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るな
185
M.S
780
えれめんたる
44
コロッケと焼き鳥を両手に持ち満足そうだ。
「ほら食べないと次のが持てないよ」
「あ、うん!ん!美味しい!」
途中の自販機でお茶を買い、次の獲物を探す。
「あ〜たいやき!」
「はいはい。それ食べたら買いに行こう」
無邪気だ。どうやら悪霊とかではないようでほっとした。しかし気持ちは恋人とデートというよりは妹に付き合ってる兄の気分に近い。
見た目は明らかに姉なのに。
周りの人にはどう見えてるかな。
「疲れたらどっか店に入ってもいいからな」
「うん!」
以外にも楽しい。幽霊の未練を晴らすため、なんて目的は忘れてしまいそうになるほど楽しい。
たいやきにかぶりつくリンを見てそう思った。
「リン、楽しいか?」
「うん!すっごく楽しい!」
これなら今日にでも成仏するんじゃないかと思うほど満ち足りているように見える。
そのあとは喫茶店に入りクリームメロンソーダを飲んだり、また商店街に戻り、たこ焼きを食べたりとしっかり食べ歩きを満喫した。
「もうギブ、俺はこれ以上食べられないよ」
「えー!だらしないな〜あたしはまだまだ食べられるよ!」
それほど大きくないアユさんの体のどこに収まっているんだか…
「でもあとでアユさんが苦しくなったらもう憑依させてもらえないかもよ?」
「あっ、それは困るかも…じゃあ今日はこれくらいで許してやるか」
にっと笑う。
「どうする?そろそろ戻るか…何時くらいまでって話してるんだ?」
「ん〜暗くならないうちに帰って来なさいよ、くらいしか言われてない」
お母さんか…
そろそろ日暮れが近い。
「じゃ、やっぱりそろそろ戻るか?」
「そうだね。無理して遊んで、もう入らせてもらえないって言われたら嫌だし」
聞き分けはいいんだ。好印象だ。
「よし、リンはお利口さんにしてたってアユさんに言っとくよ」
「また子供扱いして!でも、うん。ちゃんと伝えておいてよね」
ベンチまで帰ってきた。
「ねえ、また遊んでくれる?」
「あぁアユさんがいいって言ったらな」
「やった!あとさ…最後にぎゅってしてくれる?」
「え?ぎゅって…抱き締めるってこと?」
「そう。だめ?」
まぁそれくらいならアユさんも許してくれるかな?
「いいけど…アユさんには言うなよ?」
「へへ、やった!」
周りには…誰もいないな。
「じゃあほら」
両手を広げる。ぼすんと抱きついてくる。
お?なんだやけに体を押し付けて来るな…
あっアユさんの胸…柔らかい!
「どう?お姉さんの体、いいよね!」
「や、やめろよ、そんな…うん」
「あは、トモ、素直だね!それそれ」
うーん、アユさんのいい匂いもして…
「おいおい、こんなことしたってアユさんには言うなよ?」
「…トモくん、何を言わないの?」
「だから、ぎゅってしてって言ったらしてくれた…」
トモくん…?
はっとして顔を見る。
「アユ…さん?」
「うん。まぁ今のでわかったけどさ。えっ!?なに?なんかお腹いっぱいなんだけど!?」
さりげなく離れる。
「いやあの、今日は駅前の商店街に行ったんだけど、リンが食べ歩きしたいって言って…あ、でもあいつ結構行儀はよくて…」
しどろもどろになってしまった。
コメント
1件
わあ、この展開は意表をつかれましたね!「ぎゅってして」でリンからアユさんに入れ替わるタイミング、絶妙すぎる…。最初はほのぼのとしたデート気分で読んでいたのに、最後の一瞬で全部が「これ、アユさんにどう説明するんだ…」ってなって、読んでるこっちまでドキドキしました。食べ歩きの描写がすごく楽しそうで、リンが無邪気にはしゃぐ姿が可愛いんですよね。でも最後の「何を言わないの?」で一気に空気が変わる感じ、伏線の張り方が上手いなあと思いました。