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「まず私が今から話す話は、私の憶測や推理も混じっているという事を前提に置いてお聞きください」

探偵の言葉に皆かうなずくと、探偵はRAMの外観が撮影された写真をテーブルに置く。

「まずこのRAMというバーは、一見するとごくごく普通のバーという印象を抱かれるかと思いますが、実は裏では売春の斡旋を行っていると言われています」

「ば、売春!?それって女性が男性に体を売ってるってヤツですか?」駿の問いかけに探偵がうなずく。

梓と聖奈、沙月とつかさは、売春というワードに若干顔がこわばる。

「ええ!その通りです!またその売春は、RAMのオーナーである梶橋が直接指揮を取っており、裏風俗というカタチで行われています」

「裏風俗ってもしかして本番行為が前提の風俗って事ですか?」駿の問いかけに探偵がうなずく。

「え?でも風俗って本番行為って禁止されてるんですよね?」梓が探偵に問いかける。

「え?そうなの?」「知らなかった」聖奈と沙月は驚いた様に口を開く。

「金森さん?何でそんな事知ってるの?」

つかさは梓に聞く。

「あ、いや、えっとアレ!ミーチューブで解説してるショート動画見たんだ。そ、その、偶然動画が流れてきたから・・・」梓は若干の冷や汗をかきながら応える。

「ふー・・・ん」つかさは駿をちらっと見る。

「なんでコッチ見るんですか?」

駿の問いかけにつかは「別に?」と蔑んだ目で言う。

「で、ですけど・・この梶橋って人が金森のお母さんにブランド品を買い与えたっておっしゃいましたけど、あれってどう言う意味なんですか?」

駿が無理矢理話題を変える様に探偵に尋ねる。

「あ、話題変えた」つかさが小声で呟く。

「それなんですが、依頼の時にお聞きした負債の話に関わってくるんです」

「あ!借金取りが急に来なかったってアレですか?」梓が尋ねる。

「ええ・・そのお母様の負債を全額立て替えたのが、この梶橋龍彦です」

「え!?この人がお母さんの借金を?」

「で、でも、何でこの梶橋は見ず知らずの人間のために借金を肩代わりするなんて真似を?」

駿は探偵に素朴な疑問をぶつける。

「確かにおかしいよね!駿くんみたいにお人好しでも無い限りありえないよね?」「うん!うん!」聖奈と沙月は腕を組みながら言う。

「いや、いくら俺でもそんな事しないわ!」

駿は聖奈と沙月の頭を軽く叩く。

「その梶橋って人が何故、借金を肩代わりしたのかって調べてあるんですか?」

「ええ、もちろん調べてあります」

つかさの質問に探偵は一枚のプリントを差し出す。

「これは何ですか?」駿はそのプリントを手にとって目を通す。

「これは知り合いの警察関係者から提供していただいた、梶橋龍彦の前科をまとめたファイルになります」

そのプリントには、梶橋がこれまでに犯した犯罪がびっしりと記されていた。

「こ、こんなに!?」駿がその前科の多さに目を見開く。

「前科が9犯で・・ほぼ全てが結婚詐欺行為・・」つかさがそのプリントを引き攣った顔で見る。

「元々梶橋という男は、過去に三石商事でトップを張っていた営業マンだったんですが、その後に詐欺師として有名になった男なんです」

「三石商事って有名商社の?なんでそんなエリートが詐欺師なんて真似を・・・」

探偵の話を聞いた駿が首を傾げる。

「これは私の憶測になりますが、梶橋は営業マン時代にはかなり悪どい事にも手を染めていた様でして、それを詐欺行為にも流用できるとでも思ったんでしょう」

「商事でトップになるくらいだから、口は達者でしょうしね」

つかさが引き攣った表情で言う。

「また、この商社では梶橋在籍時に売上金が盗まれるという事件が発生しておりまして

当時の警察の調査によって、梶橋に疑いの目が向けられましたが、証拠不十分により不起訴になっています」

探偵は前科をまとめたプリントの一番最初の欄を指差しながら言う。

そこには「三石商事 売上金盗難事件 証拠不十分により不起訴」と書き記されていた。

