コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
前回の続きより
康二Side
ガチャリ。
阿部ちゃんがふっかさんたちに合流してすぐ、画面の向こうでドアが開く音がする。任務が始まったみたいや。リモートをしているだけの俺らも、不思議と気が引き締まる。
「ん?なんだお前ら、こんな時間にここにいるなんて……俺らに用か?」
ボスみたいなやつが阿部ちゃんたちに話しかける。ほんまにヤツらがやって来るなんて……
🩷「マジかよ、ほんとに阿部ちゃんの言った通りじゃん」
さっくんも俺と全く同じことを思ってたみたいや。
💜「まあ、そんなところですね……」
「もしかして、俺たちの仲間になりたいとかですか?」
「ハッハッハ!そういうことか!それならそうと早く言えばいいじゃねぇか」
ヤツらのうちの一人がそう言って、バシッと阿部ちゃんの背中を叩く。
💚「……!」
🖤「勝手に決めないでもらえますか?」
めめが言ったのを合図に、三人が同時にヤツらの方を向く。すると、ボスみたいなやつとその取り巻きたちの表情が強ばった。
「お、お前らは……!」
「『Mr.Snow』?!」
「騙しやがったな!!」
🖤「まんまと騙されてやって来たのはそっちでしょ」
そう言いながら、めめは隠し持っていた槍を構える。阿部ちゃんも鞭を取り出して床に叩きつけ、ふっかさんも専用の手袋を手にはめる。
💚「勝手に決めつけて、俺の背中叩いて……覚悟は出来てんだろうな?」
いつもより低いトーンで阿部ちゃんが言ったのを引き金に、三人は一斉にヤツらに襲いかかった。
怯えて逃げ回るヤツら。この瞬間が1番面白い。
🧡「あー、やっとるなぁみんな」
🩷「ガッツリ暴れてんね!」
阿部ちゃんの武器は鞭で、特殊能力は『インテリウィンディ』。風の力で相手の動きを止めた隙に、鞭で引っぱたき吹き飛ばす。めめの武器は槍で、特殊能力は『フローズンアクター』。戦う前に自分に何かしらのキャラクターや人格を憑依させ、その憑依した意識のままに氷の力と槍を振り回し攻撃する。ふっかさんは武器を持たず、特殊能力の『モンスターエスパー』だけで戦う。この力は、指を鳴らしたり手を振ったりするだけで、相手を吹き飛ばしたり動きを止めたり倒したりできる……っていう、最強に近い力や。
🤍「みんなケガしてないかな……」
🩷「大丈夫だよ!あの三人は俺らの中で一番強いんだから」
さっくんがそう言った瞬間、阿部ちゃんの後ろで倒れていた敵が、隠し持っていた拳銃で阿部ちゃんを撃った。その銃弾は、阿部ちゃんのほっぺを掠めていった。
🩷「あ」
🧡「あーこれはやっちゃったなぁ、あの人」
🤍「え、何?何かヤバいの?」
🧡「あれ、ラウはまだ知らんかったっけ?阿部ちゃんはな……」
まだ状況を理解していないラウやったけど、この後の映像を見て全てを悟ったみたいやわ。だって……
💚「……おい、お前今俺に何した?」
ピシン!と鞭を地面に叩きつけながら、ゆっくりと銃を撃ったやつに向かっていく。
🤍「えーっと……?」
豹変した阿部ちゃんに戸惑うラウ。
🧡「阿部ちゃんはな、敵の攻撃が当たったり掠ったりしたらめちゃめちゃ怒って力が増すねん!」
🩷「あんね、マジ阿部ちゃんは怒らせない方がいいよ。制御きかなくなるから」
阿部ちゃんの目は怪しい緑の光を放っている。どうやら、能力を最大限まで出すみたいや。
💜「あー、阿部ちゃん?一旦落ち着こ……?」
💚「何したって聞いてんだよ!」
バシン!ビシン!
ふっかさんの制御も虚しく、静かなビルに鞭の音が響き渡る。
🖤「……これはもう、無理ですね」
💜「阿部ちゃんの気が済むのを待つしかないか……あー、こーじ?佐久間?ラウール?」
🩷「にゃす!」
🤍「はーい?」
🧡「なんやー?」
💜「照たちの方どうなってる?」
うっかり忘れとって焦ったけど、ラウがちゃんと聞いててくれたみたいで安心する。
🤍「依頼主の人とずっと話してるままだよ?」
すると、画面の向こうでめめとふっかさんが顔を見合わせた。
🖤「あー、それたぶん時間稼ぎされてるよね……」
💜「だよな。佐久間ー、今動ける?」
🩷「いつでも動けるよ!!」
💜「見ての通り阿部が今暴走中だから、先に一人で**会社に向かっといて?こっちが済んだら俺も行くから」
🩷「了解であります!」
そう言うや否や、さっくんは「ご指名入りました〜!」と上機嫌で叫びながら、弾丸のようにビルを飛び出していった。
🧡「ふっかさん、俺とラウはどうしとけばいい?」
💜「ごめんだけど、二人はもうちょい待機。たぶん、照たちが動き出したらすぐそこにも敵来ると思うから……って阿部がさっき言ってた」
🤍「了解でーす!」
🖤「阿部ちゃんが落ち着き次第、二人でそっち行くからね」
🧡「めめありがとーな!」
めめに画面越しで手を振っていると、突然ラウが俺の肩を叩いた。
🤍「ねえ、こーじくん」
🧡「ん、なんやラウ?」
🤍「なんかね、岩本くんたちと繋がってるイヤホンから、変な声が聞こえるの」
🧡「変な声……?」
🤍「なんか、お経唱えてるみたいな……」
ラウに片方のイヤホンを借りて耳をすませる。すると、照兄たちが話してる後ろから確かにお経のような低い声が聞こえてくる。
🧡「これもしかしたら、ヤバいおまじないとかやないか?照兄たちが危険や……めめ、ふっかさん!!」
バッと映像の方を確認すると、いつの間にかリモートが切れていた。
🧡「え?!なんでや、何も触ってないのに……」
「それはきっと、俺たちのせいかな」
🤍「誰!?」
勢いよく後ろを振り向くと、ビルの階段の入り口に全身黒ずくめの男が三人ほど立っていた。
🧡「お前ら、まさか……」
(続く)