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「柚杏、海晴、今日は、定期報告の日だぞ。だから聞きにした!」
「それと、おぬし、ここの人では無かろう?誰だ?」
興味津々と言ったように蒼空にそう言った。
「僕は、日本国から来ました。沢村蒼空っています」
蒼空は炎伯の存在感に圧倒され、何故か敬語だ。
「敬語でなくていいぞ!俺はブラジルの化身のドール、炎伯だ。日本人と言うことは、テレビで一度は見たことがあるかな?」
そう言って笑う炎伯は当に、王者、その名が似合いそうだった。
「炎伯って本当、太陽っていうか、王様っていうか、そんな感じだよね」
ケタケタ笑いながら柚杏はそう言った。
「いや、あいつには負けるさ。スペインの化身には、ハハハ」
そう笑った炎伯の声は乾いていた。それもそうだ、元植民地なのだから、仕方が無い。スペインの化身、スペインは、チャラく、ひたすらに明るく、陽気で、楽観的、かつ慎重でもある。そんな性格の人物(国)である。
「まぁ、この話はおしまいだ!蒼空はいつ帰る予定なんだ?」
「えっと、それが、僕、迷子で」
炎伯の質問に、蒼空は頭を掻きながら苦笑いを浮かべてそう言った。
「あ~、なら、俺が帰るときに一緒にここを出れば良い!な?まぁ、このまま見て見ぬ振りでもすれば、俺達ドールのリーダーに殺されるからな!」
満面の笑みで炎伯はそう言った。蒼空は凄く嬉しそうにしているが、最後の方に物騒なことを言っていたのは聞こえていなかったのだろうか。
そうして、柚杏と海晴は炎伯に報告を済ませ、蒼空は炎伯の案内の元、無事に、アマゾンから脱することができた。
「炎伯、案内してくれてありがとう!」
眩しいくらいの笑顔で蒼空が感謝を伝えると、炎伯も負けない程明るい笑顔で話した。
「なに、こういうのは助け合いが大事なのだろう?当たり前だ!もう二度と迷子になるなよ」
「気をつける」
そう二人は言葉を交わして、同時に「バイバイ」と言って、別れた。
「海晴と柚杏から話は聞けたし、今度の学会で発表しよう」
こうして、三トリオの長い長い二日間が終わりを告げた。
蒼空はあれが夢なのか、現実なのか、曖昧に思えるが、あれは間違いなく現実だったんだと告げるように、蒼空のズボンのポケットにはジャガーの歯でてきた、装飾品が入っている。
彼はこれからもずっと、自然が大好きで、世界の人々にアマゾンの現状を伝え続けるのだろう。