「善人が犯罪を犯したというよりも、元々悪人だった男がさらなる犯罪に手を染めたって事ですね」

駿はプリントを見つめながら呟く。

「でもなんで、そんな人とお母さんが?」ずっと沈黙していた梓が口を開く。

「詐欺師として有名になった梶橋ですが、ここ数年は息を潜もていました。しかし

最近になってたびたび繁華街で見られる様になったんですが、最近は街を歩く女性を言葉巧みに騙しては、自分が警察するRAMで働かせていた様です」

「え?それって女性を騙して風俗で働かせてるって事?」

聖奈は青ざめた顔て呟く。

「ええ、その通りです」

「うっそ!?あのおじさん・・そんなやばい人だったの?」沙月と聖奈が顔を見合わせて驚く。

「な、なら、金森のお母さんはこの梶橋に騙されて風俗で無理矢理働かされてるって事ですか?」駿が身を乗り出して探偵を問いただす。

「ちょっと皆川先生!金森さんの前でそんな話!」

「あ、すいません・・・」つかさに言われてうつむく駿。

「わ、私は大丈夫・・・」梓は笑みをこぼす。

「ごめんな?勝手な憶測で・・・」駿は梓に頭を下げる。

「ううん・・大丈夫だから」梓は微笑みながら、駿の太ももに手をそっと添える。

「非常に申し上げにくいですが、皆川さんの仰ることも、あながち的外れでは無い様です」

探偵が申し訳なさそうに呟く。

「ど、どういう意味ですか?」駿は恐る恐る尋ねる。

「梶橋が結婚詐欺を行う際によく、返報性の原理使っていたと言われているんです」

「へん・・ぽう・・せい?」梓が首を傾げる。

「返報性の原理とは、社会心理学ににおける概念で、人は他者から何らかの施しを受けると、それに見合ったお返しをしようとする傾向があります。

他者からの行為に対して、同じような行為で返すことで社会関係を築こうとする心理状態、それを返報性の原理、そう言います」

探偵が返報性の原理について解説する。

「ようは、助けてもらったんだから、私も何かお返しをしなくちゃ!って思わせてるって事ですか?」梓の問いかけに探偵がうなずく。

「そうやって色んな女性を騙して、体を使ってお金を稼がせてるって事か・・何てヤツだ」

駿は下唇を噛み締めながら拳を握る。

つかさはそんな駿に不安な眼差しを向ける。

「サイテーじゃん!このおっさん!」

「まじでありえないんだけど!」

聖奈と沙月も駿同様にはらわたが煮えくりかえるような気持ちだった。

「だったらそのRAMに行けば金森のお母さんを助け出せるんですね?」駿は今にも走り出して行ってしまいそうな勢いで立ち上がる。

「落ち着いてください!皆川さん!それではあまりにも無計画過ぎます!相手は警察が長年マークしている一級の犯罪者です!

しかもRAMはあの裏路地のど真ん中にあるんです!スズメバチの巣に全裸で近づく様なものです!」

「でもこのままじゃ金森のお母さんはどうなるんですか?売春を強制されてるかもしれないんですよね?放っておけって言うんですか!?」

「先生!落ち着いてよ!まだそうと決まった訳じゃ無いんだし!無茶してもし、先生の身に何かあったら・・私・・」

梓が涙目になりながら、懸命に駿を止めようとする。

「け、けど・・・」駿は躊躇っている。

「皆川さん!逸る気持ちは痛い程分かります!ですが、激昂していては何も始まりません!ここは冷静になって、これからどうするのが最適なのかを考えましょう」

「そうですね・・お願いします」

探偵に説得され、駿はしぶしぶ席に座る。


皆に説得され落ち着きを取り戻した駿。

「もう!皆川先生?金森さんを助けたい気持ちは分かりますけど、もう少し冷静になってくださいね?」

「すいません・・焦り過ぎました」つかさに言われてうつむく駿。

「梓の事となると熱くなっちゃうんだから!」聖奈は駿の背中をパシンと平手打ちする。

「ですが探偵さん?何が最適なんでしょうか?俺にはもうどうすればいいのか・・・」

「まず話を一旦整理しましょう」

探偵はこれまでの事を整理する様に今の状況を皆に話す。

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