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第一章 家族の絆
エピソード1
時代は、1997年。
世間は消費税5%になり、景気を直撃、円・株安で超金利が続くそんな時代の少し前の出来事。
そこにはある家族の物語があった。
4人家族で面倒くさがりの父、しっかり者の母。甘えたがりの5才の少年ぼく。
そして、今年生まれてくる妹。
少年は、お兄ちゃんになるのだが、お母さんにべったりなぼく。
父母は生まれてくる妹の事でいっぱい。
ぼくはお兄ちゃんになりたい半面、生まれてくる妹に嫉妬していた。
ある日、近所の公園で7才の女の子に出会う。
その子はツインテイルの華奢な女の子だった。
どこか見慣れたズボンを履いて。
ぼくは、お姉ちゃんと呼びすぐに、2人は仲良くなってぼくは、自宅にお姉ちゃんと一緒に帰ることにした。
自宅では、皿洗いを面倒くさがる父に、母が呆れていた。
母にお姉ちゃんと仲良くなった事を伝えて、家の中で2人は、母の手作りのホットケーキを仲良く食べる。
お姉ちゃんは、涙を浮かべ懐かしそうに食べていた。
ぼくは、お姉ちゃんを見てそんなに美味しいのかなぁとその時ぼくはそう思っていた。
そこで母は、ぼくに消費税5%になる前に日用品を一緒に買いに行こうという。
ぼくは、お姉ちゃんとも一緒に行きたいという。
お姉ちゃんも、一緒に行きたいという。
母は、根負けしてお姉ちゃんも連れていくことにした。
スーパーは、5%になる前にと長蛇の列が出来ていた。
スーパー内のアナウンスが活気よく飛び交う中、母はお腹を抑え小走りで物色する。
トイレットペーパー、ティッシュ、洗剤諸々を買い物カゴに入れていく。
持てない分は、ぼくとお姉ちゃんが持つ。
何処となく一体感が出ている。
レジコーナーも長蛇の列、3人はもう疲れ切っているが、息を飲みその場を待つ。
やっとの思いで、お会計を済ませ、3人は安堵感を浮かべていた。
帰り道、母はお姉ちゃんに
「お疲れ様。お家着いたらオレンジジュース飲ませてあげるね。」
お姉ちゃんは嬉しそうにうなずく。
母は続けて、どこから来たの?と尋ねるが、お姉ちゃんは答えなかった。
ぼくと母は不思議そうにお姉ちゃんを見つめる。
家に着いて、母はオレンジジュースを2人に分ける。
父は寝室で寝ていた。
母は、台所で夕飯の支度に取り掛かる。
ぼくとお姉ちゃんは台所の隣の居間で仲良くオレンジジュースを飲む。
お姉ちゃんは、ふとぼくに話し掛ける。
「今日は楽しかったね。もっと一緒に居たかったなぁ。」
「また明日遊ぼうよ。」とぼくはいう。
お姉ちゃんは「もう会えないの。」
「なんで?もっと遊ぼうよ?」とぼくはいう。
「お姉ちゃんは帰らないといけないの。」
「うちに?」とぼくは聞く。
「ううん。今から7年後の未来に。。」
とお姉ちゃんはいう。どういう事か分からなかったが。
「7年後?」と続けて聞く。
「お姉ちゃんはぼくの妹だから。」とお姉ちゃんはいう。
「ぼくの妹?」と続けて聞く。
ぼくは何が何だか分からない。
「このズボンに見覚えない?」とお姉ちゃんはいう。
どこか見覚えのあるズボンだと思っていたが
直ぐにわかった。
「もしかしてぼくのズボン?」
「お兄ちゃんのお古なの。気に入ってるんだ。」
お姉ちゃんは嬉しそうにいう。
そこで、お姉ちゃんはぼくの妹なのだと小さいながらも思ったのだ。
「なんでぼくに会いに来たの?」と聞く。
「お兄ちゃんに会いたかったからだよ。でも私、もうすぐ死ぬの。生まれつき体が弱かったせいで。」
まさか、自分の妹がこれから生まれてくるのに7年後の未来で死んでしまうなんて思いもしないぼくは。
「そんなわけないっ!ぼ、ぼくの妹が死ぬわけないっ!」
そんなぼくの声に気づいた母が台所からお腹を抑え駆け寄る。
「どうしたの?ぼく。ケンカでもしたの?」と母は聞く。
ぼくは頭が混乱しながら
「お姉ちゃんがぼくの妹で7年後の未来からやって来たって!死んじゃうの!なんで!」
母は何を言ってるかさっぱり分からないでいる。
お姉ちゃんが説明し、ことの事態を知った母は
「お姉ちゃんは今度生まれてくるお腹の子なのね。。丈夫な体で生んで上げられなくてごめんなさい。。」
「でも、こうしてみんなに会えたことが嬉しかった。私もどうして、私が生まれて来る前にやってきたのか分からない。」
「けど、死ぬ前にお兄ちゃんに会えたこと、お母さんのホットケーキが食べれたこと、一緒に買い物出来たこと、とても嬉しかった。」
「さよなら。私はもといた場所に帰ります。」
そういうとお姉ちゃんは家を飛び出して、居なくなってしまった。
つづく