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一瞬だった。
目の前が真っ暗になった。
暗闇にいた。
私達は…前から、ずっと。
もう11月だ。時の流れが早いような遅いような、分からない感覚に囚われていた。
ある通学路を、私は友人と共に歩いていた。
「なんだろ…なんか体がだるいんだよね」
「そうか…なんで今日来たんだ」
堂崎魁斗は私を心配してくれている。
素直に嬉しい。
「別に大丈夫でしょ…風邪ひいてる感じしないし」
「そうか、ならよかったな」
「ところでさ、なんか秋なのに妙に暑くない?」
「言われてみれば…確かに、な。」
11月で気温が25℃を超えるのはさすがに変だ。9月ならまだ分かる…のだが。
「…さい…ざ…」
「誰か今、お前のこと呼んだか?」
「呼ばれた気がする…なんだろ…てかさあ」
その瞬間だった。生まれて初めての感覚だった。顎と首の間にナイフが刺されている気がする。上から引きつけるように。
「刹那!?」
気のせいでは無かった。確かに私の血が流れ出ている。しかも、見ただけで恐ろしくなるぐらいに、大量に。
「何しやがる…!急によ…」
「こいつはこんなことでは死なん」
何を言っているのだこいつは。死ぬ。確率的には95%が失血死だろう。
「急に襲ってきやがって…!殺してやる!」
「こいつはいただいていく」
本当に何を言っているのだろう。
「やめておいた方がいい。殺してみろ。こいつが出てくる」
「…な、なんだそれは…!」
魁斗が驚いている。それもそうだ。後ろに大きい影が見える。一瞬で私たちを踏みつぶせてしまいそうな大きさで…私を掴んでいる奴の味方だろうと大体予想がつく。
「早く逃げて!!」
それしか言えなかった。もうじき死ぬだろうから、それしか言えないはずもない。
「刹那…!!!」
あーあ、死んだ。
…あれ、死んでない?
あの声は聞いた事があると思った。俺の知り合いだ。んで、刹那は多分“暗闇”に連れてかれた。まあ生きているだろう。そういう血統なんだよな…めんどくせぇ。
しょうがない。俺も行くしかない。
奴は俺の事を…
と呼んだ。
殺意が湧いてくる。
そして、奴は…あの刃物を持っていた。
西崎 刹那(さいざき せつな)
は多分あそこを刺されたせいで改造された。
あー、かわいそ。死ななかっただけマシだな。
ここはどこだろう。まるで闇の中にいるようだ。
…本当に闇の中だとは思わなかった…
数分歩き回ったが、やはり死んでいる訳では無いよう。魁斗は大丈夫かな…
そして…ちゃんと殺せた?
さすがにあれだけ気配を感じていて、何か抵抗をしないわけではない。普通の人間だったら死んでた。絶対。
彼には少し穴を空けた。タイミングをとって、一気に攻めるつもりだった…けれど。
ここはどこ?
今更だけど、ここって本当にどこなんだろう。
「起きたか?」
穴を空けたのに…生きている。目の前の奴は。
「穴を空けられて、少し驚いたさ。お前もやはり、その血を受け継いでいる…」
「死ななくてよかった。」
「堂崎魁斗はすぐに来る。それまで待っているんだな。」
「…お腹がすいた。」
「そっか…実は私もなんだ…」
雑談ムーブになってきた。よかったよかった…
と、いうか穴を空けたのに血が一滴も流れ落ちない。どういう事だ?
続く
いつか投稿します。