テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「あ゛ぁぁあ…あぁっ…」
痛い、痛い。
右腕が間接とは反対方向に曲がり、左腕は手首から先が潰れた。
「あいつは…あいつはどこに行った…」
真弥は首を動かし、何かを探している。
真弥の首には、ハートのタトゥーのようなものが浮かび上がっていた。
「奈緒!今治すから!」
愛菜がこちらに来て、腕の治癒をする。
スペードの男が微かに意識があるようだ。
「…ロ…ロア………なぜ………」
スペードの男を無視し、歩いていく。
「真弥っ…待って…..あ゛ぁ…」
いなくなっちゃう。
真弥、どうしてしまったの。
「奈緒、動かないで…」
愛菜が動こうとする私を止める。
追いかけられず、真弥はそのまま見えなくなってしまった。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「…こいつら、どうする?」
スペードの男とダイヤの少年を見下ろしながら全員で考えていた。
「縛る…とか?」
「無理だ、こいつら人間じゃないから何するかわからねぇ。」
スペードの男が虫の息でボソボソと話し始めた。
「な…..にも…しない…….話を……..聞い…て…くれ…ないか………」
「いーや、信用できないっすね、殺しましょう」
慶斗君が珍しくかなり怒っている様子でそう言った。
「…」
本当に殺していいのだろうか。
彼らにとっても真弥…リーダーがあんな状態なのは想定外だったはず。
ここで私達を騙すようなことは、彼らに何も得がないはず。
「慶斗君、待って」
「なんでですかっ…真弥があんな状態になったのも全部こいつらのせいでしょ!!!」
「この人達が今私達を騙し討ちするのは、何も得がないはずなんだよ。本当に話したいから、こんな状態になっても私達にお願いしてるんだよ。 」
「ほんとにそう思うか?こいつらは人間じゃないんだぞ」
悠真が私に言う。
私はスペードの男に近づき、話しかける。
「約束して。あなた達の話を聞くから、体を治してあげるから、私達の安全は保証して。絶対に殺さないと。」
「やく…そく…する…….」
「先輩正気ですか!?」
「まぁ一旦落ち着け後輩。奈緒は頭が良いんだよ。考えもなしに言ってないことは分かるだろ。」
「…くそっ……」
叶太に言われて慶斗君が黙る。
「愛菜、お願い」
「分かった…」
スペードの男とダイヤの少年の治癒をし、公園に連れていった。
「グース…….お前、こいつらに協力して欲しいと頼んだのか…?」
ダイヤの少年がスペードの男に言う。
怒り心頭で。
「俺がグースで…彼はギリスディアだ。ギリスとでも呼んでやってくれ…….」
「聞いてるのかグース!!!!」
ギリスがグースに掴みかかろうとする。
グースは受け流し、話を続けた。
「ギリス…ロアの様子がおかしかったのはあれを見ればよくわかっただろ…完全な想定外。それに…能力反応が一つしかなかった…」
「っ…」
「もっと分かりやすく教えてくれる?」
「…俺達は混沌に属す、フォーカードのジャック…簡単に言えば、戦士長。」
「トランプってことか?」
「…地球にトランプの文化がある理由は、我々の世界の者が伝えたからだ…それは処刑され、フィゲルダを永久追放された我々の同族によるもの…その者の魂は地球に降りたということだ…」
「中国発祥って聞いたけど…」
「それは諸説あるだろう…本当の理由は、その者が人間に伝えたからだ。」
私はとあることを疑問に思った。
「その人は今、どうしてるの?」
「転生を繰り返し、今も地球にいる…」
グースは私を見て、しばらく黙ったあと、答えた。
「お前は見る側だから、自分の能力情報を見ることができない…….俺の目には…….お前の能力情報を見ることができても、お前の前身情報が見えない…….」
「…どういうこと…?」
愛菜が私を見ながら言う。
「………….処刑され永久追放された、かつてのスペードのジャック…….俺の1つ前にスペードのジャックだった者…….」
グースが私に向き直って、言いにくそうに言った。
「それは…お前のことだ」
「は!?」
その場にいた全員が驚愕した。
もちろん、私も。
「お前は地球に降り、幾度も転生して、記憶を失ったが…….お前はかつて我々と同じ混沌の住人だった…….しかし、キングの命令に背いた罪という名の冤罪によって、処刑された…….」
「わ…….分からないっ…….」
「それも当然だ…….お前が転生した回数は計り知れない上、混沌の兵としての記憶のみを抜かれているのだから…」
「やめて…….知らないっ…」
「どういうことっすか先輩…」
「奈緒…..!?」
「…お前が真弥と呼んだ女が持っている我々のリーダーの力は真弥に対して記憶を受け継いでいなかった、何故かは知らないがな…..」
グースが気の毒そうな目で私を見た。
「今から話すことは、思い出話程度に思ってくれ…….ハートのジャック、エトロアは…当時もハートのジャックだった…….ロアは、お前の処刑を何度も止めようとしたが、ダメだった……」
「…そんな…エトロアさんっていう人が、今真弥の中に…?」
