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🤖「ごめん。君のお母さん、救えなかった」
そう言い放つ魔女は、悔しそうな顔をした
🎈「…え、なん、で」
少年は困惑した
魔女は母を殺したのではないのか?
🤖「……ごめん、町の子だよね。森の入り口のあたりまでは送るから」
そう言った魔女は身支度を始めた
少年は尋ねる
🎈「お母さんは、魔女が殺したんじゃないの…?」
苦笑いをして魔女は答える
🤖「普通なら、そう思うよね」
もうぴくりとも動かなくなった母親を見て、少年は幼いながらに感じた
生きていない
ただ、少年は頭が良かった
母の腹部にある、大きな穴
腹部に穴が空いている、それだけで幼い子供には刺激の強いものだった
それでも、少年は観察する
そして気づく、穴が少し治りかけている
魔女は母を治そうとしてくれていた
魔女は町の人のような格好をして、少年に言った
🤖「町に帰って。わたしも途中まで送るから」
少年は魔女の目をじっと見た
何を考えているのか、少年にはわからない
だが、何を思ったか、少年は魔女に言った
🎈「魔女さん、僕はここに住んじゃダメ?」
何年経っただろう、あの日から
少年はもう少年と呼べる年齢ではなくなった
魔女の容姿はさほど変わらない
側から見れば同い年の男女に見えるだろう
🎈「…そんなこともありましたね、師匠」
🤖「ふふ、そうだね。あの時は驚いたな、魔女と一緒に住みたい人間がいるなんて」
🎈「魔女は人間です。ただ、魔法が使えるだけで。…全ては歴史を改ざんした世間が悪いのに」
🤖「いいの。わたしは森の奥で静かに暮らせるだけで幸せなんだから」
それに、と魔女……寧々は続ける
🤖「類がいてくれて、ちっとも寂しくなくなった。ありがとう」
魔女の寿命はおよそ500歳ほど
その分、成長は遅い
🎈「すっかり小さくなりましたね」
🤖「類が大きくなったんでしょ」
寧々は類の頭を撫でる
薄く笑みを浮かべたその顔を、類に向けた
🤖「ほんと、あんなに小さかったのになぁ」
🎈「ところで師匠」
類はにやりと笑い、寧々に顔を近づける
🎈「僕の求婚には、いつ答えてくださるのですか?」
🎈『魔女さん、けっこんして!』
🤖『小さい子は無理かな。大人になったら考えといてあげる』
🎈「僕もう、大人だと思います」
寧々は愛おしそうにくすくすと笑った
🎈「…真剣なんですよ、こっちは」
機嫌を損ねたのか、少しぶっきらぼうに言う
🤖「わたしだって真剣だよ。ただ…類はまだ大人じゃないから。もうちょっと待ってよ」
🎈「…師匠のちょっとはちょっとじゃないじゃないですか」
魔女と人間の時間の感覚は違う
寧々の言う『ちょっと』は、人間にとって、何年のものなのだろうか
🤖「…ちょっとはちょっとだってば。前向きに検討してるよ」
寧々は類にそう微笑みかけた
類はやはり、不満そうな顔をする