テラーノベル
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信愛は一歩前へ出ると、女性へ静かに声を掛けた。
「あの・・・ちょっとよろしいですか?」
女性は反応しない。しかしそれでも信愛は怯まず、もう一度口を開く。
「あなたに聞きたい事があるんです」
なおも無言の女性に、信愛は丁寧に続けた。
「今から少しだけお時間頂けませんか?」
その瞬間だった。
女性は一言も発することなく、背後に振り向きその場から走り出した。
するとすかさず、茜が行手を阻む。
「はい〜!残念でした〜!こっちにも居ま〜す!」
逃げ込んだ先には、すでに焔垂と茜が回り込んでいた。
挟み撃ちにされた女性は足を止め、観念したようにゆっくりと二人を見渡す。
「・・・・・・」
やがて警戒心を隠さないまま尋ねた。
「あなた達は・・・誰なの?」
信愛は落ち着いた口調で答える。
「私たちは浦添朝陽くんと同じ高校に通ってる者です」
「朝陽と同じ・・・」
女性の表情がわずかに揺れる。
信愛は静かに頷いた。
「少なくとも・・貴方の敵ではないと思います」
しかし、おばさんはなおも黙り込んだままだ。
その沈黙を破ったのは焔垂だった。
「何で昨日、浦添くんの部屋を覗いてたんですか?」
「昨日?」
おばさんは信愛の顔をじっと見つめる。
そして何かを思い出したように、小さく息を漏らした。
「ああ・・・あなたは昨日、朝陽の部屋に居た」
「はい・・・そうです」
「あなた達に話す事なんてないわ」
冷たく言い放つ。
「何の事情も知らないくせに」
すると、さくらが一歩前へ出た。
「事情があったらストーカーしても良いって訳?」
「さくら、待って!」
信愛が慌てて制止する。
「ちょ! 信愛!この人がやった事は──」
「この人はね・・ストーカーなんかじゃない」
信愛は真っ直ぐおばさんを見つめた。
「え?ストーカーじゃない?」
茜が首を傾げる。
信愛は静かに続けた。
「私の予想が正しければなんだけどね」
「何だよ・・・予想って」
焔垂が眉をひそめる。
信愛は一度深呼吸すると、おばさんへ視線を向けたまま言った。
「多分この人はね──」
わずかな沈黙のあと、その答えを口にする。
「浦添くんの産みの親・・本当のお母さんだよ」
その場の空気が凍り付いた。
女性は黙ったまま信愛を見つめる。
「え・・・」
さくらは目を丸くし、
「ガチ?」
茜も信じられないという表情を浮かべる。
「ま、まじかよ・・・」
焔垂も思わず息を呑んだ。
信愛はおばさんへ優しく微笑みかける。
「そうですよね?」
女性はしばらく黙っていたが、やがて静かに口を開いた。
「何で分かったの?」
「その事について詳しく話す時間を頂けませんか?」
再び沈黙が流れる。
やがて、女性は小さく頷いた。
「分かったわ・・・」
そして少しだけ周囲を見回し、慎重な口調で続ける。
「でも場所だけ変えさせてもらえる?」
「はい・・・わかりました」
コメント
1件
ええっ、そう来たか! 信愛が「産みの親」って見抜いた瞬間、鳥肌立ちましたよ…。さっきまでストーカー扱いだったおばさんが、一気に朝陽くんの核心に迫る存在に変わるこの展開、痺れます。それにしても信愛、観察力と推理力が半端ないですね。彼女のあの落ち着いた口調で核心を突くスタイル、めちゃくちゃカッコよかったです。続きで詳しい話が聞けるの、楽しみにしてます!
#幼馴染
猫塚ルイ

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ありあ
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