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ありあ
189
#普通
野々さくら
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それから公園では、信愛と佳苗が向かい合って立ち、そんな2人を皆が固唾を飲んで見守っていた。
信愛は深呼吸をして「佳苗、お願い」と佳苗の目をまっすぐ見て言う。
「うん・・・わかった・・・」
佳苗はゆっくりと信愛へ歩み寄り、そっと抱きついた。
次の瞬間、佳苗の身体は溶けるように消えていき、そのまま信愛の身体へ静かに吸い込まれていった。
その場にいた全員が息を呑む。
茜が心配そうに声をかける。
「信愛?大丈夫?」
さくらも不安げに信愛の顔を覗き込む。
「なんか変な感じしない?」
信愛は目を閉じたまま、自分の内側を確かめるように深く息を吐いた。
「うん・・今のところは無いかな」
焔垂も心配そうに尋ねる。
「無理してないか?」
信愛はゆっくりと目を開き、穏やかに微笑んだ。
「大丈夫だよ」
そして交差点のある方向へ視線を向ける。
「とりあえず、交差点に行ってみよう」
「うん・・そうだね」
茜も頷き、一同は夕暮れの公園を後にした。
それぞれ胸に不安を抱えながらも、千歳が待つ交差点へ向かって静かに歩き始めた。
◇ ◇ ◇
古海商店街交差点。
夕暮れの空は次第に薄暗さを増し、住宅街の交差点は静まり返っていた。
信愛たちは目的の交差点へとたどり着く。
その瞬間だった。
「あ!」
信愛は小さく声を漏らし、その場で足を止めた。
異変に気づいた茜が振り返る。
「ん?どうかした?」
信愛は交差点の向こうを見つめたまま、静かに呟く。
「居る・・・」
さくらが思わず聞き返した。
「居る?居るってまさか・・・」
信愛はゆっくり頷く。
「女性が一人で立ってるのが視える」
その言葉に茜の表情が一変する。
「まぢでか!?」
焔垂も驚きを隠せなかった。
「まじかよ・・・」
信愛は目を細め、女性の姿をじっと見つめる。
「多分・・・春日井千歳さんだと思う」
その瞳には確信が宿っていた。
次の瞬間、信愛は何かを決意したように、一人で交差点に立ち尽くす女性へ向かって歩き始めた。
ある程度距離を詰めた時、信愛は足を止めて静かに声をかけた。
「あなたは・・・春日井千歳さん?」
女性はゆっくりと顔を上げる。
しばらく沈黙が流れたあと、女性は信愛を見つめ返した。
「あんた・・・この前の」
その目には警戒と苛立ちが入り混じっている。
「なに?また邪魔しに来たわけ?」
信愛は静かに首を横へ振った。
「邪魔しにきた訳じゃない」
そして、真っ直ぐ千歳を見据える。
「あなたを・・・救いたいの」
千歳は鼻で笑うように眉をひそめた。
「はぁ?救いたい?意味わかんない
どんな立場で言ってるわけ?」
呆れたように吐き捨てるが、それでも信愛は動じなかった。
「昨日ここで、江古田飛鳥
って人からいろんな話を聞いた」
その名前を聞いた瞬間、千歳の表情がわずかに揺れる。
信愛は静かに続けた。
「あの時、飛鳥さんは私にこう言ってた」
一度言葉を区切り、千歳の瞳を見つめる。
「千歳さんは自分から走ってくる
車に飛び込んで、自殺したって」
千歳は何も答えない。
重い沈黙だけが2人の間に流れる。
しかし信愛はゆっくりと首を振った。
「けど、違うんだよね?」
千歳の瞳がかすかに揺れる。
信愛は一歩だけ前へ進み、静かな口調で真実を口にした。
「あなたはいじめに加担していた4人に──」
その声には怒りではなく、深い哀しみが滲んでいた。
「殺されたんだよね?」
コメント
1件
うわ、この展開…。信愛が♡♡♡じゃなくて「♡♡♡れた」って核心に触れた瞬間、ゾクッとしました。前回の飛鳥さんの話がここで繋がるんですね。千歳さんの「はぁ?救いたい?」って拒絶の裏に、やっぱり何か深い傷があるんだろうな…。佳苗が信愛に吸収されるシーンも、設定として興味深いです。この後どうなるのか、続きが気になります。