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拓人が見つけた募集内容は、『二〇二四年十二月初旬、小型タンクに入った液体を、赤坂見附の洋館で待機している人に手渡すだけの仕事を数名募集』というもの。
嫌な予感がした彼は、何の気なしにテレビを点けると、『Casa dell’ amore』の火災のニュースが放映されていた。
どのチャンネルに切り替えても、屋敷火災の報道で持ちきりの状態。
娼館という事を隠して営業していた『Casa dell’ amore』は、報道で『赤坂見附の屋敷火災』として取り上げられていたが、火の気のない一階の洋室が特に激しく燃えていた事で、放火の疑いもある、と伝えられ、この火災で、オーナーの星野凛華と他三人が犠牲となってしまう。
その後すぐに、先ほど閲覧していた闇バイトの広告は、既に削除されていた。
ある意味仕事仲間だった凛華を失い、悲しみに暮れる拓人だったが、瑠衣の拉致監禁に関する闇バイトは、今年に入ってすぐにSNS上で募集を掛けていた。
内容は、瑠衣の情交相手となる男性の募集。
一日七名限定の応募は一人につき一回限り。
期間は四月二十九日から五月一日の三日間、彼女の相手をするだけで十万円支払われるというもの。
瑠衣の送迎と、彼女の相手をする『お客様』の送迎をする人員を五名募集。
瑠衣の見張り役と付き添い兼世話役の募集は一名。
送迎役と見張り役は四月二十八日から五月五日までの期間。
募集要項の下には、『詳しい仕事内容は下記のサイトにアクセスしてね☆』とURLが記されており、盗撮したと思われる瑠衣の画像が、十枚ほど掲載されていた。
拓人は彼女を助け出すために、募集人数一名の『見張り役と付き添い兼世話役』に応募。
闇バイトの期間中、彼は、瑠衣を助け出そうとしているのを周りにバレないように、黒いワークキャップを被り、サングラスを掛けると、黒ずくめの服装に身を包んで無言を貫いた。
目の前で、好きな女が不特定多数の男たちに輪姦されていく様子を、やるせない気持ちで傍観する事しかできない。
媚薬を飲まされ、声が枯れるまで悲鳴のような喘ぎ声を上げていた瑠衣を、拓人は無関心を装いながらも、心は張り裂けそうになっていた。
あの時の彼女の声は、今でも鮮明なまま、耳に焼き付いている。
この闇バイトを実質取り仕切っているのは、『送迎役』と呼ばれる五人の男たちのグループだ。
拓人は、脱出するきっかけと、ヤツらの様子を伺うために、グループの懐に入り込む。
気を許す素ぶりをしつつ、ここから瑠衣を連れ出すために。
瑠衣が男たちに凌辱された後、拓人は、残りの数日間、監禁部屋で彼女と二人きりでいた。
この頃の彼女は、既に思考もままならない状態、飲食は、ゼリー飲料や水分を摂るだけ。
何もせず、放置された状態の彼女を、彼は世話をする以外、ひたすら抱きしめ続けていた。
『送迎役』の行動も把握してきた拓人は、五月四日から五日にかけての深夜に、瑠衣を連れ出して逃げる事を決意。
それまで、拓人は瑠衣を腕に包み込みながら、時が満ちるのを静かに待ち続けた。