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34 - 「どこにも」💚🩷

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2025年04月15日

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時々、佐久間がどこかにふらっと消えてしまいそうな気がする。

賑やかな楽屋の中、いつものように佐久間は笑いの中心にいた。

康二とじゃれ合いながら、ラウールを巻き込み、ひとしきり騒いでいる。

その明るい声が響くたびに、周りの空気も華やいで、楽屋は一気に活気づく。

でも——俺の目には、その笑顔が時々儚く見えた。


「阿部ちゃーん! 何ボーッとしてんの?」


ふと、佐久間の声に呼び戻される。

目の前には、いつものように屈託のない笑顔を浮かべた佐久間。

小さく首を振って、「何でもないよ」と微笑んだ。


「もしかして、俺のこと考えてた?」


佐久間がからかうように言う。

軽くため息をつきながら「はいはい、そういうことにしとく」と流した。

本当は考えてたけど。

佐久間が、どこかに消えてしまうんじゃないか——そんな不安を抱えて。


***


仕事が終わった後、そっと佐久間の隣に座った。

メンバーたちはそれぞれ帰り支度をしているが、佐久間はまだ帰る気配がない。


「今日、疲れてる?」


何気なく聞くと、佐久間は少し驚いたように俺を見た。


「え? 何で?」

「いや、何となく。さっきからちょっと静かだから」


佐久間は一瞬だけ視線を泳がせ、それからいつもの笑顔を作る。


「そんなことないよ」

「……そう」


その笑顔を見て、胸が締め付けられた。


「なんかさ……佐久間、たまにどっか行っちゃいそうに見えるんだよね」


佐久間の表情がわずかに揺れる。


「俺が?」

「うん。普段は賑やかで、みんなを笑わせてるけど……たまに目が悲しそうで」


しん、とした沈黙が落ちた。

佐久間は、ふっと笑う。


「……阿部ちゃんには、バレちゃうんだね」

「当たり前でしょ。何年一緒にいると思ってるの」

「そっか」


佐久間が、俺の手をそっと握った。


「ありがと。……俺はどこにも行かないから!」


その手を優しく握り返す。


「うん。どこにも行かせない」


佐久間は少しだけ照れたように笑い、そっと俺の肩に頭を預けた。

二人の間に流れる静かな時間。

佐久間のぬくもりを確かめながら、そっと目を閉じた。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

5

ユーザー

相互フォローのやつ見たいのでフォローオネガイシマスm(_ _)m

ユーザー

あべさく最高🤩フォローお願いします!!

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お互いに心の支えなのよきすぎる…🥹🥹

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