この作品はいかがでしたか?
0
この作品はいかがでしたか?
0
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
フェリクス王太子が高潔な魔法使いなら、ギルバート第2王子はその正反対の人間だ。魔法は不得意だが、刀剣の扱いには優れている。市井での人気は十分とは言えないが、その優れた剣の腕前から騎士団からはギルバート第2王子を次期国王にすべきだ、という意見もある。しかし、彼と俺は致命的なほどに良い関係を築けないのだ。ギルバート第2王子はいくつかの貴族を買収しようと試みている。そのためには資金が要るが、彼はそれを違法な武器や薬物の密輸の黙認で荒稼ぎしている。アルヴィアンがこの事実を突き止めたのは10ヶ月程前だが、王子を投獄するわけにもいかず対処に苦労していたが、王宮に協力者を手に入れた今なら問題解決ができるかもしれない。
「こんにちは、ギルバート王子陛下。ジョー・アルヴィアン次期侯爵として、お会い出来て光栄です。」
「噂を聞いた。刀剣の扱いに優れていると?」
「周囲の優秀な人間から刀剣の扱い方を教わる機会に恵まれていたので、ギルバート王子陛下。あなたもそうでしょう?」
俺はそう言って微笑む。フェリクス王太子よりもギルバート王子はより内向的で孤独だ。俺の好ましい微笑みは外交的な人気者であるフェリクス王太子にも効果があったが、そうでないギルバート王子を引き付けるのには、より大きな効果があるだろう。