「そうなるが…もっとも、真弥という女は…..ロアとは似ても似つかないほど凶暴だったが……」
「違う!!!真弥は優しくて、強くて!いつも私を守ってくれてたの!!!!」
「…分かっている、そこが我々はおかしいと思っているんだ…….」
「どういうことだよ」
叶太が聞く。
「我々は…ジャックとしての能力と個体の能力それぞれ別にある…..例えば俺のジャックとしての能力は…パーフェクトガーディアン…個体の能力は能力情報の検知だ。ギリスも、ジャックとしての能力は魔力総体だが…個体の能力はヒートアップ…」
「私の目には一つしか…」
そう言いかけた時、私の目に激痛が走った。
「うぁ゛っ……..」
「奈緒!」
「心配ない…….時間をかけて目の能力が成長していくその過程だ…」
痛みが引いて、グースを見る。
「2つ…..見えるだろ…」
本当に彼らの能力情報が2つ見えた。
『能力情報検知』、複数対象の能力情報全てを読み取ることができる。前身混沌に属す。
『ヒートアップ』、発動後攻撃を受ける毎に自身の攻撃力が上がる。前身冥界に属す。
「あー…頭痛くなってきた」
悠真が頭をぐしゃぐしゃとかく。
「その2つあるはずの能力が、今の真弥には1つしかなかった…加えて、ロアはお前が言った真弥の特徴の全てに当てはまるような…混沌には似合わない正義感の持ち主だった…」
「…グース、もういいだろ。話し過ぎてもダメだ。こいつらはどうせ回収して殺す…。」
ギリスがこちらを睨みながら言った。
「いや…彼らの中には保護型が2人…加えてここには元ジャックがいる、協力を仰ぐなら彼らだ…..」
グースがギリスの方を向き、つつくようにように言った。
「………確か処刑を担当したのは、お前だったなギリス…」
「っ……!!!」
「冤罪と…分かっていながら」
「やめろ!!!!!」
ギリスの全身から汗が出る。
「はぁっ…はぁっ…」
腹の口から涎が垂れている。
「分かった…分かったよ…..」
「……決まりだ」
私は2人に神社まで着いてくるように言った。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「ちょっと…なんでそいつらがいるのよ…」
「きゃあぁああっ!!!!」
帰るなり香織と春子はパニックに。
内田さんは相変わらず冷静だった。
「香織、春子、話を聞いて!真弥の様子がおかしいの!この2人は、真弥にやられてボロボロになってたの!」
「……え?」
何があったのか、全て3人に説明をした。
内田さんが疑うように言う。
「…あの真弥が…?」
「疑うのも、無理はないと思う。明らかに真弥じゃない何かみたいな、そんな感じがしたの…」
グースが付け加えて説明する。
「我々も想定外だった…ロアはあんなのではないから…」
ギリスが嫌々頭を下げた。
「君達は友達を助けるため、僕達はリーダーを助けるため、内容は違えど目標は同じなはずだ。頼むよ、助けて欲しい…」
「うん…」
慶斗君がふと何かを思い出す。
「…そういえば、クローバーの女はどこへ…」
ギリスが答える。
「ネスティのことか、確か学校に居たままだけど…」
それを聞いて、八雲のことを思い出す。
八雲は…今どこへ?
グースとギリスとネスティを探しに行ったと言っていたけど…
悠真が質問する。
「そういえば、町中うろついてるバケモンはお前らの部下なんだよな?」
「あぁ、そうだ」
「あれの説明をしてくれよ」
「まぁ、いいけど。ちょっと長いけど、集中して聞いてよね。混沌はクローバー、スペード、ダイヤ、ハートに分かれる。ハート、ダイヤ、スペード、クローバーの順に序列も実力も高い。序列は1が1番弱く、キングが1番強い。しかし単純な実力は、ジャックが1番強いんだ。でもキングに逆らえないように制約を受けている。」
「で、あの化け物はどの辺なんだ?」
「まぁ3くらいじゃない?」
「3であんな…」
ギリスが遠くをみて言う。
「アレは自我がないからね。自我がないということは、7以下の数字だな。8以上から自我を持ち、10から正式な役職を持つ。10はジャックの補佐、ジャックは戦士長で最大の戦力、クイーンは繁殖、キングは統治。」
「へぇ…」
「ネスティを探すか…補助は一流だが攻撃は僕達に劣るからね、ロアに見つかったらすぐに殺されてしまうよ。」
そう言った途端、唐突に空中から槍が飛んできた。
「グース!避けろ!」
ギリスが警告し、グースは何とか受け流すことができた。
「!?」
飛んできた方を見ると、八雲が槍を構えていた。
「外した…」
八雲は私達がいてもお構いなしで、次の槍を放ってきた。
コメント
1件
第7話、一気に世界観が広がって驚きました…! 奈緒さんが元スペードのジャックだったっていう衝撃の事実、それでいて今は全く記憶がないもどかしさが胸に刺さります。真弥の中のロアも優しい人だったみたいで、ますます「本当に助けられるのか」とハラハラ。最後の八雲さんの襲撃でブツッと終わる引きも憎いですね…次が気になって仕方ないです!
耀聖(ようせい)
1,316
羽海汐遠
15,401
自転車和尚
1,323
#未来