時々、佐久間がどこかにふらっと消えてしまいそうな気がする。
賑やかな楽屋の中、いつものように佐久間は笑いの中心にいた。
康二とじゃれ合いながら、ラウールを巻き込み、ひとしきり騒いでいる。
その明るい声が響くたびに、周りの空気も華やいで、楽屋は一気に活気づく。
でも——俺の目には、その笑顔が時々儚く見えた。
「阿部ちゃーん! 何ボーッとしてんの?」
ふと、佐久間の声に呼び戻される。
目の前には、いつものように屈託のない笑顔を浮かべた佐久間。
小さく首を振って、「何でもないよ」と微笑んだ。
「もしかして、俺のこと考えてた?」
佐久間がからかうように言う。
軽くため息をつきながら「はいはい、そういうことにしとく」と流した。
本当は考えてたけど。
佐久間が、どこかに消えてしまうんじゃないか——そんな不安を抱えて。
***
仕事が終わった後、そっと佐久間の隣に座った。
メンバーたちはそれぞれ帰り支度をしているが、佐久間はまだ帰る気配がない。
「今日、疲れてる?」
何気なく聞くと、佐久間は少し驚いたように俺を見た。
「え? 何で?」
「いや、何となく。さっきからちょっと静かだから」
佐久間は一瞬だけ視線を泳がせ、それからいつもの笑顔を作る。
「そんなことないよ」
「……そう」
その笑顔を見て、胸が締め付けられた。
「なんかさ……佐久間、たまにどっか行っちゃいそうに見えるんだよね」
佐久間の表情がわずかに揺れる。
「俺が?」
「うん。普段は賑やかで、みんなを笑わせてるけど……たまに目が悲しそうで」
しん、とした沈黙が落ちた。
佐久間は、ふっと笑う。
「……阿部ちゃんには、バレちゃうんだね」
「当たり前でしょ。何年一緒にいると思ってるの」
「そっか」
佐久間が、俺の手をそっと握った。
「ありがと。……俺はどこにも行かないから!」
その手を優しく握り返す。
「うん。どこにも行かせない」
佐久間は少しだけ照れたように笑い、そっと俺の肩に頭を預けた。
二人の間に流れる静かな時間。
佐久間のぬくもりを確かめながら、そっと目を閉じた。
コメント
5件
相互フォローのやつ見たいのでフォローオネガイシマスm(_ _)m
あべさく最高🤩フォローお願いします!!
お互いに心の支えなのよきすぎる…🥹🥹