに伝わってきた。瀬里香の聡明さに陸斗が今更気づくラストも、じわじわ刺さる🔥 次、どうなるんだろ…!