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「いかがでしたか?若井様は教師の職を離れ、現在は実家に帰って引きこもっておられるようです。回復の目処は立っていないとか。まあ、今世で完治するのは困難でしょう」
店の男性が満面の笑みを浮かべながら、紅茶を差し出してきた。
店の男性の後ろに『ウキウキ』という漫画文字が浮かんでいるかのように見える。
私はカップの持ち手部分に手を伸ばしてみた。
カチヤッ……と、金属のスプーンと陶器のぶつかり合った不可解な音が鼓膜に響く。
私はカップを持ち上げて唇に近付けた。
とてもいい香り。
私は目玉だけを動かし、店の男性の方に向けた。
「どうぞお召しがりください」
恐る恐る、口に近付けたカップを傾ける。 紅茶は床にこぼれる事なく、私の食道を通り抜けていった。
「やっぱり美味しい……、生き返る……!あ、おかしいですね。死んでるのに」
「新しい茶葉を手に入れたので最初に味わって頂きたかったのです。お口に合ったようで何より。 だいぶ物に触れるコツを掴んできましたね」
店の男性は微笑んだ。
私がこの宝飾店を訪れたのは、死んでからどれくらい経った頃だろうか。
高校生の時に命を落としてから、成仏できずにこの世をさ迷い続けた。
ある日いつものようにふらふらと浮いていると、見覚えのある顔があった。
同級生の若井君。
私のストーカーだった男だ。
若井は私が死んだ後に『付き合っていた』と言って私の実家を訪れていた。
家族は、私と若井が本当に付き合っていたと思い込み、日記帳を見せたり私の部屋に入れたりしていた。
そして若井はケータイに付いていたストラップを、家族に頼んで持って帰った。
キモい!はいキモい!!
家族も少しは疑って!
あのストラップだって、高校の帰り道に珍しく出ていたフリーマーケットの商品を眺めていたら、若井が現れて「買ってあげるよ」と言うから、まあお金を出してくれるなら……と受け取ったけれど。
ストラップ自体はすごく可愛かったから着けていたけど、それが勘違いさせる一因になってしまったのかな。
「若井様はあなたに取って単なる気持ちの悪いストーカーでしたが、あの方への復讐を成し遂げるには、もう少し時間が必要です」
……そう。私は自殺じゃない。
私を殺したあいつに復讐するまでは死んでも死にきれない。
でもそれは、また別のお話。
「準備が整うまでにはまだまだ時間が掛かりそうですね。暇潰しと言ってはなんですが、別の方々の復讐劇を見ていただくとしましょうか。そろそろ次のお客様がいらっしゃる頃です」
店の男性の男性は、アンティーク調の扉に視線を向けた。
コメント
1件
ああ、もう…これ、すごく好きだな。 幽霊になって、紅茶を飲んで「生き返る…あ、死んでるのに」って、その温度感がたまらない。若井くんの末路が引きこもりって、皮肉が効いてて良い。でもまだ♡♡♡た“あいつ”がいるんだよね?店の男の人の含みのある笑顔も気になる……。続き、読みたいな。
沙里央
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柘榴とAI

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swingout777
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