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だが、その言葉を受け取った瞬間
宇佐美の白い頬が、まるで春の桜が咲くようにじわじわと鮮やかなピンク色に染まっていく。
それを見た瞬間
俺の胸の奥が、経験したことのない奇妙な熱さで激しくざわついた。
(……なんだ、これ。何で俺が動揺してんだ)
自身の内側に生じた不気味な戸惑いを隠すように
俺は強引に宇佐美の細い肩を抱き寄せ、その唇を奪った。
「…んぅ、せ、んぱい……っ!?」
重ねた唇から漏れる宇佐美の抵抗はどこまでも弱々しく、押し返すはずの手は俺の制服の胸元を弱々しく掴むだけ。
その絶対的な無力さが
俺の中の歪んだ独占欲ではなく、今までにない泥泥とした“庇護欲”を狂おしいほどに刺激した。
そんな歪な日々が続くうちに、俺の身体には本格的に“奇妙な感覚”が深く根を張り始めていた。
朝、アラームの音と同時に目を覚ますと
以前なら見向きもしなかった携帯の画面を、脳が命令するよりも早く無意識に開いてしまっている。
(あいつから、おはようの連絡とか来てないかな……)
そんな淡い期待を抱いている自分に気づき、舌を打つ。
登校して教室に入れば、自分のクラスの連中に挨拶を返すよりも先に
無意識に窓の外や廊下、視線の届く範囲にあの黒髪を探している。
(いた。……ああ、今日は友達と話してるんだ)
宇佐美が俺の知らない誰かと笑い合っている姿を見るだけで、胃の奥がキリキリと焼けるように痛む。
自分の行動パターンも、思考の比重も
すべてがあのうさぎのような後輩を中心に回り始めている。
それに気づいた時には、もうブレーキの踏み方なんて忘れていた。
「ねぇ、拓海くんってさ~最近なんか変だよね」
放課後の廊下
かつて何度か放課後の時間を潰したことのある、派手めな女子生徒に呼び止められて振り返る。
「そう?別に普通だけど」
「うそ付け。前は私みたいな、スタイルが良くてノリのいい可愛い女が大好きって公言してたじゃん」
「なのにさぁ、最近付き合い悪いし……あの1年の、地味でちんちくりんな男の子に夢中なんでしょ?」
「は? なわけ───」
言い返そうとして、言葉が喉の奥で硬く凍りついた。
最後まで明確な否定の言葉を紡ぐことができなかった。
誰に指摘されるまでもなく、四六時中
宇佐美の姿ばかりを必死に追っている無様な自分が、鏡を見るまでもなく存在していたからだ。
◆◇◆◇
決定打となったのは、ある梅雨の始まりを告げるような、酷く蒸し暑い日の下校時間だった。
駅へ向かう帰り道
予報にない激しい夕立が突然アスファルトを叩き始めた。
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み お .